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【医師監修】あなたのいびきの原因は? そのメカニズムと対処法

いびきは若い人から高齢者まで、女性も含めて、あらゆる年代で見られる症状です。いびきには体質、生活習慣、加齢など、さまざまな原因が考えられますが、中には重大な病気に関わることもありえます。最近では、いびきから睡眠時無呼吸症候群を疑って病院を受診している人も増えているようです。

いびきが起きるメカニズムから対策法まで、新宿睡眠メディカル クリニックの瀬野浦洋(せのうらひろし)院長にお話を伺いました。

いびきが起こるメカニズムとは? 原因と症状って?

気道の狭窄が大きな原因に

「いびきというのは、「呼吸によって空気が気道を通過する際に気道の軟部組織が振動する事で生じる現象です」と瀬野浦医師。気道とは、鼻腔から始まり、のど(咽頭・喉頭)・声門(声帯)・気管・気管支までを指します。

いびきは、このうち、上気道と呼ばれる鼻腔から咽頭までの狭窄(きょうさく:間が狭くなること)が原因となって生じます。狭窄は、喉まわりの筋肉の弛緩や、粘膜の膨張が直接的な要因で生じ、その結果、呼吸をするたびにいびきをかくということになります。

喉まわりの筋肉の弛緩や、いびきの最中に息が止まる「睡眠時無呼吸症候群」も

仰向けになって寝た際、喉まわりの筋肉の弛緩が大きいと、模型の写真Bのように、舌が喉の方に落ち込んで、気道を狭くしてしまいます。気道を完全に塞いでしまうと無呼吸状態となり、苦しくなって目が覚めるということもあります。

寝苦しくて身体を動かすことによって、気道が確保され、また呼吸を再開するということが睡眠中に繰り返されます。無呼吸状態を伴ういびきだと、いくら寝ても疲れがとれないということになってしまいます。

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▲起きているときは、空気の通りを邪魔する障害はありません。

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▲仰向けに寝たとき、筋肉が弛緩すると舌が赤い部分まで落ち込み、口蓋垂(こうがいすい)も垂れ落ちます。すると空気の通りが邪魔されて、いびきとなります。

ひとり暮らしだと自分で気がつかない

「睡眠時無呼吸症候群を疑って当院に来る患者さんの中には、人に指摘されて初めて自分がいびきをかいていたことに気づいたという人もいます」(瀬野浦医師)。

一人暮らしをしていると、自分がいびきをかいていることに気がつかなかったりするものです。旅行に行って、誰かと一緒の部屋に泊まったり、帰省した際に家族に指摘されたりして、初めて気づくということも珍しくないとのこと。

「一人であれば、いびきをかいていても人に迷惑をかけていないのだからいいだろう」と思う人もいるかもしれませんが、さまざまな病気の原因にもなる睡眠時無呼吸症候群の可能性もあるため、そのままにしておかない方がよいでしょう。

いびきをかきやすい人の傾向は?

①肥満体型や鼻の通りが悪い人

太っている人は、どうしてもいびきをかきやすい傾向にあります。脂肪は、身体にまんべんなくつくため、首回り、喉の中にも脂肪がつき、気道が狭くなりがちです。その結果、いびきをかきやすくなってしまうのです。ところが、太っていなくても、いびきをかきやすい人はいるとのこと。

「病院の開業当時は、患者さんには中高年で働きざかりの肥満の人が多かったのですが、最近は傾向が変わってきている気がします」と瀬野浦医師。

肥満体型でない人も、昼間に起きる強い眠気や、いびきの症状を訴えて来院するというのです。「花粉症で鼻が詰まったりすると、それが原因で口呼吸になってしまい、いびきをかくことになります。花粉症の患者が増加する事に伴って、いびきをかく人が増加している可能性も考えられます」(瀬野浦医師)。

