【友野なおさんに聞く!】 眠りを変えると、ダイエットできる!? 睡眠と美容との深い関係とは?

「眠りを改善したら15kgやせた!」そんな経験をもつ睡眠コンサルタントの友野なおさんに、睡眠とダイエットや美容との興味深い関係について聞きました。科学的に証明されたデータとご自身の体験から見えてきた、睡眠の奥深い世界をお届けします。
見かねた母のひと言が、思いがけない転機に。
—睡眠を変えて、15kgやせることになったきっかけは?
実は、ダイエットをしたくて睡眠を改善したわけではないんです。当時私は『仕事なし・お金なし・彼氏なし』のアラサーで、「寝ているヒマはない!」と焦っていたんです。そこから抜けだそうと、夜中に本を読んだり、ネットサーフィンをしたり。ひきこもりのような状態で、体重は増えてお腹はぽっこり。健康状態も最悪でした。
ある日、見かねた母が「一度ぜんぶ忘れて、寝なさい」と言ってくれたんです。半分あきらめの気持ちもあり、とにかく寝ようと思いました。
まずは、夜に眠るという基本からスタートして、22時に寝るのがいいと思い込んでいたので試してみたり、体調を崩したときは20時に寝てみたり。ひたすら15時間寝ると身体がダルかったので、逆に短時間だけ寝てみたこともあります。ほぼ人体実験ですね(笑)。
たどりついたのが、0時から7時までの7時間睡眠。今も続けていますが「自分にとって心地よい眠りはコレだ!」と。睡眠を改善しはじめて、2ヵ月が過ぎていました。
そして、睡眠改善から半年後くらいに、周りから「やせた?」と言われて、体重計にのったらマイナス7kg! そこからは手帳に体重も記録しながら、睡眠状態をマネジメントしました。7年たった今ではマイナス15キロ。リバウンドもなしです。
『睡眠不足だと太る』は、常識になりつつある!
—夜にぐっすりと眠ることで、ダイエットできたのはなぜですか?
睡眠でやせるという現象は、たまたま私にだけ起きたわけではありません。寝不足だと太るということは、科学的に証明されているんです。
一番の理由は、食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れるから。寝不足だと、食欲を増加させるホルモン(『グレリン』『オレキシン』)が増え、逆に満腹中枢を刺激して食欲を抑えるホルモン(『レプチン』)が減ることがわかっているんですね。
7時間〜9時間睡眠の人を基準としたとき、4時間睡眠の方は肥満度が約73%高くなると言われています。日本人に多い6時間睡眠の方でも肥満度が約23%高くなると言われているんです。
また、睡眠の時間だけでなく、質も大切です。特に、就業時間が長い日本では、睡眠時間を確保することができない場合も多いですよね。短時間でも睡眠時間がダイエットの時間になるような質の高い睡眠=「寝た〜!!」と思えるような睡眠をとることが重要です。
睡眠時間をダイエットタイムにする、3つの睡眠習慣。
—ダイエットにつながる睡眠をとるために、まずできることを教えてください。
簡単に取り入れられる3つのポイントをご紹介しますね。
1つ目は、光のコントロール。
目を閉じていても光は感知されるので、眠るときは真っ暗な空間がいいと言われています。奈良県立医科大学が行った高齢者を対象にした実験では、小さなあかりをつけて寝たグループと、真っ暗にして寝たグループでは、前者の方が約1.9倍肥満度は高くなったそうです。
夜中にお手洗いに行かれる場合は、足もとを照らすフットライトや、光源が目に入らないよう、ベッドの下などに小さな照明を設置したりしておくと安心です。
また、就寝前は暖色系のやや暗めの照明に切り替えた方が、深い睡眠が得やすいこともわかっています。
2つ目は、温めること。
寒い冬だけでなく、四季のある日本では、季節の変わり目に自律神経が乱れて身体が冷えることもあります。夏場もエアコンや冷たいものの飲食で、身体は意外と冷えているんです。
私たちは、身体の中の熱が外に出ていくと眠くなるメカニズムを持っています。でも、手足が冷えると身体の熱が出ていかず、眠りを妨げてしまうんです。私もその典型だったので、手首、足首、首の3つの首を温めるよう心がけました。特に足首は一度冷えると温まりにくいので、お風呂からあがるとすぐにレッグウォーマーをつけるようにしています。
首はネックウォーマーやストールをまいたり、蒸気で温めるグッズを使ったり。首を温めると、自然と呼吸が深くなり、精神的なリラックスにもつながるのでおすすめです。
3つ目は、パジャマを着ること。
ルームウェアやスウェットではなく、パジャマと呼ばれるものを身につけることが大事です。私たちはひと晩に約30回の寝返りをうつと言われています。裾が長すぎるものや摩擦の大きいスウェットなどではスムーズな寝返りがうちにくくなり、睡眠の質を落としてしまいがちです。
また、寝返りをうちにくいと腰に負担がかかって、腰痛になることも。「マットレスや枕をいろいろ試したけど、腰痛が治らない」とお悩みの方に、着ているものを聞いてみたら『昔のスウェットです』と。まずは、パジャマに変えてみてくださいとアドバイスしました。
『睡眠力』=『免疫力』と私はよく言うのですが、その睡眠力をつくっているのが『寝返り力』。睡眠時間をダイエット時間にするために、寝返りを妨げないようなパジャマを選んでみてください。
いい睡眠は、美容や健康、そして人生の質をあげる!
—ダイエット以外にも、睡眠を改善して変わったことはありますか?
私の場合は、睡眠で人生が変わったと言ってもいいくらいです。そんな自分の経験と科学的なデータとを照らし合わせて考えると、美容や健康面での変化は大きいと思います。
睡眠が美肌につながることは科学的にわかっていますし、私の場合はお肌の免疫力もあがりました。長年重度のアトピーでしたが、今ではほとんどの化粧品が使えるようになったんです。
また、身体の自然治癒力が高まることもわかっています。睡眠不足では、風邪を引きやすくなる、生活習慣病になるリスクが高くなるなどのデータもあります。私は睡眠を改善して7年間、1度も風邪をひいていません。主人が風邪をひこうが、姉がインフルエンザになろうが元気なので、「我ながらスゴイ!」と思いますね(笑)。
睡眠の質は、人生の質そのものだと思います。人生の土台となる身体と心の健康を育む基礎となるのが、睡眠。さらに、美容促進や仕事のパフォーマンス向上など、人生の満足度を高め、日々を豊かにしてくれます。ぜひ、睡眠の大切さを頭の片隅に置いて、日々の生活の質を高めていただけるとうれしいです。
ただ、「睡眠をとらなくちゃ」と神経質になりすぎると、かえって眠れなくなることも。まずは「パジャマを変えてみる」「寝室のカーテンをリラックスカラーにしてみる」など、寝具や空間を整えることから試してみてください。寝室が快適だと、早く帰って眠りたいという気持ちにもなりますよね。
文 / 武田明子
監修:睡眠コンサルタント
友野 なお(ともの なお)さん
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株式会社SEA Trinity 代表取締役 産業心理カウンセラー
友野なお(とものなお)
順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士前期課程にて睡眠を研究し、修士号を取得。自身が睡眠を改善したことにより15kg以上のダイエット、さらに体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。 科学的なエビデンスを基本とした行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とする。
著書:『やすみかたの教科書』(主婦の友社)『大人女子のための睡眠パーフェクトブック』(大和書房)など。
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