意識的に食べることで睡眠の質をあげるとっておきの食品は?
COLUMN

毎日の食事で睡眠の質をあげることができるのであれば、実践しやすく今日からでもすぐに取り入れることができますよね。でも、睡眠の質を高める飲み物や食べ物には、どのようなものがあるのでしょうか?
リラックスする食品をとることで睡眠の質はあがる!?
睡眠の質をあげてぐっすり眠るためには、副交感神経を高める食品を食べることが必要だと言われています。副交感神経を優位な状態に導き、高ぶった神経を鎮めてリラックスさせるのです。そこでポイントとなるのが、リラックス効果をもたらす成分ですが、それはズバリ“GABA(ギャバ)”と“テアニン”です。
GABAはアミノ酸の一種で、γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)を略したもの。GABAはおもに脳や脊髄で、抑制性の神経伝達物質として働いています。ストレスを和らげ、興奮した神経を落ち着かせる働きをしています。ドーパミンなど興奮系の神経伝達物質の過剰分泌を抑えて、リラックス状態をもたらす作用があります。
本来なら、GABAは体内で十分な量がつくり出されるのですが、ストレス社会の中で生活するわたしたちは、常に不足しやすい状態になっています。また、高齢になると体内のGABA量が少なくなる傾向があるそうです。GABAが不足すると、興奮系の神経伝達物質が過剰に分泌するのを抑えることができなくなるため、リラックスできずに精神的な緊張感が続いてしまうのです。こうなると、睡眠の質をあげることは難しいですね。
テアニンもアミノ酸の一種で、お茶のうま味や甘味に関与する成分。テアニンは、うま味成分として知られるグルタミン酸と似た化学構造をしており、数ある植物の中でも、茶、ツバキ、サザンカなど一部の植物にのみ存在する物質です。品質の高いものほど、テアニンが多く含まれているという報告もあります。
リラックス効果が高いとされる飲み物
リラックスできる飲み物と言えば“ハーブティー”を思い浮かべる人は多いと思います。ハーブのなかでも、甘い香りを放つカモミール、独特な香りのジャスミンやラベンダーは副交感神経の働きを高め、リラックス効果をもたらすと言われています。ただし、すべてのハーブが副交感神経を高めるものではありません。ハーブの中でも、ローズマリー、レモン、フェンネル、ペパーミント、レモングラス、コリアンダーなどは、逆に交感神経を高めてしまう作用があります。また、副交感神経を高めるとされるハーブでも、自分の好みではない香りはリラックス効果が望めない場合もあるそうです。ハーブティーを飲むときは、効能を確かめて好みの香りを選びましょう。
ハーブの他に、疲労回復やリラックス効果をもたらす飲み物としてあげられるのがココア。これは、カカオマスに含まれるGABAによるものと考えられています。
GABAたっぷり!毎日食べたい“トマト”&“発酵食品”
GABAを多く含む野菜はトマトです。100g当たり57.6mgも含まれており、1日に中サイズのトマト約1/2個分を食べることで睡眠改善効果が期待できると言われています。トマトはサラダやスープ、スパゲッティソースなど、さまざまな料理に使える食材です。最近ではGABAの含有量を高めた“高機能トマト”も販売されています。
キムチや漬物などの一部の発酵食品にもGABAが多く含まれています。また、近年、キムチからGABAを効率よく生産できる乳酸菌が発見され、それを利用してGABAを添加した多くの食品も販売されるようになりました。
毎日の食事の中に、副交感神経を高める食品を少しずつ取り入れて、睡眠の質をあげてみませんか?
【参考文献】
『日経ヘルス』2016年12月号(日経BP社)
GABAとは? ギャバ・ストレス研究センター:ギャバとは?ギャバの働き
http://www.gabastress.jp/aboutgaba
文/高橋晴美
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高橋晴美(たかはしはるみ)
フリーランス編集ライター。食と健康・旅をテーマに執筆。
主に、旭屋出版 日経BP社 夕刊フジ JTBパブリッシングの月刊誌およびMOOKSなどの編集記事・広告を担当。(株)スミフルジャパンのバナナソムリエ。ベジフルティーチャー。
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