【専門家に聞く!】 夜泣きに負けない 赤ちゃんとママが眠れないときの対策 第1回 「どうして赤ちゃんは夜泣きをするの?」

出産を終えた多くのママたちは、ホッとするのもつかの間、赤ちゃんの夜泣きに悩み、睡眠不足を抱えて疲れきっていきます。そんなママたちのために、夜泣きのメカニズムや対策、ママの睡眠などについて、NPO法人赤ちゃんの眠り研究所代表理事の清水悦子さんに解説していただきました。2回連載でお届けします!
第2回の記事「【専門家に聞く!】 夜泣きに負けない 赤ちゃんとママが眠れないときの対策 第2回 「がんばりすぎるママたち。ママの睡眠は、どう確保する?」」はこちら
夜泣きに定義はない!? ママが悩んだら「夜泣き」
──清水さんの元には、夜泣きの訴えや対策の相談がたくさん寄せられるようですね。
「何度も泣いて起きる」「一度起きると、抱っこしないと寝てくれない」「夜、泣き続けて寝てくれない」など、夜泣きの悩みは多く寄せられます。
──とはいえ、「うちの子、夜泣きしないの」というママも少なからずいます。
「まったく夜泣きしない」「泣いても気づかない」「夜泣きと思っていない」というケースです。
そもそも、「○時間おきに○回泣いたら夜泣き」というような、夜泣きの定義はないんですよ。夜泣きとは、「赤ちゃんが、夜起きて泣いてしまって困る」と、ママが感じていることです。
「ひと晩に1回しか泣かないけど、毎晩だからつらい」と思ったら、それは夜泣きです。産後は疲れて心も不安定な時期なので、夜泣きに対する困り感をためてしまうママが多いのでしょう。
早くて3~4ヶ月から始まる。3歳ごろまで長引くことも
──夜泣きと向き合うママたちの心や身体は、どのような状態ですか?
睡眠不足なので、心も身体も疲れきっています。相談に来ると、「いつまで続くの?」「対策がわからない」などと、泣いて訴える人も珍しくありません。
──赤ちゃんの夜泣きは、いつごろから始まりますか?
一般的には生後6ヵ月ぐらいからと言われていますが、生後3~4ヵ月から始まる赤ちゃんも多いです。生後7~8ヶ月で始まった夜泣きが、2~3歳まで長引くこともあります。
夜泣きの原因となる2つのこと
──夜泣きの原因について教えてください。
次の2つが関係しています。
■体内時計のズレ
体内時計は、人間のホルモンや体温などを調整して、1日のリズムを作っています。生後3~4ヵ月ごろから徐々に整い始め、生後6ヵ月ごろからしっかり機能し始めます。
体内時計は”光”により調整されます。赤ちゃんは、昼と夜の光の強さの違いを身体で感じ体内時計を作っていくのですが、照明技術の発達により、夜でも明るい部屋の中で過ごしている赤ちゃんは多いですよね。
その結果、昼と夜の区別がつきにくく、体内時計をうまく調整できないため、夜の睡眠リズムが作れずに夜中に泣くのです。
■間違った寝かしつけの習慣
抱っこ、ゆらゆら、おっぱいなどを寝かしつけの習慣にしているママは多いと思います。でも、夜中に起きてしまうと、「いつもと同じ寝かしつけをして欲しい」と、泣くことがしばしばあります。抱っこ、おんぶ、添い乳など手のかかる寝かしつけだと、親の負担も大きくなります。
夜泣きのベストな対策は、生活リズムにあり!
──夜泣きには、どのように対策すればよいのでしょうか?
赤ちゃんの生活リズムを整えることがカギです。3つのことを実践してみてください。
1.朝は7時までに起こす
カーテンを開けて、朝の光をたっぷり入れてから赤ちゃんを起こします。「朝だよ、おはよう」とやさしく声をかけたり、身体を軽くゆすったりして目覚めさせて。
2.お昼寝の時間を調整して、日中は活動的に過ごす
たとえば、「子ども支援センターへ毎日通っています」というママの中には、赤ちゃんは積み木で座って遊んでいるだけということも。ハイハイやあんよを促し、積極的に身体を動かす遊びをしましょう。月齢が小さいなら、おうちでベビーマッサージもいいですね。
3.寝る前30分のイチャイチャタイムを作る
3歳までは午後7時30分、小学校にあがる前までは午後8時に寝かしつけを始めるのが理想です。寝かせる30分前に、寝室を薄明かりにして読み聞かせや授乳をすませ、たくさんコミュニケーションをとりましょう。赤ちゃんの心が安定し、寝つきがよくなります。
1~3を、夜泣きの対策として、とりあえず2週間続けてみてください。寝かしつけが楽になり、ママの気持ちも軽くなるはずです。
赤ちゃんの「寝言泣き」に過剰に反応するのはNG
──そもそも、赤ちゃんは一日中ぐっすり眠っている印象を受けます。夜も深く眠っているわけではないのでしょうか。
実は、赤ちゃんの眠りは大人とは少し異なります。睡眠は、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を繰り返しています。「浅い眠り」+「深い眠り」を、1セットで「睡眠サイクル」といいます。
大人は1つの睡眠サイクルが約90~120分と言われ、それをひと晩で3~5回繰り返しています。一方、赤ちゃんは、2歳までは約40~60分の睡眠サイクル。浅い眠りのときに、大人とは違って、泣いたり手足をバタバタさせたりすることが多くあります。40~60分ごとに、赤ちゃんがちょっと泣いたり身体を動かすことは、いたって普通のことなんです。
──赤ちゃんが、ちょっと泣くのは「寝言」と一緒なのですね。
そうです、これを「寝言泣き」といいます。赤ちゃんの夜泣きが、すべて「ママに何かをして欲しい」と要求しているわけではありません。
それを知らないと、「おしっこ出た? おっぱい飲みたいかな?」と反応して、実は、ただ浅い眠りになっているだけの赤ちゃんを、ママ自身が目覚めさせてしまっている可能性もあるんです。
夜中に泣いていることが分かったら、まずは「寝言泣きかな? 何かしてほしいのかな?」と、赤ちゃんを観察してみることも大切です。
第2回は「がんばりすぎるママたち。ママの睡眠は、どう確保する?」をお送りします。
文/内藤綾子
監修:夜泣き専門保育士 清水悦子さん
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NPO法人赤ちゃんの眠り研究所 代表理事 夜泣き専門保育士
清水悦子(しみずえつこ)
大阪府生まれ。理学療法士として病院や施設に勤務後、女児を出産。生後6ヵ月から始まった壮絶な夜泣きとその改善体験をきっかけに保育士資格を取得し、夜泣きのサポート活動を開始。日本人の生活スタイルに合わせた睡眠改善方法を優しく紹介した著書『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』(かんき出版)は、寝かしつけ育児書の定番として15万部突破。
http://www.babysleep.jp/
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