赤ちゃんにとって質のよい睡眠とは?

夜泣きが激しくて、赤ちゃんがなかなか寝てくれず疲弊しているお母さん、お父さんは多いのではないでしょうか。そんななか、朝までぐっすり睡眠をとってくれる赤ちゃんも少なからず存在します。その違いはなんでしょうか? 夜泣きには原因があるの? 抱っこしてもおっぱいでも泣きやまない場合はどうしたらいいの?
少しでもお母さんが楽になる方法を、育児書の定番書『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』の著者である、夜泣き専門保育士の清水悦子さんに伺いました。
赤ちゃんの睡眠に大切なのは生活リズムを整えること
清水先生:夜泣きは赤ちゃんの日頃の生活リズムが大きく関係しています。ご家族の方の生活リズムが乱れていて、赤ちゃんの就寝時間が遅くなってしまっているご家庭は少なくありません。日本では2010年頃をピークに子どもの睡眠時間が最も短くなったとされています。
一般的に、生後3ヶ月〜小学校低学年までの理想的な就寝時間は20時とされています。ですが2010年当時、半数のお子さんの就寝時間が22時過ぎと遅めだったのです。赤ちゃんに限らず、大人も睡眠不足になると日常生活に支障をきたしますよね。
仕事でミスをしてしまったり、物忘れが多くなったり。赤ちゃんも同じで、朝起きるのが遅い、昼寝が長くなる、夜寝るのが遅い、といったことが原因で体内時計が混乱してしまい、寝つきにくくなることで夜に泣いてしまうのです。
徐々に早寝早起きの重要性が浸透し、近年では22時を過ぎてから就寝している赤ちゃんは半数から20%に減少しました。とはいえ、世界的に見れば、日本は赤ちゃんがもっとも夜更かしをしている国の一つ。少しずつ意識が高まり始めてはいますが、現実にはまだまだ生活リズムを整えることが難しいご家庭もあります。
共働きの家庭だと、子どもを保育園にお迎えに行って、19時に家に帰ってくるのがやっとというお母さんも多く、「20時に寝かしつけなんて無理!」というのもわかります。
それでも、生活リズムを整えることで赤ちゃんの機嫌が安定しますし、お腹が空く時間帯もわかります。「どうして機嫌悪いのだろう、ぐずっているのだろう?」と、原因が分からないということも減ってくるので、子育てがしやすくなるんです。生活リズムを整えることは、子育て中の親御さんにはとてもメリットだらけです。「日中は明るく活動的に、夜は暗く静かに」まずはここからはじめてみてください。
◆まずはこれだけやってみよう!簡単3ステップ
ステップ1
朝は7時までに起こしましょう
ステップ2
お昼寝の時間を調整して、日中は活動的に過ごしましょう
ステップ3
寝る前30分のイチャイチャタイムを作りましょう
赤ちゃんを寝かしつける方法を見直すべき?
