美容のための睡眠を!メラトニンの効果まとめ
COLUMN

ぐっすり眠って目覚めた朝、肌の調子がよくてうれしい思いをしたことはありませんか。反対に寝不足の日の朝のお肌は、調子がよいとは言えないのではないでしょうか。
その美容と睡眠の両方に深い関係があるのが、睡眠ホルモン「メラトニン」。メラトニンの分泌が充分であれば、ぐっすり眠れると言われていますが、美容やアンチエイジングにもよい影響があるそうなのです。
そこで今回は、メラトニンの睡眠や美容・アンチエイジング効果について一般社団法人日本眠育普及協会の代表理事で、睡眠改善インストラクターの橋爪あきさんに教えていただきました。
睡眠ホルモン「メラトニン」とは
──メラトニンは睡眠ホルモンと呼ばれますが、どのようなホルモンなのでしょうか。
メラトニンは、脳の松果体(しょうかたい)と呼ばれる脳の部位から分泌されるホルモンで、夜になって暗くなると分泌が高まり、入眠を誘い、睡眠の質を高めてくれることから「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。このメラトニンは子供時代に最も活発に分泌しますが、思春期から急速に減少し、中高年ではさらに低下。70代になるとピーク時の10分の1になってしまいます。
高齢期に入って寝つけない、途中で目が覚めてしまい、その後眠れない、朝早くに目が覚めてしまうといった高齢者睡眠の症状が出てくるのは、睡眠を促し睡眠の質を深めるメラトニンの分泌が減少した証拠と言えます。
若い人でも、日常生活が乱れていたり睡眠習慣が悪かったりすると、メラトニンの分泌は低下し、よい眠りを得ることはできません。
メラトニンをしっかり分泌させることは、快眠には欠かせないことなのです。
「メラトニン」は睡眠へ導くだけでなく、美容にもうれしい
──メラトニンは、睡眠にとって重要な働きをするほかには、どのような働きがあるのでしょうか。
メラトニンによって睡眠に入り、最も眠りの深い状態になったとき、成長ホルモンの分泌量が最大となります。成長ホルモンは細胞のダメージを修復し、肌も含めた身体中の新陳代謝を活性化します。脂質代謝、つまり体脂肪の分解も促進するので美容のためにも欠かせない存在です。
成長ホルモンの分泌は20代に入ると低下し始め、加齢とともに減少します。その結果、身体のたるみ、筋肉の萎縮、薄毛などの老化現象が起きてくるわけです。
つまりメラトニンをしっかりと分泌させることが成長ホルモンの分泌につながり、美容にもよい影響があるということです。
さらにメラトニンには「抗酸化作用」があり、細胞を酸化し破壊する分子・原子であるフリーラジカルを消去し、正常な細胞再生を促してくれます。この働きは神経細胞でも行われますから、認知機能の衰えも防ぐことができ、美容だけでなくアンチエイジングにも効果があると言われています。
そしてメラトニンには「免疫強化作用」もあり、感染症やガンなどから身を守ってくれます。
このようにメラトニンは心身を健康に保ち、老化を防止する役割を持っていると考えられます。美しさは見た目だけではありません。健康な体から溢れるエネルギーがあってこそ、魅力的な女性になることができるものです。メラトニンは美と健康の素とも言えるでしょう。
目指せ、美容のための睡眠! メラトニン分泌を増やすには?
──メラトニンは、どうすれば分泌を高めることができるのでしょうか。
トリプトファンを摂る
メラトニンは、セロトニンという非常に大切な神経伝達物質から生成されます。そのセロトニンは、トリプトファンという必須アミノ酸の一種から作られます。つまりメラトニンの大元はトリプトファンということです。
トリプトファンは良質のたんぱく質に含まれているので、美容とアンチエイジングのためには、まず、三食のメニューに必ず取り入れることが肝心です。具体的には、大豆製品・乳製品・魚(特に赤身)・肉類・ゴマ・ほうれん草・穀類などですが、タンパク質の代謝のための酵素としてビタミンやミネラルを含むものと一緒にバランスよく摂ることが大切です。
朝の太陽光を浴びる
朝の太陽光を浴びることによって、生体時計が一日のリズムをリセットします。このリセットによって、メラトニンが夜に分泌する時間帯も決定します。つまり一日のスケジュールは朝に決められるということです。
朝、太陽光を浴びる際、リズミカルに体を動かしてみるのもおすすめです。メラトニンの元となるセロトニンはリズミカルな運動をすると多く分泌すると言われているからです。朝の散歩やラジオ体操などは理にかなっているわけです。
日中は積極的に屋外で活動する
日中もよく外気に当たって活動した人ほど、しっかりメラトニンが分泌されると言われます。現代人は仕事で屋内にこもりがちですから、屋外での運動も心がけましょう。オフィスでは仕事の合間を見て、屋上やテラスに出るなどして外気の中でミニ体操をするとよいのでは。リフレッシュと眠気払いにもなりますよ。
夜は照明を落とし、光を浴びないようにする
メラトニン分泌を促すには、夜は極力、照明を落として光を浴びないようにしなければなりません。メラトニンは光に反応すると分泌が抑制されてしまうのです。遅くまで明るい照明をつけていたり、就寝直前までスマートフォンやPC、TVの液晶画面から出るブルーライトを浴びていたり、電気をつけたまま眠ったりすることは避けましょう。
部屋の照明は、昼は明るくし、夜は反対に暗めの電球色の間接照明にし、部屋の隅、手元ライト、フットライトなどにあかりを分散しましょう。夜の入浴の際の照明も、手元や足元がしっかり見えて危なくない程度に落としましょう。
スマホやPC利用時にはブルーライトカットシートやブルーライトカット眼鏡を利用する方法があります。夜、コンビニエンスストアに行くときもブルーライトカット眼鏡をしていくとよいです。
メラトニンは、質のよい睡眠を促し、美容やアンチエイジングにもうれしい作用があるようです。今回紹介されたメラトニン分泌の対策をぜひ計画的に実行して、意識的に生活の中に取り入れ、ぐっすり眠って美と健康を目指しましょう!
睡眠インストラクター
橋爪あきさん
一般社団法人日本眠育普及協会 代表理事、睡眠改善インストラクター、日本睡眠学会会員など。慶応義塾大学卒業後、睡眠障害が悪化したが自ら克服。講演や睡眠相談のほか、出版、執筆、メデイアでの広報活動も行う。
文/石原亜香利
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石原亜香利(いしはらあかり)
ライター。主に30~40代のビジネスパーソン向け、美容・健康・ダイエットのジャンルで、多くの記事執筆・取材経験がある。読む人が日常生活の中で、実際に役立てられる企画立案・記事制作を心がけている。
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