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②顎の小さい女性や高齢者

また、若い女性の中でも、華奢で顎が小さい人は、寝ているときに口が開いて口呼吸する傾向があるそうです。口呼吸をすると、舌が気道の方に落ち込んでしまうため、空気の流れの障害となり、いびきの原因となります。

現代の日本人は、固い物を食べる機会が減ったことなどから、顎の小さい人が増えていると言います。「あまり噛まずに食べられるファーストフードの影響も大きいかもしれませんね」と瀬野浦医師。

ファーストフードは短時間で食べられるので、満腹中枢が刺激されず、食べ過ぎてしまい、太る原因にもなりがちです。さらに高齢者も、加齢で身体の筋肉が緩むため、顎を支えている筋肉や気道周囲の筋肉も緩んで、舌や口蓋垂が喉に落ち込み、いびきをかく率が高まります。また、女性の場合は閉経後に女性ホルモンが減少することで、いびきをかきやすくなるという説もあります。

③アルコールの摂り過ぎ&睡眠約の服用

日常的にお酒を飲む人は、いびきをかきやすいと言われています。アルコールは、全身の筋肉を緩ませる作用があります。喉の内側の筋肉も緩み、その結果、舌が喉の方に落ち込み、気道を狭くしてしまいます。ですから、毎日晩酌をして眠るという人は、いびきをかいている率が高くなります。また、睡眠薬の中には、のむ量にもよりますが、いびきをかきやすくなる薬もあります。

いびきはどう治療する? セルフケアは?

原因となる病気があれば、まずそれを治療

風邪をひいて鼻がつまっている、お酒を飲んで寝たなど、一時的にいびきをかいているだけであれば、放っておいても大丈夫です。けれども、日頃からいびきがひどい場合は、眠りが浅くなって疲労が回復しなかったり、睡眠時無呼吸症候群になっていたりする可能性もあるので、睡眠時無呼吸症候群の治療も行える専門の病院を受診するのが望ましいでしょう。

鼻がつまる病気が原因である場合は、それらを治療することで、いびきを軽減することができます。鼻がつまる病気には、副鼻腔炎(ふくびくうえん)やアレルギー性鼻炎のほか、鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう〕という鼻腔(びくう)を左右にわける鼻中隔(びちゅうかく)が曲がっている病気もあります。

アデノイド(咽頭扁桃)や口蓋扁桃(こうがいへんとう)の肥大が原因となることもあり、これらの治療でいびきが解消されることもあります。

また、肥満が原因と考えられるときは、適切なダイエットがいびきの解消につながります。

睡眠時無呼吸症候群ならCPAPによる治療も

病院を受診し、検査の結果、睡眠時無呼吸症候群と診断を受けた場合は、軽症の場合はマウスピースでの治療を、中等・重症の場合は、CPAPと称される治療を行います。CPAPとは、経鼻的持続陽圧呼吸療法のことで、シーパップと呼ばれています。

機械で圧力をかけた空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止します。専用の装置を装着して就寝するのですが、人によってかける圧力の設定が違うため、病院を受診して検査をしてからの使用が基本となります。

いびきの改善のために心がけたいこと

●寝る前の飲酒はNG!

普段、それほどいびきをかかない人でも、お酒を飲んだときはいびきをかくことが多くなります。アルコールの摂取で筋肉が弛緩し、それが原因となるのです。アルコールの影響で口まわりの筋肉が緩んで口が開いたままとなり、口中の筋肉も緩み、舌が喉の方に下がってしまいます。

さらに、アルコールは血管を拡張させて、鼻の粘膜を膨張させます。鼻で息がしにくくなる上、寝ている間に乾燥すると、鼻水が固まって鼻が詰まってしまいます。そうなると、空気が通らなくなります。鼻が詰まって苦しいので、口で呼吸することとなり、舌が落ち込んでいびきをかくことになるのです。

