世界各国の睡眠は? 睡眠長時間の国の睡眠事情は

世界各国の人々と比べて、日本人の平均睡眠時間は短いというデータが、各種調査のたびに発表されています。そこでその原因や、睡眠時間が短いことによって起きる弊害について調べてみました。そして、平均睡眠時間が長いことで有名なフランスで生まれ、日本と行き来しながら活動している国際ジャーナリストのドラ・トーザンさんに、フランスの睡眠事情と、日本人へのアドバイスをお伺いします(写真はドラ・トーザンさんのベッドルームです)。
日本は世界の先進国の中で最低ランクの平均睡眠時間
このサイトでも何度か紹介していますが、日本人の平均睡眠時間は、世界の先進国の人々と比べてかなり短いことがわかっています。
2014年の経済協力開発機構の調査結果として、世界29カ国中で日本は28位でした(最下位は韓国)。また、2018年にはフィンランドに本社を置く民間の心拍計の会社の調査結果として、日本は28カ国中最下位という結果が出ています(韓国は調査対象外)。
睡眠時間が短い原因として、他国よりも眠る時間が遅い(平均で深夜12時を超えている)のに、起床時間は同じぐらい(午前7時前後)であることが挙げられていて、つまり遅くまで仕事や遊びで起きていても、朝は真面目に起きているということでしょうか。
睡眠が十分にとれないことによる弊害は、ストレス増大、免疫システムの弱体化、血圧の上昇、慢性疾患リスクの増大など身体的ダメージがあり、さらには自動車などの運転の際には事故増加のリスクもあります。
2018年の調査で日本人よりも1時間近く睡眠時間が長いという結果が出たのがフランスです。そこでフランスと日本、どちらの事情にも詳しい国際ジャーナリストでエッセイストのドラ・トーザンさんにお話を伺います。
日本人とはまったく違うフランス人の睡眠事情
──フランス人は日本人よりも1時間近く長く寝ているそうです
その実感はあまりないです。特にパリのような大都会では夜遅くまで賑やかですから。ただ睡眠をすごく大事にしているとは思います。私の場合は、だいたい午前2時ぐらいに寝て、朝は9時ぐらいに起きる感じですね。そして朝はなるべくアラームなどで起きるのではなく、自然に起きるように心がけています。
──日本人とフランス人の睡眠に対する考え方の違いは?
日本に来て驚いたのは、日本人は夜でもコーヒーなどのカフェインの入っているものを飲んでいることです。カフェインはよい眠りを妨げます。フランスでは昼間はカフェなどで大いにカフェインの入ったものを楽しみますが、夕方以降には飲みません。ゆったりと身体を夜のモードにしていくわけです。
夜の時間帯は気分を落ち着かせる、ノンカフェインハーブティーを楽しむことが多いです。また、食後にアルコール度数の高いカルヴァドス(リンゴ酒)やコニャック(ブランデー)のようなディジェスチフ(digestif・食後酒)も飲みます。リラックスできますし、食べすぎた時には消化促進の作用もありますから。
──ベッドは大きなものが基本だそうですね
ひとりでもシングルベッドというサイズはないです。その広いサイズのベッドでフランス人は、朝食を食べたり、本を読んだりもするんです。私は勉強や仕事もする。あとは、フランス人は休日の朝にゆっくりと目を覚まします。それをフランス語で「グラスマチネ(la grasse matinée)」と言い、意味は「朝の贅沢」です。起きてもゆったり過ごすんですね。とにかく、睡眠はとても大切なものです。美容や健康のため、一日を元気に過ごす活力の源だと思っています。
フランス人的快眠のコツ&日本人へのアドバイス
──アラームなしで自然に起きるためにしている工夫はありますか?
アラームは間に合うギリギリの時間にセットします。それよりも前に、自然に目が覚めるようにスケジュールを調整しているということです。人間には朝が強い人、夜が強い人、いろいろな方がいると思いますが、私は朝があまり強くない。ですから、朝早く起きる用事は作らないようにしています。ラジオ出演など早朝の仕事の依頼もありますが、朝は自分の脳が働いていないことを自分で理解していますので、お断りします。自分の身体をきちんと知った上で、睡眠をとることが大事だと思います。
──快眠のため、工夫しているところは?
とにかく大きいベッドが大事です。寝返りが自由にできる、日本で言うところのダブルサイズは必要ですね。あとはあまり柔らかすぎない固さのものを選んでいます。また照明も大切です。とにかく日本では夜になっても明る過ぎます。外出した際のお店でも自分の部屋でもそうですが、夜には自然とリラックスできるような照明にしたほうがよいと思います。私のベッドルームでは0~100%まで光の量を調整できる照明にして、手元では読書ランプを使います。
──寝不足で悩む日本人にメッセージを。
自分の睡眠ペースを作ることが大事だと思います。ほどよい睡眠時間も人によって違いますし。自分の寝るルールを作って、睡眠でエネルギーをチャージできるようにしてください。昼寝をするのもよいと思います。そして、週末にはゆっくりと「グラスマチネ」、朝の贅沢を楽しんでほしいですね。
フランスといえばカフェオレの本場ですが、夜はコーヒーを飲まないのですね。ドラ・トーザンさんのように自分のペースで生活、仕事も選択して朝ゆっくりすることはなかなか難しいでしょうが、照明の工夫をしたり、ハーブティーでゆったりしたりなど、睡眠の質を高めて、週末の朝は贅沢な気分になってリフレッシュしたいところです。
取材・文/三浦秋彦
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国際ジャーナリスト
ドラ・トーザン(Dora Tauzin/どら・とーざん)
国際ジャーナリスト。エッセイスト。ソルボンヌ大学、パリ政治学院卒業。 NHK TV「フランス語会話」出演をきっかけに日本在住に。慶応義塾大学をはじめとする各種学校の講師を務めながら、講演・新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどで活躍中。主な著作に『パリジェンヌ流 今を楽しむ! 自分革命』(河出文庫)『フランス式いつでもどこでも自分らしく』(三笠書房)『好きなことだけで生きる』(大和書房)『パリジェンヌ流 美しい人生の秘密』(宝島社)など。
Photo by Naoki Ooi
(ドラ・トーザン氏著作物紹介ページ)
https://www.doratauzin.net/profil/works.html
「好きなことだけで生きる」ドラ・トーザン/だいわ文庫(大和書房)
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