清水先生:赤ちゃんの寝かしつけは、お母さんの数だけさまざまだと思います。もし夜泣きがひどくて悩んでいるのであれば、今行なっている寝かしつけから新しい方法に変えた方がいい場合があります。まずは自分が寝かしつけを変えた方がよいのかどうか、チェックしてみましょう。
【寝かしつけチェック】
①生活リズムは整っているのに、ひどい夜泣きが続いている
②今の寝かしつけがすでに大変だと感じている。
③赤ちゃんの体重が増えた場合、今の寝かしつけを続けることに不安を感じる
④特定のやり方など赤ちゃんの強いこだわりがあり、それ以外では寝てくれず、それが大きな負担になっている
⑤添い乳を始めたら急に夜中に起きる回数が増えた
⑥生活リズムを整えたら夜泣きが改善し、ときどきであってもあまり負担に感じなくなった
⑦今ぐらいの負担であれば、4歳頃まで同じやり方を継続できそうだと思う
⑧添い乳でも夜中の授乳回数が2〜3回以内にとどまっていて、それがラクだと感じている
⑨今現在、布団に寝かせたら何もしなくても寝てくれている
チェック項目の①〜⑤に一つでもチェックがついた方は、寝かしつけの方法を見直してみましょう。⑥〜⑨の4つのいずれかにチェックがついた場合は、無理に変える必要はないでしょう。
おっぱいで寝かしつけをしているのであれば、タオルやぬいぐるみなど、おっぱいに変わる安眠グッズを作ってあげましょう。赤ちゃんが眠そうにしたら、「ねんね〜」と声をかけ、安眠グッズを渡して眠る時間だということを地道に教えてあげましょう。
夜中に何度も泣き出す赤ちゃんや、物音に敏感ですぐに目を開けてしまう赤ちゃんには、寝る前のイチャイチャタイムをたっぷりとってあげてください。ママはいつも一緒にいてくれるという安心感を与えてあげましょう。
ママの気を引こうとして、ママの上に乗ってきたり、たたいたり、おもちゃで遊んだりする赤ちゃんにはタヌキ寝入りを決め込んでください。寝るときは、ママは相手をしてくれないのだということが次第に分かってくるはずです。
赤ちゃんが夜泣きをしたら、必ず抱っこをしないといけない、おっぱいをあげないといけないというわけではありません。寝かしつけで大切なことは「赤ちゃんは安心・ママはラク」です。
赤ちゃんとママの快適な睡眠のために
清水先生:最後に少し専門的になりますが、赤ちゃんの睡眠問題についての行動科学的アプローチのお話です。欧米では、夜間に赤ちゃんが覚醒してしまったときに、下記のような「消去法」と呼ばれる行動科学的アプローチによる対策がとられています。
◆消去法
夜間覚醒の強化因子となっている行動を「消去」する
A:無修正の消去法
翌朝の決めた時間まで一貫して赤ちゃんに対応しない
B:段階的消去法
決めた時間(5〜15分)まで泣いたら様子を見に行き、決めた時間(たとえば5分)同室に入り、また出る、を繰り返す
C:保護者同伴の消去法
親と赤ちゃんは同室にいるが、赤ちゃんに夜間一切対応しない
(出典:羽山順子ら, 久留米大学心理学研究, Vol.10, 2011)
「赤ちゃんの眠り研究所」では、寝かしつけをママの負担が少ない方法として、Cの「保護者同伴の消去法」をアレンジして夜泣き対策の一つの選択肢として推奨しています。
「赤ちゃんが泣いているのに一切対応しないなんてできない」と最初は思われるかもしれませんが、夜中に赤ちゃんが泣くたびに抱っこしたりおっぱいをあげたりというのは、ママが疲弊してしまいます。安心して赤ちゃんが睡眠をとれるようになるためにも、夜間の行動を一度見直してみてください。
いかがでしたか? 赤ちゃんが心地よい睡眠を得るためには、日中の生活リズムを整えることが何よりも大切だと清水先生はおっしゃいます。寝かしつけで何より大切なことは「赤ちゃんは安心・ママはラク」なこと。ママが疲労困憊状態では、ゆとりを持って子育てをするのが難しくなります。
赤ちゃんの夜泣きに困っている方は、ママがラクな方法で、寝かしつけをしてみてくださいね。可愛い赤ちゃんが快適な睡眠を得られますように。
取材・文/横田可奈
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NPO法人赤ちゃんの眠り研究所 代表理事 夜泣き専門保育士
清水悦子(しみずえつこ)
大阪府生まれ。理学療法士として病院や施設に勤務後、女児を出産。生後6ヵ月から始まった壮絶な夜泣きとその改善体験をきっかけに保育士資格を取得し、夜泣きのサポート活動を開始。日本人の生活スタイルに合わせた睡眠改善方法を優しく紹介した著書『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』(かんき出版)は、寝かしつけ育児書の定番として15万部突破。
http://www.babysleep.jp/
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