安眠を誘う香りの中で、おやすみなさい!

安眠と香りが深い関係にあることは、よく知られています。そのメカニズムや、睡眠の悩みを香りで解消する方法などについて、アロマフレグランス調律協会で代表理事を務める井崎真奈美さんに解説していただきました。疲れを癒やし、眠りの世界へと導いてくれる自分だけの香りを見つける参考にしてください。
本能に直接働きかける香りのメカニズム
そもそも、香りが私たちの身体にどのように働きかけてくれるのか、メカニズムから解説しましょう。
香りをかぐと、最初に、本能や感情の中枢といわれる「大脳辺縁系」(本能の脳)を刺激します。ここで「快・不快」といった情動や行動、古い記憶に結びついたあと、さらに自律神経やホルモンのバランスを司る「視床下部」に届きます。
特にアロマのような心地よい香りなら、視床下部に直接働きかけて自律神経のバランスが整い、副交感神経が優位に。身体の緊張がほぐれて気持ちが落ち着き、心身ともにリラックスできます。副交感神経が優位になると、身体を睡眠モードへ切り替えることもできます。
寝つきが悪い、すぐに目覚める。高齢者の悩みが多い
この仕事をしていると睡眠の悩みを寄せられることがあり、中でも、高齢の方から相談を受けることが多くなりました。
具体的には
「なかなか眠れないので、スムーズに入眠できる香りはありませんか?」
「眠りが浅くてすぐに目が覚めるので、安眠できる香りを知りたい」
「ハーブ系の香りが苦手なので、それ以外で眠れる香りを教えてください」
「安眠のために、アロマをどのように使ったらよいのですか?」
などといったことです。
安眠にピッタリの香りはコレ!
そんなときは、安眠できる香りをいくつか提案しています。それぞれの作用をよく確認して、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
ラベンダー……脳波による実証実験や主観的評価などでも支持が高く、最もポピュラーな香り。緊張やストレスを和らげて気持ちを落ち着かせる作用が、スムーズな寝つきを誘います。
オレンジ……気持ちを前向きに、明るくする柑橘系の香り。寝る前の不安な気持ちを一掃してリフレッシュさせ、安心して熟睡できる作用があります。
ベルガモット……リラックスできる鎮静効果とリフレッシュ効果を併せ持っています。紅茶のアールグレイの香りづけにも使われる優しくて心地よい香りが、良質な睡眠へと導きます。
サイプレス……ヒノキ科の木の葉の香り。清涼感があり、自然たっぷりの森林を想像させ、不安感や高ぶった気持ちを冷静に落ち着かせます。呼吸を楽にすることから、ストレスがたまったときなどの安眠に効果的です。
ただし、一般的な効果効能にとらわれすぎて、自分が好きでない香りを選んでしまうのはいけません。嗅覚は、五感の中でも生理反応に直接結びつくとても重要な感覚なので、本能的に「心地よい」「好ましい」と感じるものこそ、自分にとって必要な香りです。香り選びに迷った場合は、先入観にとらわれず、直感で「好きだな」と思う香りを選びましょう。
ティッシュにアロマを1滴垂らすだけでもOK
寝室で安眠したいとき、香りを楽しむ方法はいくつかあります。初心者でも簡単にできますよ。
・ディフューザー、ファン式、アロマポットなどの芳香器を利用する。寝室の大きさに応じて選んで
・ルームスプレーやピローミストを、シュッと吹きかける。顔につかないよう、枕の裏などにスプレーするのが適切
・アロマフレグランスを、パジャマまたは下着のシミにならない箇所にスプレーする
・ティッシュやハンカチにアロマを1滴垂らし、枕の横か布団の上に置く
スプレーなどで多めにつけすぎると、香りを強く感じてしまうことがあります。かえって睡眠の邪魔になる場合もあるので、寝室での香りは控え目なくらいを目安にしてください。
脳へダイレクトに届き、自律神経に働きかける香りは、一瞬にしてリラックス&リフレッシュ作用をもたらす「自然の植物からの魔法の贈り物」です。どうしても眠れなくて困ったときこそ、アロマの魔法を使ってみませんか。
取材・文/内藤綾子
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一般社団法人アロマフレグランス調律協会 代表理事
井崎真奈美(いさきまなみ)
アロマテラピーの豊富な知識を習得したうえで、フランスのパリやグラースなどで本格的な調香技術を習得。大手メーカー商品のアロマ監修、ホテルやギャラリーなどでのアロマによる空間演出など、多彩な活動を行う。
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