【友野なおさんに聞く!】 睡眠の質を損なわない年末年始の過ごし方

1年で最も睡眠リズムが乱れやすい年末年始。年末は夜更かし三昧で、おいしいものを食べながら朝まで宴会で年越しという人も多いでしょう。そんな状態では睡眠の質が低下し、仕事復帰がつらいもの。睡眠の質を保ちながら、年末年始を楽しく過ごす方法を、睡眠コンサルタントの友野なおさんに教えていただきました。
──睡眠の質が低下すると、身体や心にどのような影響が出るのでしょうか?
身体にはいつまでも倦怠感が残り、目覚めたときの爽快感もありません。免疫力が低下し、体調不良になることも。
日中は頭がボーッとしてしまい、物事に対する集中力や判断力も鈍くなります。車の運転ミスで事故を起こしやすくなるので、年末年始の移動には注意が必要です。
また、ストレスが溜まりやすくなり、ひどくなると冬期うつ病といって、10~4月ごろにかけてうつ症状が出たりすることもあります。
帰省先に必携! 睡眠の質が保てる最強アイテムとは?
──帰省先の実家やホテルに宿泊すると、「いつもの寝室や寝具でないので、寝つきが悪くなる」という人は多いと思います。そのようなときの対処法は?
ぜひ持参してほしいのが、次の2つです。
・パジャマ
睡眠の質を保つには、寝返りを妨げないことがポイントに。寝返りには、体液や血液の循環を促す、疲れてこわばった筋肉をほぐす、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを切り替えるといった、就寝時の体をサポートする役割があります。パジャマは、そんな寝返りをスムーズにするように作られた睡眠必須アイテムです。
また、いつもと寝室や寝具が違っても、着慣れたパジャマで布団に入ればリラックス感や安心感が得られ、すんなり眠りの世界へと導かれるという利点もあります。
・アロマの香り
いつもの環境でないと、多少緊張して寝つきにくくなることがあります。リラックスするのに、アロマの香りは最適。香りの分子は鼻や皮膚、呼吸器などを通じてダイレクトに脳へと伝わり、心と身体に働きかけてくれます。
手軽なのは、ロールオンタイプ。手首や首筋などにひと塗りして、香らせます。精油からつくり込むアロマと違い、最初から「リフレッシュ」「グッドナイト(睡眠用)」など、目的やシーン別にブレンドされているので使い勝手がよく、アロマ初心者や男性にもおすすめです。
肌に直接つけるのが苦手という人は、ピローミストやルームスプレーを活用するのもよいでしょう。
眠りをサポートするのに適している香りは、リラックス効果が高いラベンダー、鎮静作用のあるイランイラン、森の香りがして鎮静効果が証明されたセドロールなどです。ぜひ、試してみてくださいね。
宴会は、アルコールとノンアル飲料を交互に飲む
──帰省先の実家、もしくは自宅でゆっくり過ごす人は、ついテレビを観ながらダラダラ過ごしがちに。睡眠に悪影響が出ない、おうちでの過ごし方はありますか?
前日夜更かししても、翌日は寝坊しないことが大事です。とはいえ、「元日くらいは、いつまでも寝かせて~」という人はいるでしょう。1日くらいは自分を甘やかしていいんですよ。その代わり、2日目からは、仕事のときに起きる時刻の2時間後までに起きるよう心がけてください。たとえば、いつも朝6時起床の人は8時までに起きるようにします。
3日目は、7時~7時30分までというように、30分~1時間ずつ時間を前倒しして日常へ戻す工夫をすると、仕事始めには、それほど無理なく目覚めることができるでしょう。
──忘年会や新年会など、飲み会が続く時期でもあります。睡眠になるべく影響が出ないようにするコツはありますか?
アルコールには覚醒作用と利尿作用があるので、飲み過ぎると睡眠の妨げになります。そこで、ビールなどのアルコール飲料と水などのノンアルコール飲料を注文して、交互に飲むことをおすすめします。単純にアルコールの量が減らせるし、人とのお付き合いにも支障は出ません。
また、おつまみにも気を配ってください。から揚げや天ぷらなど消化に時間がかかるものは、消化器官の活動を活発にしてしまい、眠りを遠ざけてしまいます。消化がスムーズで身体に負担の少ない豆腐、温野菜、枝豆などがベターです。
寝具を見直して、新年の気持ちよい目覚めを引き寄せよう
──年末年始に、睡眠をよりよくするために心がけておくことはありますか?
「寝具が合っていないと睡眠の質が落ちる」ことが、これまでの調査で明らかになっています。新年の朝を気持ちよく迎えるためにも、寝具の見直しを、ぜひやって欲しいと思います。
枕は高すぎず低すぎず、首のカーブを埋めて首から頭にかけてしっかりと支えてくれるもの。マットレスは立っているときと同じような寝姿勢を保つことができ、寝返りしやすく、体圧を均等に分散してくれるもの。掛け布団は軽いもの、といったことを目安にしてください。
──年末年始を楽しく過ごし、仕事始めをすがすがしい目覚めでスタートさせるために、読者へ向けてメッセージをお願いいたします。
年末年始は多くの人の睡眠リズムが乱れがちですが、それは悪いことばかりではありません。夜更かしや寝坊すれば「身体の調子がイマイチ……」、睡眠リズムを立て直したときには「なんだか身体が軽い!」といったように、睡眠から自分の身体と向き合う作業ができるんです。そうすることで、睡眠の重要性が見えてくるはずです。
2017年は睡眠を大切にして、皆さんが充実した1年を過ごせますように。
文 / 内藤綾子
監修:睡眠コンサルタント
友野 なお(ともの なお)さん
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株式会社SEA Trinity 代表取締役 産業心理カウンセラー
友野なお(とものなお)
順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士前期課程にて睡眠を研究し、修士号を取得。自身が睡眠を改善したことにより15kg以上のダイエット、さらに体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。 科学的なエビデンスを基本とした行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とする。
著書:『やすみかたの教科書』(主婦の友社)『大人女子のための睡眠パーフェクトブック』(大和書房)など。
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