【専門家に聞く!】睡眠不足が原因で便秘になるってホントですか?(第2回) 「快眠を目指し、便秘解消に向けて前進!」

睡眠不足になると、心や身体の調子が悪くなる人が少なくありません。そんな中、「便秘が気になる」という人もいるようです。睡眠不足と便秘は関係があるのでしょうか。日本橋レディースクリニック院長の野澤真木子先生に話を聞きました。第2回は、便秘にならないための日常生活の注意点を探り、快眠生活を目指しながら便秘の改善をはかります。
第1回の記事「【専門家に聞く!】睡眠不足が原因で便秘になるってホントですか?(第1回) 「実は深かった! 睡眠と腸の関係」」はこちら
便秘を放置すると、肌荒れや痔を引き起こす
──便秘を放置すると、身体にどのような悪影響がありますか?
・肌荒れなどのスキントラブル
本来便とともに排出される老廃物などがたまり、肌荒れや吹き出物が多くなることがあります。
・おなかの張りや腹痛がある
便がおなかにたまっているので、張りや痛みを感じることがあります。
・痔になる
硬い便や、トイレで強くいきまないと排便できない場合、痔核(いぼ痔)や切れ痔になることが。
──このような状態にならないために、睡眠不足を解消することがひとつの手立てと感じます。何時間くらい寝ることがすすめられますか?
睡眠時間は人によって違い、生活習慣によっても差があります。目安とするなら、6時間くらい。ただし、6時間にこだわらず、目覚めたときに熟睡感やスッキリ感があれば、それがその人に合った睡眠時間と考えるとよいでしょう。
寝る前のスマホいじりは睡眠に悪影響が
──睡眠時間がきちんと確保できていれば、腸もスムーズに活動できて便秘解消に近づけるのですね。よりよい睡眠をとるために、気をつけた方がよいことはありますか?
寝る前に、スマートフォンをいじらないこと。スマートフォンの強い光を浴びると、寝つきが悪くなり、眠れたとしても睡眠が浅くなりがちです。メールの返信やネットサーフィンなどは夜にやってしまいがちですが、寝る前は控えるようにしてください。
──睡眠不足以外で、便秘解消のために日常生活で注意することを教えてください。
・朝食を抜かない
「睡眠不足で起きられない」「忙しい」などと言って、朝食を抜くのはいけません。寝ている間に便は作られ朝には排便の準備をしています。朝、食事をとることでさらに腸の蠕動運動活発になり、排便につながります。「時間がない」「食欲がイマイチ」というときは、ヨーグルトやバナナだけでも○。
・早起きをする
寝坊すると、朝はバタバタになりがちです。早起きをして朝の時間に余裕を持ち、朝食をしっかり食べ、トイレに行く時間を取れるようにしましょう。せっかく便意があっても時間がないと排便するのを我慢してしまうことになり便秘を助長させることに繋がります。
・トイレは短めで、5分くらいまでに
便が硬いと、強くいきまなくては出ないことがあります。おしりに負担をかけるので、5分以上たっても出ないときは、いったんトイレから出て便意を待つことがベター。
・食物繊維の多い食事を意識する
便秘解消を意識した食事に、食物繊維が重要なことはよく知られています。食物繊維は、水溶性と不溶性があります。
水溶性食物繊維……便を柔らかくする働きがあります。ワカメやもずくなどの海藻類、アボカドなどの果物類、なめこなど粘り気のあるキノコ類などに多く含まれます。
不溶性食物繊維……便の量を増やして大腸の働きを活発にします。モロヘイヤなどの葉物野菜やキノコ類、グリーンピースなどの豆類、はと麦、玄米などの穀類、ドライフルーツやナッツ類などに多く含まれています。
便秘解消には、水溶性と不溶性の2つをバランスよく取り入れることが必要です。
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・油分を摂る
油分は腸の中で潤滑油となり、便をスムーズに出しやすくします。特にオリーブオイルは他の油脂より小腸で吸収されにくく、スッキリ排便を促します。約大さじ2杯/1日の摂取を目安に。
・水分を十分に補給
水分が足りないと便が硬くなります。1日約1.5~2リットルくらい飲むことで便に水分が行き渡り、スムーズな排便に。お茶などよりも、ミネラルを豊富に含むミネラルウォーターがおすすめ。
・こまめに運動を
腹筋が弱いと、便を外へ十分に排出することができません。ウォーキングやストレッチなど、こまめに身体を動かすことを心がけて。
市販の下剤を試す期間はどのくらい?
──生活を見直しても便秘が治らないとき、市販の下剤を試してみたくなります。どのくらいの期間使ってもよいのでしょうか?
1週間が目安です。それでも改善しない、下剤を飲まないと出ないなら受診しましょう。
また、便秘と下痢を繰り返す、便が急に細くなった、排便量が少なく排便の回数が多いというときは必ず受診しましょう。単に便秘と思っていても、大腸がんなどの重大な病気が隠れていることがあります。特に40歳以降の人は、便秘に悩む時期が続いたら積極的に受診してください。消化器内科、肛門科、便秘外来が適しています。
「便秘なんかで受診していいの?」「便秘で受診なんて恥ずかしい」という声もありますが、便秘は多くの不調のサインでもあります。快便習慣が、健康への第一歩であることを忘れないでください。
日本橋レディースクリニックの待合室
──最後に、読者へメッセージをお願いします。
睡眠が不足していると、身体の疲れは取れず、頭もボーっとして昼間のパフォーマンスが低下することはよく知られています。
でも、腸に影響があることはあまり知られておらず、自覚もないかもしれません。第1回でお話ししたように、身体は寝ている間に消化吸収活動を行い、便を作っています。腸にとって、睡眠はとても大切です。「便秘かな」と思ったら、まずは生活全体を見直して、睡眠にも気を配ってみてくださいね。また便秘に潜んでいる疾患もありますのでためらわず専門医を受診してください
文/内藤綾子
監修:医療法人社団 桃仁日本橋レディースクリニック院長 野澤真木子先生
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日本橋レディースクリニック院長
野澤真木子(のざわまきこ)
杏林大学医学部卒業。同大学医学部付属病院第一外科入局。消化器外科を専門として勤務。大腸肛門病センター松島病院、松島ランドマーククリニック院長を経て、現職に。
http://nl-clinic.jp/
資格:日本大腸肛門病学会専門医、指導医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本外科学会専門医
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