睡眠と肌の関係 美肌のために気をつけたいこと

睡眠と美肌にはどのような関係があるのでしょう。そのメカニズムや、肌のための適切な睡眠のために気をつけたいことについて、睡眠健康指導士・管理栄養士の篠原絵里佳さんにお話を伺いました。また、篠原さんのご経験から、普段気をつけていらっしゃることも教えていただきます。
肌によい睡眠とは
──質のよい睡眠をとることは、肌にどう影響するのでしょうか?
質のよい睡眠をとることで、ターンオーバーと呼ばれる、肌の生まれ変わりが促されるほか、肌に張りや潤いを与えて、血色がよくなります。また、たるみの予防にもなり、顔のバランスを整えます。
──肌にとってよい睡眠とは?
健康的で美しい肌にとって、入眠後、すみやかに深い睡眠に入ることが重要です。人の身体は深い睡眠に入ると、成長ホルモンが血中に大量分泌されるようできています。そして、この成長ホルモンがたんぱく質(アミノ酸)を材料にして肌づくりを促します。
成長ホルモンが大量に分泌された後は、生体リズムの影響で肌細胞の分裂が盛んになるのですが、この成長ホルモンの分泌と、肌細胞の分裂が同時に起こることで、美肌が作られるというわけです。
また、眠りを誘うホルモン「メラトニン」には抗酸化作用があり、肌のシミ・シワ・たるみの一因となる活性酸素を除去します。メラトニンが分泌されることで、深い眠りにもつきやすくなります。
よい睡眠をとるために心がけたいこと
──よい睡眠をとるために日中、心がけた方がよいことはありますか?
●仮眠をとる
12~15時の間に20分程度の仮眠をとると、夜の睡眠の質がよくなります。本格的に寝入ってしまい深い睡眠にならないよう、椅子に座ったままで仮眠をとるのがおすすめです。
●運動をする
日中、身体を動かすのもよいでしょう。適度な疲労が夜のスムーズな入眠を促してくれるはずです。運動をする時間を作るのが難しい方でも、駅の階段を使う、通勤・通学途中になるべく歩くなど、普段の生活の中でちょっとしたリズムのある運動を心がけてみてください。
●食事を気をつける
肌の材料となるたんぱく質が豊富な食材(肉、魚、卵、大豆製品、乳製品)を毎食しっかりとるように心がけましょう。
──質のよい睡眠のために、眠る前にした方がよいことはありますか? または避けたほうがよいことは?
●眠る前にするとよいこと
・就寝1時間~30分前は、リラックスして過ごす(軽いストレッチ、腹式呼吸、アロマを焚くなど)
・就寝1時間~30分前までに、ぬるめのお風呂に入る(38~40℃くらい)
・メラトニンの分泌を促すために、室内は白熱灯のようなオレンジ色の光にする
・コップ1杯の水を飲む
・入眠儀式をつくる
●眠る前に避けたほうがよいこと
・アルコールは深い眠りにつきにくく、途中で目が覚めやすくなるため、寝る直前まで、アルコールを飲まない。飲み過ぎないこと
・煙草を吸わない(遅くても就寝の30分前までにする)
・メラトニンは強い光の影響を受けやすく、スマートフォンやパソコン、蛍光灯などの強い光を浴びることで分泌が抑制されてしまうため、就寝の1時間前までに(遅くても30分前)は見ないようにすること
・遅い時間に激しい運動はしない
・あれこれ考え事をしない
・交感神経が高ぶるため、テレビは就寝1時間~30分前までに電源をオフにする。
──起床してからしたほうがよいことはありますか?
・カーテンを開けて朝日を浴びる。(朝日を浴びた14~15時間後に眠りを誘うホルモン、メラトニンが分泌されるため)
・コップ1杯の水を飲む
・朝食を食べる。できれば、卵や肉、魚、大豆製品、乳製品等のたんぱく質が豊富な食材をとりましょう。これらの食材には、メラトニンの材料になるトリプトファンが含まれるからです。また、朝食を食べることで、生体時計のリズムも整いやすくなります。
篠原さんが普段から気をつけていることとは?
──篠原さんのご経験から、睡眠は肌にとってどのようなものでしょうか?
「美人は夜作られる」と言われています。どんなに高価な化粧品を使いエステに通っても、肌の細胞が生まれ変わるのは寝ている間です。
眠り方も大切で、質のよい睡眠を7~8時間、少なくても6時間は確保したいものです。また、できるだけ同じ時刻に寝ることで「リズム」を作ることも大切です。速やかに入眠するために、眠りにつきやすい環境を整えることも大切ですね。
──篠原さんが普段、睡眠で気をつけていらっしゃることはありますか?
睡眠に関して、私がとくに心がけていることは、眠る前にリラックスして過ごす時間を作ることと、眠りにつきやすい環境を整えることです。
温度と湿度、寝具、寝巻等の環境への配慮は大切です。温度は16~26℃、夏は26~27℃、冬は16~19℃に。湿度は50~60%を目安にしています。
寝巻は、肌触りがよく、体を締めつけがないもの、汗を吸いやすい吸湿性のあるものを選びます。
寝具は寝返りがしやすい適度な弾力があるものにしています。また、アロマを焚く、お風呂上がりにボディークリームをつけながら、軽くマッサージをして血行をよくするようにしています。
眠りは内面美人も作りますので、内面も外見も美しくなるように、睡眠を大切にしています。
美肌をつくるためにと、化粧品や保湿など外側からのケアが注目されることも多いですが、美しい肌をつくるために、質のよい睡眠は欠かせないのですね。ぜひ美肌のためによいこと、取り入れてみてください。
取材・文/数野由香子
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管理栄養士・上級睡眠健康指導士
篠原絵里佳(しのはらえりか)
総合病院やクリニックで栄養士として経験を積むなかで、食事制限があっても楽しく食と付き合ってほしいという想いを常に持ち管理栄養士の資格を取得。長年の臨床経験とアンチエイジング医学を通し、身体の中から健康と美しさをつくるための活動を行っている。食事と睡眠の関わりから健康と美容にアプローチする「睡食健美」を提唱している。
https://ericashinohara.com
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