【専門家に聞く!】疲労回復には温泉が有効?(第1回)

「温泉につかって身体を休息モードへ。温泉に入るとなぜ眠くなるの?」
日ごろの疲れを癒やし、深い睡眠に導かれる温泉。1年の1/3は温泉旅行に出かける、温泉と宿のライター野添ちかこさんに、旅先でよりよい睡眠をとるためのアドバイスをしていただきました。疲労回復させ明日からのパワーにつなげる温泉での休み方を2回連載で徹底的に掘り下げます。
第2回の記事「【専門家に聞く!】疲労回復には温泉が有効?(第2回)」はこちら
疲労回復を目的に、温泉の泉質にこだわる人が増えた
──温泉には定着した人気がありますね。疲れているときに、ふと温泉に入りたくなります。
最近は、日帰り温泉施設が増えているし、温泉宿でも日帰り入浴できるところが少なくありません。車で少し遠出すれば、気軽に入浴できるところがたくさんあります。
──最近の、温泉へ足を運ぶ人たちの傾向があったら教えてください。
バブル期などは社員旅行などの団体旅行が盛んで、飲めや歌えやの宴会などがメインで、温泉は脇役の位置づけということも。それが最近では、夫婦、2~3人の友だち、ひとり旅といった個人旅行となり、温泉自体を目的にする人が増えています。
身体の不調や疲労回復のために効能を調べたり、「源泉掛け流し」にこだわったりして泉質を重視し、本来の目的である「湯治」に原点回帰しているように感じますね。
身体を休息モードに切り替えるには温泉が最適
──野添さんが思う温泉の魅力とは何でしょうか?
究極の「癒やし」に尽きます。人の身体は、活動中に優位になる交感神経と、休息したときに優位になる副交感神経によって成り立つ自律神経が、バランスよく働いて健康が保たれています。忙しい人は休息時間が短いため、常に交感神経が優位に。自律神経のバランスが崩れて、心や身体に不調が出やすくなります。
副交感神経を優位にして身体を休息モードへ切り替えるのに、湯につかるだけで疲労回復して癒される温泉はピッタリです。
──温泉から出ると、急速に眠くなるような気がします。
身体が温まると、体内の熱を発散させるため汗をかきます。そのときに消費されるエネルギーは1回の入浴で70kcalくらいとも言われ、ほどよい疲れを感じます。
また眠気は、温泉につかることで体温が上がったのち、元の体温に戻ろうと下がるときに訪れると言われています。
温泉に入ったあとに眠くなるのは、心地よい疲れと体温の影響があるのです。
デジタルデトックスして、まったりの世界にひたる
──さっそく温泉へ出かけたくなりました! 旅先につくと、観光に出かけたりお土産を買ったりと、つい忙しく動いて疲労回復するヒマがないかも。温泉旅館で、まったりする過ごし方はありますか?
せっかく温泉宿に着いても、テレビを観たりスマートフォンをいじったりと、いつもと同じ過ごし方をするのは勿体ないですね。真っ先にするとよいのは「デジタルデトックス」。テレビのコンセントを抜き、スマートフォンは金庫にしまってしまいましょう。
最近では、多数の書籍をそろえた談話室や、ビールやカクテル、ハーブティーなどが味わえるお休み処をつくるなど、趣向を凝らした施設を備える温泉宿が増えています。温泉街散歩、宿の庭園散策、エステ、マッサージ、岩盤浴など、部屋と風呂の往復だけでなく、プラスαの楽しみ方を探してまったり体験してみては。
──旅先では、「いつもと違う環境で眠れない」「緊張して熟睡できず、うまく疲労回復できない」などという場合があります。温泉旅館でゆっくり眠るための工夫やアイテムはありますか?
人気のある宿のキーワードは、「選べる」なんです。たとえば、枕は「硬い」「柔らかい」「そばがら」「羽毛」など、寝間着は「浴衣」「作務衣」「リラックスウェア」などから、自分の好みで自由に選べる宿があります。心地よさにつながる工夫がされている宿を、探してみるのもいいですね。
「自分のものが安心して眠れる」という人は、パジャマや枕などを持ち込むのもよいでしょう。お気に入りの香りを、スプレーなどで持参するのも○。寝る前に部屋や枕などにシュッと吹きかけると、落ち着いて眠りに入れます。
知っていても忘れがちな入浴マナーとは?
──いざ温泉に入るとき、心得ておくべき基本的なマナーを教えてください。
たくさんありますが、代表的なことを紹介します。
・湯船に入る前は、かけ湯をする
・肩より長い髪は、ゴム、シャワーキャップ、タオルなどでまとめる
・タオルを湯船に入れない
・湯船の中でアカすりしない
・洗面器やイスなどを使ったら元に戻す
・洗い場の場所取りをしない
・脱衣所に戻る前に、軽く身体を拭く
・大声でおしゃべりしない
──温泉に入るとき、「こんなマナー違反をときどき見かけます」ということはありますか?
テレビの影響だと思いますが、身体にバスタオルを巻いて湯船に入っている女性をみかけたことがあります。これはレアケースですが、女風呂でたまに見かけるのは、タオルを湯船に入れている人や、髪をまとめないで入浴する人です。
男風呂では、かけ湯をしないで入口から湯船へ直行してしまう男性が、ときどきいるという話を聞いたことがあります。
男女で共通なのは、洗い場に洗面器とイスを使ったまま放置すること。きちんと片づけて、だれもが気持ちよく使えるように気配りすることが大切です。
第2回は、野添さん自身の睡眠のとり方や、疲労回復に優れ、深い睡眠へ導くおすすめ温泉についてお聞きします。
文/内藤綾子
監修:温泉と宿のライター 野添ちかこさん
温泉と宿のライター 野添(のぞえ)ちかこさん
旅行・観光の業界紙記者を経て、フリーで活動をスタート。旅行誌、ガイドブック、新聞、テレビ、ウェブなどで日本各地の温泉と宿の隠れた魅力、おもしろ情報を紹介。一般社団法人日本温泉協会理事(2014年~現在)。「ViaSpa」http://www.via-spa.com/index.html
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内藤綾子(ないとうあやこ)
東京出身。保険会社でOLを経験したのち、編集プロダクションに転職してライター業をスタートさせる。
出産を機にフリーとなる。ビジネス、家庭、健康、育児、教育に関連する記事を雑誌やWebで執筆するほか、書籍の企画・構成なども行う。
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