【医師に聞く】美容やダイエットに効果的な睡眠とは? 前編

美容や健康のために欠かせない睡眠。実は、ダイエット中も、睡眠をしっかりとるとよいと言われています。そこで、前編では睡眠とダイエットの関係、美肌や美髪との関係、よい睡眠をとるための秘訣などを、産婦人科医であり美容皮膚科医でもある「土屋産婦人科」の土屋眞弓院長に伺いました。
後編の記事「【医師に聞く】美容やダイエットに効果的な睡眠とは? 後編」はこちら
よい睡眠×適度な運動で、美容とダイエットの好循環をつくる。
—美容やダイエットにとって、睡眠が大切だというのはなぜですか?
寝ている間に、私たちの身体の中では、成長ホルモンや、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールなどが分泌されています。これらは、身体の新陳代謝を活発にするためのホルモン。睡眠がしっかりとれていないと、新陳代謝に影響を与えて太りやすくなると言われているんです。
また、睡眠不足で心身に疲れがたまっていると、日中の運動量も低下しがち。消費するカロリーが減って、太りやすくなります。さらに日中の運動量が減ると、肉体的な疲労も少なくなり、その日の眠りにも影響を与えるという悪循環に陥りやすくなりますね。日中にしっかりと運動すると、眠りにもよい影響をもたらしてくれます。よく眠ることが、ダイエットにもよい影響をもたらしてくれるんです。
ダイエット中には、早寝早起きでしっかりと眠って、バランスのよい食事を三食とって、適度な運動をする。基本的なことですが、それがダイエット成功への近道です。
また、成長ホルモンは、細胞を修復させる効果もあるので、美肌や美髪などの美容にとっても大切なホルモン。睡眠中の深い眠りのときにたくさん分泌されるので、睡眠のリズムを整えてぐっすり眠ることが大事なんです。
よい睡眠でキレイになるには、リズミカルな有酸素運動を20分。
—美容やダイエットのためによい睡眠をとるために、おすすめの運動は?
疲れすぎるような運動は、睡眠にとってよくないと言われているので、適度な運動がおすすめです。一定のリズムで行うようなリズム運動は、幸せホルモンとも呼ばれる神経伝達物質、セロトニンの分泌を促してくれ、眠りにもよい影響をもたらしてくれます。
ぐっすり眠って、キレイになりたいという方は、ウォーキングや軽いジョギング、水泳などのリズミカルな有酸素運動を取り入れてみてください。大切なのは無理をしないこと。心拍数を上げすぎず、「ややきつい」と感じるくらいの心拍数をキープすると、運動の効果が高く、脂肪を燃焼しやすいと言われています。時間の目安としては、20〜30分程度ですね。
また、軽めの負荷がかかる筋力トレーニングも一緒に取り入れると、眠りにも、ダイエットにも、健康にも、より効果的です。年齢を重ねると基礎代謝が下がってしまいがちですが、筋肉をつけることで基礎代謝をげることができます。特に更年期の女性にとっては、筋力アップのためのトレーニングがポイントとなりますね。
運動を取り入れるのにおすすめの時間帯については諸説あるのですが、産後の運動療法の指導をしていた経験からも、私は日中をおすすめするようにしていますね。身体が目覚めたばかりの朝は、心肺機能にかかるストレスが大きくなるのでよくないと言われています。
眠る前にリラックスできる環境を整えることが大事。
—美容やダイエットのためによい睡眠をとるために、生活習慣で気をつけることは?
通常、私たちが眠るときは、日中緊張していた脳波が、リラックスするときの脳波に変わり、そこから睡眠の脳波になっていきます。つまり、眠る前には、リラックスした状態でいることがとにかく大事です。
リラックスの仕方は人それぞれですが、例えば、バスタイムに湯船に浸かったり、軽いストレッチやヨガをしたり、部屋の明かりを暗くしたり、ハーブディーを飲んだり、お気に入りのアロマをたいたり。お腹がすいて眠れないようなら、ホットミルクを飲んでもいいですね。
カルシウムは興奮を抑える効果が期待できますし、タンパク質には睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの原料となるトリプトファンというタンパク質も含まれています。お腹がすいて眠れないときにホットミルクを飲むことは、理にかなっているんです。
一方で、眠る前のパソコンやスマホは御法度。夜に目から光を取り入れると、昼間だと勘違いしてしまって、体内時計のリズムが狂ってしまうんです。就寝の1〜2時間前くらいからは控えるようにしましょう。
あとは寝酒もNGです。アルコール類は、早めの時間帯で適量を飲むのであれば大丈夫ですが、寝る前にたくさん摂ってしまうと脳が覚醒して、よい睡眠を得られなくなります。
私自身もよい睡眠をとるために、規則正しい生活を心がけています。定期的にジムに通ったりして、有酸素運動と筋力トレーニングを取り入れていますね。また、自分がリラックスして眠りにつき、気持ちよく目覚められるように、寝室の環境を整えるようにしています。
例えば、私は、朝の光で気持ちよく目覚めたいので、遮光カーテンを使わず光を感じられるようなカーテンをつけています。好みは人それぞれなので、自分にとって一番よい環境を整えてあげることが大事ですね。
健康にとってはもちろん、美容にも、ダイエットにも、ぐっすり眠ることは重要。いくつになってもキレイでいるために、睡眠をしっかりとるように心がけてください。一方で、女性は更年期になると眠りにも変化が訪れる方が多くいます。後編では、女性ホルモンと美容や睡眠との関係についてお話しします。
取材・文/武田明子
関連するキーワード

土屋産婦人科 院長
土屋眞弓(つちやまゆみ)
北里大学医学部卒業の後昭和大学大学院修了。土屋産婦人科の院長および目蒲病院理事長として、婦人科一般、美容皮膚科診療を担当。医師としてはもちろん、妊娠・出産・更年期などを経験した女性としての視点を大事にしながら、患者さまの「よろず相談室」を目指す。著書に『女性の医学ハンディブック(池田書店)』、『からだのことがよくわかる女性の医学(池田書店)』など。
土屋産婦人科ホームページ:https://www.tsuchiya-sanfujinka.com
※記事内の写真・文章・価格・人物などは記事の更新日時点での情報となります。
現在の情報と異なる場合もございますので、ご了承ください。
大塚家具のLINE公式アカウント!
続けて読みたい!あなたにオススメの記事