【教えて!Dr.】 睡眠の悩みが深くなる更年期を、こう乗り切る 第2回「更年期障害による不眠、日常生活を見直してみよう

更年期になるとさまざまな体調不良が現れますが、不眠もそのひとつ。2回連載でお届けする第2回は、更年期障害による睡眠の悩みに向けた、日常生活の注意点について解説します。更年期治療に詳しいポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~清水なほみ院長に話を聞きました。
第1回の記事「【教えて!Dr.】 睡眠の悩みが深くなる更年期を、こう乗り切る 第1回」はこちら
身体が「無理をしている」と言っている
──「更年期障害かも」と思ったとき、私たちが心がけることは何ですか?
更年期は誰もが経験するものなので、多少の体調不良があっても日常生活に支障がなければ、「治療しなければいけない」というものではありません。
この時期は、心身の不調が出やすいのと同時に、今まで多少無理ができていた人でも体力や抵抗力が落ちる傾向があります。更年期障害は、「毎日の過ごし方や身体のメンテナンスについて、考え直してみて!」という身体からのサインです。それを自覚した上で、日常生活を見直していくといいでしょう。
更年期障害の予防や改善を目指した日常生活とは?
──具体的には、どのようにすればよいですか?
更年期障害の予防や改善のために、次のようなことがすすめられます。
・何事もほどほどにして、完璧を目指さない
がんばり過ぎたり、完璧を目指したりしがちな人ほど更年期の症状は出やすくなります。すべてにおいて今までの8割くらいにペースダウンすることがポイント。「こうあるべき」という考え方を少し変えて、「ま、いっか」ぐらいの気持ちを持てるといいですね。
・サプリメントを上手にとり入れて
女性ホルモンに近い物質としてよく知られているのが、大豆イソフラボンです。継続的に摂取することによって、更年期症状を改善できると学会でも報告されています。
他にも、ピクノジェノール、チェストツリー、ブラックコッホッシュ、グルコサミンなどのサプリメントが有効です。
・身体を冷やさない
冷えからくる血流の悪さが、卵巣機能をさらに衰えさせます。身体を冷やす食べ物は避ける、極端な薄着をしない、入浴時15分以上は湯船につかる、適度なストレッチ&運動を継続的にするなど、冷え対策を忘れないでください。
・タバコは厳禁
タバコによって卵巣の寿命は10年近く短くなるといわれています。例え卵巣機能は正常でも、タバコによる害は男性よりも女性の方が深刻です。セルフケアを考えるなら、禁煙は大前提です。
睡眠の悩みが深い人ほど、「眠れないのはダメなこと」と思いがち
──更年期による不眠に対して、特に注意しておきたいことはありますか?
睡眠の悩みが深い人ほど、「眠れないことはダメなこと」と思っている傾向があります。まず、その認識をなくしましょう。
身体は、暗い部屋で横になり、目を閉じていれば十分に休息ができます。眠りにこだわらなくてもよいのです。
──眠っていないのに、睡眠の悩みは解決されるのでしょうか?
部屋を暗くするだけで、明るさに影響される、睡眠ホルモン・メラトニンがきちんと分泌されて、睡眠リズムを崩さないですみます。
同時に、目を閉じると情報が入らないので脳が休息できます。
──睡眠の悩みがある人は、「どうせ眠れない」と言って、リビングなどで過ごしてはいけないのですね。
パソコンをする、DVD鑑賞をする、スマートフォンをいじる、テレビを観るなど、強い光を見て、目からたくさん情報を入れるような行動は避けてください。
日中に“ワクワクすること”を見つけると、夜の睡眠がスムーズに
──昼間の生活で、アドバイスはありますか?
夢中になることを見つけて実践してみると、夜は普通に疲れて眠くなります。仕事でも趣味でもなんでもかまいません。
──仕事や家事などで、活動的に過ごしている人は多いと思うのですが。
「やらされている」ではなく、「したい」ことをするのです。ただ決められた仕事や家事をこなすのとは違い、“ワクワクする”ことがポイントです。
たとえば、
・仕事の合間のランチは、お店を厳選して大好きなものを食べる
・2時間かかる仕事を1時間で終わるように工夫する
・トイレ掃除を入念にして、居心地のよい空間にする
・好きなマンガを読む
など、日常動作の中に「いかに自分の機嫌をよくするか」という視点で工夫をちりばめていくのです。
睡眠の悩みにフォーカスすると、夜の過ごし方ばかり考えがちです。でも、日中の過ごし方の質を上げて心と身体を心地よく疲れさせてあげると、夜のスムーズな眠りにつながります。
まじめでがんばり屋の人は要注意
──どのような人に、更年期障害が強く出る傾向がありますか?
人に頼ることが苦手な、まじめでがんばり屋タイプ。「こうあるべき」という概念が強い人も多いです。
医師とのカウンセリングによって「がんばらなくてもいいんだ」ということに気づき、自分を甘やかせるようになるだけで症状が軽くなることがありますよ。
──最後に、メッセージをお願いします。
閉経したあとも、約30年以上の人生が待っています。20代や30代のうちから身体をきちんとメンテナンスして、症状に困ったらホルモン剤、漢方、代替医療をうまく利用しながら、素敵な更年期、そしてその後の第2・第3の人生を楽しんで欲しいと思います。
文/内藤綾子
監修:ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~清水なほみ院長
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ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~
清水なほみ(しみずなほみ)
2001年広島大学医学部医学科卒業。広島大学附属病院産婦人科・中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て、2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業。日本産科婦人科学会専門医。日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー
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