【専門家に聞く!】 やってしまった!寝坊したときの対策を伝授します 第1回「会社への連絡方法や謝罪の仕方」
INTERVIEW

目覚まし時計を見て、「うわっ、遅刻!」という場面は、誰もが経験しているのではないでしょうか。寝坊が理由で遅刻したとき、どう対策すればよいのか、マナー講師の三上ナナエさんに解説していただきました。2回連載でお届けする第1回は、「会社への連絡方法や謝罪の仕方」について、アドバイスします。
第2回の記事「【専門家に聞く!】 やってしまった!寝坊して遅刻したときの対策を伝授します 第2回 「絶対に避けたい寝坊、どのように対策する?」」はこちら
申し訳ないと思っても、うまく表現できない人が多い
──三上さんは、会社の新人研修を任されることが多いと聞きました。
新人研修では、遅刻しそうになったとき、周囲とどのようなコミュニケーションをとればよいか時間をかけて講義します。
──遅刻したときは慌ててしまい、頭が真っ白になりそうです。
誰でも、申し訳なさや反省の気持ちはありますが、うまく言葉や態度に表せていないケースが多いです。遅刻は誰もが経験する可能性があるうえ、その人の信用にもかかわる重要なことですから、きちんとフォローしなくてはいけません。
寝坊して遅刻したときの対策3つのポイント
──寝坊して遅刻したときの対策として、まずはどのように行動すべきか一連の流れを教えてください。
遅れるのが分かった時点で、すぐに上司に電話してください。上司が席にいなければ、上司の次の責任者に取り次いでもらいましょう。相手が電話に出たら、「申し訳ありません。寝坊して遅刻します。あと30分ほどで会社へ着きます」と簡潔に伝えます。
ポイントは3つです。
1.真っ先に謝罪の言葉を伝える
2.「寝坊して~」と、遅刻した理由を伝える
3.「あと30分ほど~」と、具体的な時間を伝える
──このとき、注意することはありますか?
上司に電話を代わってもらうのはドキドキですよね。でも、先輩や同僚に「寝坊して遅刻すると伝えてください」というのは対策としてNGです。それでは謝意が伝わらず、逆に印象が悪くなります。
また、メールで遅刻を伝えることはいけません。会社研修のとき、上司の方に、「みんな、メールや無料通話アプリで遅刻を伝えてくる。ダメなことを、どのように伝えればよいですか?」と聞かれることがとても多いです。
──なぜ、メールや無料通話アプリで遅刻を伝えてはいけないのでしょう。
・文字情報だけなので、申し訳なく思う感情が伝わりづらい
・上司が確実に読んでいるとは限らない
という理由からです。
もちろん、絵文字・顔文字・スタンプで「遅刻します」「m(_ _)m(ペコリ)」などは厳禁です。
出社後の行動と謝罪の言葉はどうする?
──出社後に、上司へどのように謝るとよいでしょう。
席へ座る前に上司の席へ行き、「社会人として恥ずかしいことをして、申し訳ありませんでした」と頭を下げましょう。
お詫びの言葉は、「申し訳ありませんでした」だけでよいと思いがちですが、それでは何に対して謝罪しているかわかりません。「恥ずかしいことをして」「信用をなくして」「ご迷惑をかけて」など、何に対しての謝罪かを明白にする必要があります。
──「申し訳ありませんでした」では十分でないのですね。
クレーム対応の研修でもよく講義するのですが、一番いけないのは、「申し訳ありませんでした」をただ連発することです。3回連続で謝ると「謝ればすむと思っている」と思われ、相手の気持ちを逆なでする可能性が高くなります。
「申し訳ありません」と「すみません」
──若い人は、「申し訳ありませんでした」という言葉を使い慣れていない気がします。「すみません」ではいけませんか?
「すみません」は、謝罪のほかに、「プレゼントをいただいて、すみません」という「感謝」、居酒屋などで「すみませ~ん」という「依頼」の意味を含む曖昧な言葉。心から謝罪したいときには適していません。
──寝坊した理由は、上司にどのように伝えるとよいでしょう。対策はありますか?
「なぜ寝坊したの?」と聞かれたら正直に答えればよいですが、聞かれないときは特に説明することはありません。長々とした言い訳を、上司も聞きたくないと思います。
──つい、寝坊した言い訳をしてしまいたくなります。
「目覚ましが鳴らなかったせい」「誰も起こしてくれなかったせい」という具合に、誰でも寝坊したことを何かのせいにしたい気持ちがあります。でもそれは、自分を正当化する言い訳に過ぎません。上司に対する印象を下げるだけです。
「寝坊した」とは言いにくい。ついウソの言い訳をしてしまいそう……
──寝坊したこと自体を隠して、ウソの遅刻の言い訳をしてしまう人もいるのではないでしょうか。
そうですね、実際に「寝坊した」と言う人は少ないです。でも、会社の人はたいていわかっているもので、ウソの言い訳をされるとモヤモヤします。正直に「寝坊した」という方が潔いですよ。ウソの言い訳としてよくあるのは、次の2つです。
・交通機関の遅延
「電車が遅れた」「車の事故があった」などは、よくある言い訳です。でも、インターネットで調べられるし、ウソなら遅延証明書も出ません。バレやすいウソです。
・体調不良
通勤途中で貧血などを起こすことは、珍しいことではありません。本当でもウソでも、遅刻の理由として一番多いです。ただし、ウソなら会社に着いても具合が悪いフリをしなければならず、後ろめたい気持ちが続くでしょう。
ウソをつく人には、「寝坊で遅刻なんかして、信頼をなくしたくない」という心理が働いています。でも、正直に「寝坊した」と謝罪した方が誠意が感じられて好感が持てますよ。
第2回は、寝坊による遅刻の予防対策などについて解説します。
文/内藤綾子
監修:マナー講師 三上ナナエさん
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マナー講師
三上ナナエ(みかみななえ)
1990年に北海道リコー株式会社へ入社(現リコージャパン)。販売戦略、セールプロモーションに従事。1995年日本空輸株式会社入社。客室乗務員としてジャンボ機チーフパーサー、新人OJTトレーナー、グループリーダーに従事。2005年~現在 企業研修、コンサルティング、および個人イメージコンサルタントとして稼働。年間 80回以上の企業研修を実施。
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