寝室カラーコーディネートの決定版はコレ! 第1回

冬を控え、季節の変わり目には寝室に彩りを添えて、雰囲気を変えてみたくなります。そこで、寝室にふさわしいカラーコーディネートについて、カラーデザイナーとして活躍する秋山千惠美さんにアドバイスしていただきました。2回連載でお届けする第1回目は、具体的なカラーの提案や、コーディネートの重要性などについて掘り下げます。
第2回の記事「寝室カラーコーディネートの決定版はコレ! 第2回」はこちら
色と感情は密接に結びついている
──秋山さんは、日ごろから多くのカラー相談を受けていますが、特に寝室に関してどのような要望が多いですか?
「とにかくリラックスできる空間にしたい」「ぐっすりと眠れる雰囲気の寝室に」といったことはよく言われます。
それに加えて、「シックでホテルのような高級感を」「バリ島のようなグリーンの多いイメージで」など、自分の好みをとことん追求したいという要望が多いです。リビングは他人の目にも触れるので清潔感のある無難なコーディネートでも、寝室は人目に触れない個人のスペースなので、「冒険したい」という気持ちがあるのかもしれません。
──色は、人の心にどのように影響するのでしょうか。
日常の中で、「気持ちよい」「おいしい」「悲しい」といった感情は、五感で感じるものです。中でも、外部からの刺激で得る情報の80%は視覚からであり、特に色の影響が大きいと言われているんです。「黄色い声援」と言えば賑やかさを、「ブルーな気持ち」と言えば寂しさを連想させます。色と感情は密接に結びついているのです。
寝室をカラーコーディネートできれば、質の高い睡眠につながる
──色から与えられる情報は大きいのですね。自分の家で考えると、カラーコーディネートすることで、気持ちの持ちようが変わってくるということですか?
その通りです。特に重要なのは寝室なんですよ。人生の約3分の1を過ごし、滞在時間が長いことに加えてプライベート性が高いので、一番に見直して欲しいと思っています。上手にカラーコーディネートできれば、リラックス感が増し、質の高い睡眠を得られるようになります。
──寝室のカラーを変えただけで、そのような効果が得られるのは驚きです。
近年、睡眠に対する意識が高まって、寝具にこだわったり、生活習慣を見直したりする方が増えました。でも、寝室のカラーに注目して、「心地よい眠りに導いてくれる色」「疲れを癒やしてくれる色」「朝すっきり目覚められる色」などに替えてみようと思う方は少ないですね。人は眠っている間にも色の影響を受けているので、寝室のカラーコーディネートはぜひ提案したいです。
寝室には、寒色系が向いている
──具体的に、寝室にはどのようなカラーがおすすめですか?
赤、オレンジ、イエローなどを「暖色系」、ブルー、グリーン、青紫などを「寒色系」と呼びます。重視するのは、色が持つ生理的な影響力です。
暖色系は、交感神経を刺激して血圧を上昇させる作用があり、エネルギー代謝を盛んにして元気になれます。寒色系は、副交感神経を刺激して血圧や体温が低下し、呼吸や脈拍を落ち着かせます。このような効果はリラックスにつながるので、寝室のカラーには寒色系が向いています。
リラックスできる寒色系の寝室
──「冬は暖かみのある暖色系で、カラーコーディネートしたい」と思った場合は?
明度が低い色を選ぶとよいですよ。簡単に言うと「深みのある色」のことです。赤系ならボルドー色、イエロー系なら深緑色、ベージュ系ならレンガ色といったように選んでみてください。
カーテンやラグなどは視覚的影響が大きい
──寝室でカラーコーディネートする際のポイントを教えてください。
寝室でカラーコーディネートできるアイテムは、
・カーテン
・ベッドカバー
・枕カバー
・ベッドスロー
・クッション
・カーペット、ラグ
といったものです。これらのカラーを同系色でまとめられれば、誰でも簡単にコーディネートができます。DIYが得意なら、壁を1面塗るだけでも雰囲気がグッと変わりますよ。
──予算的に、全部を買い換えることが無理な場合は?
カーテン、ベッドカバー、ラグなど、面積の大きいアイテムの視覚的影響は大きいので、それらだけを買い換えて同系色でまとめるとよいでしょう。
逆に、「小物は買い換えできるけど、カーテンやラグなどはできない」という場合は、カーテンやラグに合わせて、カラーコーディネートを考えてください。たとえばカーテンがブルーなら小物も寒色系に、イエローなら暖色系の深みのある色などでまとめて。
カラーコーディネートの実例からイメージを膨らませて
──初心者がやってしまいがちな失敗があれば教えてください。
水玉柄のクッション、ストライプ柄のベッドカバー、ピンク色の枕カバーなど、「好きだな」と思う柄や色のアイテムをバラバラに買ってしまうことです。それぞれは素敵でも、寝室に置くと統一感がなくなる例がたくさんあります。
──そうならないために注意することは?
まずは、どのようなカラーをベースにコーディネートしていくのか、考えることから始めてみませんか。インテリア実例の本を見たり、SNSなどで紹介されているカラーコーディネート実例を検索したりして、北欧風やフランス風など好みの空間を頭に描くと、色のイメージも自然と浮かんでくるのではないでしょうか。それから、予算に合わせて細かいアイテムを購入すると大きな失敗がありません。
第2回は、秋山さんの寝室カラーやこだわり寝具などについてお伝えします。
取材・文 内藤綾子
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株式会社カラーワークス
秋山千惠美(あきやまちえみ)
カラーデザイナー、コミュニケーションディレクター。一般住宅から企業、店舗まで、空間の色や商品の提案・アドバイスに幅広く活躍。カラーマーケティング、マーチャンダイジング、プランニングやセミナーなども行う。 『カラーワークス』のオリジナルペイント「Hip」(グッドデザイン賞受賞)では、色の開発を手がけた。
カラーワークス ホームページ http://www.colorworks.co.jp
カラーワークス Facebook https://www.facebook.com/colorworks.jp/
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