快眠セラピストの三橋美穂さんが伝授! ぐっすり睡眠は最大の健康法だ!

運動、食事、サプリメントなどで、誰もが何らかの健康法を試したことがあるのではないでしょうか。とはいえ、すべての人が必ず行う「睡眠」こそ、健康を左右する最大のスキルだということは、あまり知られていないようです。1万人の睡眠に関する悩みを解決した睡眠セラピストの三橋美穂さんに、睡眠がもたらす身体と心の影響について詳しく話を聞きました。
免疫力がアップし、肌や髪もイキイキつやつやに
睡眠に関するセミナーや勉強会などを開き、常に睡眠に悩む人たちの声に耳を傾けている三橋さん。睡眠に関する悩みとして、どのような訴えが多いのでしょう。
「毎日忙しくて満足な睡眠時間がとれないビジネスマン世代からは、『短い睡眠時間で身体がつらい。日中を乗り切れる方法はない?』と聞かれることがよくあります。高齢の方からは、『熟睡感がない』『寝つきが悪い』といった声が。睡眠の悩みは一向に減る気配がありません」
このような悩みを長く抱え込んでいると、身体と心にさまざまな影響が出てくると言います。
「人は眠ることで脳を休め、細胞を修復し、記憶を整理します。身体は新しい血液を作って免疫力がアップし、横たわることで血圧が適度に下がって安定します。睡眠中は成長ホルモンも分泌されるので、肌や髪がイキイキつやつやになるほか、疲労回復、脂肪分解、骨や筋肉の増強などにも役立ちます」
逆に満足な睡眠がとれていないと、感情をコントロールする脳にある「前頭葉」の血流量が低下します。4時間半の睡眠が5日間続くと、脳機能が低下し、不安感が増したり、気持ちが落ち込んだりするうつ病に近い症状が出るという報告も。『これくらいでいいや』『どうせ自分なんか』とネガティブ思考に陥ることもあるのです。「睡眠の質が悪いと、認知症、高血圧、肥満、糖尿病、うつ病、脳卒中などのリスクも高くなります」と、三橋さんは警鐘を鳴らします。
まさに、睡眠は生きていく上でのベース。眠りをコントロールして、身体を健康にすると同時に心も前向きにしたいものですね。
「上質な睡眠」に導くためのポイント
三橋さんによると、一日のうちで最も脳が覚醒している午前10~12時にイキイキと過ごせていれば、「上質な睡眠」がとれている証拠なのだそう。上質な睡眠に近づけるための生活習慣のポイントは、次の通りです。
・体内時計を整える
毎朝、同じ時刻に起きて太陽光を浴び、朝食をとることで体内時計は調整されます。休日だからと遅くまで寝ていると、体の中が時差ボケ状態になってしまうので気をつけて。
・活動的に過ごして疲れをためる
人の身体は、疲れがたまるほど眠気が増すようになっています。疲れをためるために、就寝前8時間はしっかり起きていることが重要なので、「午後はついうたた寝してしまう」という人は、なるべく起きて活動するようにしましょう。
・深部体温のメリハリをつくる
身体の内部の温度を深部体温と言います。深部体温をいったん上げると、下がるタイミングで眠気が訪れる仕組みに。就寝前に軽いストレッチや入浴などで身体を温めることを心がけて。
・リラックスする
就寝前にリラックスすると、身体が休むときに働く「副交感神経」が活発になり、全身の血行がよくなります。特に手足がポカポカになり、寝つきがよくなります。自分なりのリラックス法を試してみましょう。
「高齢者に多い傾向があるのですが、眠くないのに『寝る時間だから』『8時間眠らないといけない』などの理由で布団に入ってしまう人がいます。眠くないのに布団に入ると、眠れないことで頭がいっぱいになり、『今日も眠れないのでは』と不安になって、逆に眠れなくなることに。朝、起きる時間だけ決めて『眠くなったら布団に入る』というスタンスにすると、ぐっすり眠れるようになります」
マットレスと枕が、ぐっすり睡眠のカギに
さらに、上質な睡眠を得るには「睡眠環境を整えることも大切」と、三橋さんは指摘します。
「寝具で最も重要なのは、身体を支える役割を果たすマットレスと枕です。マットレスは、体圧が分散されて、寝返りしやすいものを選んで。一般的には、スリムな人はやわらかめ、標準体型なら中くらい、ガッチリ体型の人は硬めがおすすめです。枕は、立っている姿勢を保てる、横を向いたとき肩や腰の圧迫感がない、スムーズに寝返りができる、という3点を重視してください。ショールームで実際に試しながら選ぶと間違いないでしょう」
忙しい人は軽いストレッチにトライ!
「毎日の睡眠を充実させたい」と思ってはいるものの、忙しくて「どうしても睡眠を犠牲にしてしまう」という人は少なくありません。そんなとき、どうすればよいでしょうか。
「忙しくて入浴をシャワーですませてしまう人がいますが、5分間でも湯船に入って身体をリラックスさせてください。そのあと、1分くらい軽いストレッチをして、身体の緊張を少しでもほぐしてあげましょう。おすすめの『手首ブラブラストレッチ』をご紹介します」
1 両手首を肩の高さに上げ、手首の力を抜く。
2 手首を横に30回、水滴をはじく要領でブラブラと振る。
3 手首を縦に30回ブラブラと振る。
「寝る前はもちろん、仕事の休憩時間などに、1日2~3回行ってください。首から肩にかけてのこりをほぐして血流をよくする効果があり、ぐっすり睡眠へと導いてくれます」
「身体のだるさが抜けない、仕事がはかどらない、ダイエットがうまくいかない、人間関係につまづきがあるなど、日ごろの身体と心の悩みは、ひょっとしたら睡眠に原因があるかもしれません。睡眠と活動は表裏一体。日中のパフォーマンスを上げて健康的に過ごすには、睡眠をしっかりとることが近道なのです。さまざまな健康法をお金をかけて試すよりも、一番身近にある睡眠を大切にしてみると、身体と心の不調から解放されることは案外多いもの。今日から“ぐっすり睡眠健康法”を、ぜひ試してください」
文/内藤綾子
監修:睡眠セラピスト・睡眠環境プランナー
三橋美穂(みはしみほ)さん
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快眠セラピスト/睡眠環境プランナー
三橋美穂(みはしみほ)
寝具メーカーの研究開発部長を経て2003年に独立。 睡眠を多角的研究し、全国での講演活動や、ベッドメーカーのコンサルティング、 ホテルのコーディネイト、快眠グッズのプロデュースなどに携わる。 『驚くほど眠りの質が良くなる快眠メソッド100』(かんき出版)など著書多数。テレビ出演も多い。 http://sleepeace.com/
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