●適正体重を目指そう

過剰に太ってしまうと、いびきをかきやすくなり、睡眠時無呼吸症候群になりがちです。それだけでなく、さまざまな生活習慣病になる確率も増え、プラスになることは何もありません。食生活の改善と適切な運動で体重を落とすと、いびきの激しさがおさまると考えられます。

「睡眠時無呼吸症候群の患者さんでも、痩せたことによって症状がおさまり、治療のために使用していたCPAPから卒業できる方もいます」と瀬野浦先生。

●仰向けで寝るのを避け、部屋の湿度に注意を

仰向けになると、重力に従い、舌が喉に落ちて気道が狭くなります。そのせいで、いびきをかきやすくなるのですが、身体を横にするとおさまることも。仰向けで寝る習慣をやめてみましょう。

また、部屋が乾燥していると、風邪をひきやすくなりますし、鼻水が出ている場合は鼻が詰まって口呼吸となり、いびきをかきやすくなります。乾燥している場合は、室内に洗濯物を干したり加湿器を使ったりして、適正な湿度を保つようにしましょう。室内では40〜60%が適正湿度です。

いびきと枕、どう関係する?

横向きになれる枕がおすすめ

枕が高く、首だけが前屈すると気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。使う枕によって、いびきが誘発されたり軽減されたりするので、枕選びは重要です。では、どのような枕であれば、いびきをかきにくくなるのでしょうか?

「抱き枕を抱えて眠るというのは、有効な方法かもしれません」と瀬野浦医師。

仰向けになって寝るのが、一番いびきをかきやすい体勢ですが、抱き枕を抱えて眠ると自然に身体を横にすることになります」とのこと。また、傾斜のある枕やL字型になっている枕も、いびきの軽減につながるようです。L字の枕はLの長い部分を背中にあて、短い部分に頭をのせます。仰向けにならないように背中に枕があてられるので、横向きの体勢のまま眠ることになります。

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いびき対策グッズを上手に使おう

市販のグッズを試してみよう

枕以外にも、さまざまなタイプのいびき対策グッズが市販されています。

・口閉じテープ
口を閉じていられれば、いびきをかかないですむということであれば、就寝時に口に貼る「口閉じテープ」を試してみてもよいでしょう。女性でも購入しやすいパッケージデザインの商品が市販されています。

・鼻腔拡張テープ
「鼻腔を広げて鼻呼吸がしやすくなる「鼻腔拡張テープ」を使うと、いびきが軽減される人もいます」と瀬野浦医師。鼻腔を拡張するグッズとしては、他にも、鼻に軟らかいチューブを挿入する事で気道を確保するような商品も市販されています。

どのタイプの商品が自分にあっているのか、いくつか試してみるとよいでしょう。

自分にあったマウスピースを

マウスピースを装着して、下あごを上あごよりも前方に出すように固定させると、上気道が広くなっていびきが軽減されます。「口呼吸するという人にはマウスピースは有効です。睡眠時無呼吸症候群の人のうち、軽症の人には治療で使います。ただ、鼻が詰まっていると、息が苦しくなって外してしまうことになりますね」と瀬野浦医師。

睡眠時無呼吸症候群と診断されれば、保険適用となり、自分にあわせたマウスピースを作ってもらえます。市販の商品もありますが、専門の医師に相談した上で自分の口の形に合ったマウスピースを使用するのがおすすめです。

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いびきの原因が特定できないときは

原因が特定できないときは、まずは病院で受診を

いびきをかく原因として、肥満や鼻の病気、顎の小ささなど、さまざまなケースをあげてきましたが、自分でも何が原因か、よくわからないという際は、ためらわずに病院で診察を受けましょう。

原因が特定できないときは、いびきや睡眠時無呼吸症候群を扱う病院であれば、耳鼻咽喉科でも内科でもかまいません。睡眠時無呼吸症候群の疑いで検査をする可能性が感じられるなら、宿泊して検査ができる専門病院を、最初から受診するのが手っ取り早いでしょう。

