どうにかしたい!寝起きの口臭 第1回

朝起きたときに、「なんとなく口が臭い」と思ったことはありませんか? 一日のスタートで口臭が気になると、活動への意欲がそがれたり、対人関係がうまくいかなくなったりすることも。
寝起きに発生する口臭について、1年365日休まず診療を続け、患者の信頼に応えるスーパー歯科医・銀座池渕歯科院長の池渕剛先生にお話を伺いました。2回連載でお届けする第1回目は、寝起きに発生する口臭のメカニズムについて紐解きます。
第2回の記事「どうにかしたい!寝起きの口臭 第2回」はこちら
口に残った食べカスや歯周病菌が原因に
──口臭はなぜ発生するのでしょうか?
口臭の原因には、ニンニクなど臭いの強い食べ物や内臓の病気によるものなど、さまざまな要因が考えられますが、ほとんどは口の中のトラブルによるものです。中でも最も多いのが歯周病です。
歯周病とは、歯垢や歯石に含まれる歯周病菌が原因で、歯肉が炎症する病気です。初期は、歯肉がジンジンしたり、腫れたりします。朝起きたときに、口の中がネバネバしたり、臭いがこもったような感じがしたり。やがて、徐々に腫れがひどくなり歯肉が膿み始め、進行すると歯肉が腐り歯を支えられなくなります。そのため、歯肉の膿の臭いや、歯肉の腐敗臭がします。
──歯周病でない人は、口臭の心配はないのでしょうか?
そんなことはありません。口の中は、肛門と並んで身体の中で最も雑菌の多い部位。常に200種類前後もの細菌・原虫・真菌類が、数十億ほど存在しています。これらが、新陳代謝ではがれ落ちた歯茎や舌などの粘膜上皮や、食べカスなどのタンパク質を分解することで、口臭の原因物質を作り出します。また、虫歯菌もあると悪臭が発生しやすいです。
就寝中は唾液が減って細菌が繁殖する
──般的に、寝起きの口臭を気にする人が多いですね。
一日の中で最も口臭が強くなりやすいのは、朝起きたときです。就寝中は唾液線を刺激することが少ないので、唾液の分泌が減ります。すると、眠っている間に口の中で細菌が繁殖します。歯の隙間に挟まれた食べカスや、舌の汚れなどが残っていると細菌が分解し、口臭の原因物質である揮発性のガスをたくさん作るため、寝起きは口臭が強くなるのです。
寝起きの口臭は、口の中の細菌や汚れ、唾液の量によって変化します。少しでも臭いを抑えるためには、寝る前と起きたあとのケアが重要なカギとなります。
寝る前のケア4つのポイント
──まずは寝る前のケアを教えてください。
ポイントを挙げてみますね。
Point1 水分補給をする
細菌を繁殖させないように、口の中の乾燥には気を配りましょう。寝る前にコップ1杯の水を飲むことをおすすめします。
Pint2 寝室に加湿器を
寝ている間は汗をかいて、口の中はもちろん身体の水分が低下します。身体の乾燥をできるだけ抑えるために、寝室全体に潤いを与えることも大切です。
Point3 歯磨きをきちんと
細菌のエサとなる食べカスは、寝る前にしっかりと取り除くことが基本です。歯ブラシは、歯茎や歯の表面のエナメル質を傷めないように、あまり毛先が硬くないものを選んで。
強い力で磨きがちな人は「“やわらかめ”で少し大きめヘッド」、そうでなければ、「“ふつう”のコンパクトヘッド」が目安です。磨いたあとは、歯ブラシをしっかり乾燥させること。できれば毎週買い替えると、口の中の清潔が保てます。
また、歯磨き粉はつけすぎないようにしてください。歯磨き粉の清涼感で、十分に磨けていなくても磨いた気分になってしまうことが少なくありません。
磨き方は、ブラシの毛先を隙間に差し込んで、やさしくマッサージをするように手を動かします。フロスや歯間ブラシ、洗口液も使用すれば、口臭の原因になる口の中の汚れはほとんど落とせます。
Point4 舌のチェック
鏡の前でベ~ッと舌を出すと、舌の表面が白くなっていることがあります。舌苔(ぜったい)といって、食べカスや新陳代謝ではがれた粘膜上皮の細胞などが貼り付いたもので、口臭の原因になります。気になったら、歯ブラシで軽くなでるように取り除きましょう。
寝起きの口臭を抑える秘策「オイルプリング」とは?
──朝、起きたあとのケアは?
朝はバタバタしてしまいがちですが、唾液の分泌を促すために、朝食はよくかんで食べてください。その後、歯磨きをして、寝ている間に繁殖した菌や歯垢、朝食の食べカスを取り除くと口臭を弱めることができます。また、オイルプリングをご存じでしょうか?
──まったく知りません。「オイルプリング」とは何ですか?
健康オイルとしてよく知られる、ココナツオイルで口をすすぐことです。もともとインドの伝統医学であるアーユルヴェーダに由来する自然健康療法で、口臭予防が期待できます。次のような方法で行ってください。
Step1 朝起きてすぐ、スプーン1杯程度のココナツオイルを口に含む
Step2 15~20分間、口全体にココナツオイルを広げながらうがいをする
Step3 オイルシートやキッチンペーパーなどに吐き出す
※排水溝に吐き出すと詰まる原因になるので気をつけましょう
ココナツオイルには抗酸化作用があり、眠っている間に口の中で増殖した細菌や老廃物を落とすことができます。
第2回は、池渕先生の睡眠に対する考え方などを伺います。
取材・文/内藤綾子
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銀座池渕歯科院長
池渕剛(いけぶちつよし)
忙しい人や遠方から通院する人も歯の健康を回復できるよう、開院以来17年間、1年365日、平日、土日祝日はもちろん、大晦日、元日、お盆も休診しない患者ファーストの銀座池渕歯科。年間500症例を超える経験豊富なインプラント治療にも定評があります。www.ginza-dental.jp/
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