睡眠時無呼吸症候群の可能性も

いびきをかいていることがはっきりしていて、睡眠時無呼吸症候群を疑う要素が少しでもあれば、専門の病院を受診しましょう。睡眠時無呼吸症候群だと、朝起きるのがつらく、疲れがとれている気がしなかったり、日中に強い眠気があったり、注意力が散漫になったりします。放っておくと、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす危険性が高くなると言われているので要注意です。

「今は研究の段階ではありますが、睡眠時無呼吸症候群だと認知症になりやすいのではないかとも考えられています。また、うつ病患者さんの20%が睡眠時無呼吸症候群であり、逆に睡眠時無呼吸症候群の患者さんの20%はうつ病を患っているというデータもあります」と瀬野浦医師。「たかがいびき」と侮っていては、取り返しがつかないことにもなりかねません。

CPAPでの治療が必要になる場合も

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、まず簡易検査を行います。簡易検査では、血液の酸素濃度を測るパルスオキシメーターという装置をつけて、寝ている間に低酸素になっている回数を調べます。簡易検査は、装置は貸し出してもらって自宅で検査をすることができます。低酸素状態になっていることが1時間に5回以上ある場合は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるということになり、精密検査を行います。

精密検査は1泊2日の宿泊を伴う検査となります。脳波をとりながら呼吸の状態をチェックしますが、睡眠1時間に5回以上の無呼吸・低呼吸が確認されると、診断が確定します。また、精密検査だと、重症度の判定ができます。

睡眠1時間に無呼吸・低呼吸の状態が15〜30回だと中等症、30回以上だと重症となります。20回以上の中等症・重症と診断された人は、CPAPでの治療を行います。軽症の場合は、まずマウスピースでの治療となります。

家族のいびきで眠れない。どうすればよい?

いびきで離婚に発展することも

いびきは、いびきをかいている本人が安眠できないばかりでなく、同じ部屋に寝る家族の睡眠の質も落としてしまいます。いびきのせいで家族が寝つけなかったり、夜中にいびきの大音量で起こされてしまったり。

相手のせいで自分の眠りが妨げられていると不快感を生じかねません。いびきが原因で夫婦が別れるということもあるのです。いびきで関係性が悪くなるなど残念なことが起きないうちに、何らかの対策を講じた方がよいですね。

本人に自分のいびきを自覚してもらう

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いびきをかかずに済むように対策を取ることが重要ですが、本人には自覚がないことも多いものです。家族やパートナーのいびきに悩まされている方は、まず、どれほどのいびきをかいているのかを相手に伝えましょう。その際、決して責めるようなことをしてはいけません。

本人に悪気はなく、いびきをかきたくてかいているわけではないことを忘れずに。スマホで録音したり、録画したりするとわかりやすいかもしれません。本人が自覚すれば、さまざまな対策にも応じてくれるでしょう。呼吸が止まるようなひどいいびきの場合は、睡眠時無呼吸症候群を疑って、病院の受診をすすめることも大切です。

耳栓や寝室を別にするなどの対策を

また、耳栓をして寝られるのなら、それもよいでしょう。自分の耳にフィットする耳栓を探してみましょう。材質によって、ずいぶんと音を遮断する力も違います。

それでもどうしても眠れない場合は、寝室を別にすることも考えましょう。その際は、パートナーとの関係性を悪くしかねないので、きちんと説明して了解を得てからにしましょう。自分のいびきがうるさくて、安眠できずに健康を害していることを知れば、たとえ寝室を別にすることになっても、仕方ないと納得してくれるでしょう。

いびきが原因となって、大きな病気を引き起こすことがあります。病気にならずとも、いびきをかくことは、睡眠の質を下げていることになるので、可能な限り軽減したいものですね。自分のいびきの原因が何なのかを探り、対策を講じても軽減されない場合は、専門病院を受診するのが解決の早道といえるかもしれません。

取材/文 仲尾匡代

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