ベッドの選び方を徹底解説! 自分に合ったベッドを選ぼう

まだまだ寒さが続く一方で、「そろそろ新生活の準備を」という声が、あちこちから届き始める時期ですね。気持ちよいスタートを切るきっかけとして、ベッドの買い替えを検討してみませんか。
「選び方がわからない」「ベッドの知識がまったくない」という方でも大丈夫。大塚家具のスリープアドバイザー酒井研太が、ベッドやマットレスの基本的な構造や選ぶときのポイントなどをアドバイスします。また、大塚家具の人気商品の情報もお見逃しなく!
寝心地を左右するマットレス。悩みもさまざま
──ベッドの選び方について、お客様からよく耳にする悩みはありますか?
悩みが多いのは主にマットレスです。マットレスの買い替えをされる理由として
・朝起きると腰が重い
・目覚めが悪いと感じる
・低価格帯のマットレスに買い替えたが、寝心地が悪くて困っている
といった、「今の寝心地に満足していない」という内容が目立ちます。
さまざまな寝具メーカーの店舗を巡り、多くの種類のマットレスを試しすぎて、「結局、どれが自分に合っているのか全然わからない」という方も少なくないんですよ。
質のよい睡眠はマットレスが要(かなめ)。とはいえ、スプリングからクッションに至るまで、構造や素材はメーカーや商品によって大きく異なり、各社ならではの特長を出す努力をしています。商品ごとに寝心地の違いがわかっても、それが自分の身体にとってよいのか悪いのか、判断が難しいのは無理もありません。
マットレスの構造を詳しく知っておきましょう
──やはり、ベッドはマットレス選びから始めるのが重要なのですね。マットレスの基本的な構造から教えてください。
マットレスは、「キルト層」「クッション層」「スプリング」の3層構造でできています。
キルト層
マットレスの表面部分で、肌に一番近い部分です。身体にフィットすることが最も重要で、細い血管を圧迫しない適度な柔らかさが求められます。その他、吸湿・放湿性、通気性の高い素材が採用されています。
クッション層
身体の凹凸に合わせて支え、体圧を均等に分散させます。クッション層が充実していることが、寝心地を左右するポイントに。素材はウレタンフォームやラテックスフォームが主流で、層の数や素材をチェックして好みの寝心地を探してみても。
スプリング
マットレスの骨組みに当たり、体重を支え、体圧分散にも影響する重要な部分。睡眠中の寝返りなどで起こる振動や揺れを吸収して、最小限に抑える働きがあります。
──スプリングの多くはコイルでつくられています。コイルにも種類があり、それぞれ特徴がありますね。
コイルとノンコイルがあります。それぞれ解説しましょう。
ボンネルコイル
一般的なタイプで、らせん状に巻いたコイルを連結させています。ほどよい弾力と優秀な通気性が特徴。特にオープンコイルは、コイルの先端を閉じないで連結し、先端が自由に動いてフィット感に優れています。
ポケットコイル
コイルをひとつずつ個別に袋詰めした独立型。複数のコイルが点で身体を支えるので、体圧分散性が抜群です。寝返りを打っても振動が伝わりづらいメリットも。
連続コイル
一本の鋼線でコイルを編んでいるタイプ。マットレスの負担が分散されるため、耐久性が高く、振動の吸収力と復元力にも定評があります。
ノンコイル
文字通り、スプリングを使用していないタイプです。金属の代わりに体圧分散性に優れた素材を使用しているため軽量で、女性や高齢者に人気があります。通気性も申し分なく、寝心地は充実しています。リサイクルする際の分別も簡単。
ベッドの選び方4つのポイント
──複雑な構造をしているだけに、ベッドの選び方はますます迷いそうです。ポイントを教えてください。
Point1 必ず寝て試す
身体に合ったマットレスでないと、寝返りの回数が増え、眠りが浅くなってしまうことがあります。寝心地に深くかかわるのはマットレスなので、恥ずかしがらずに必ず寝て試してみてください。一番多いのは、軽く腰かけて沈み込み具合を確認するだけの方。「寝る」と「腰かける」では、マットレスにかかる圧力がまったく異なるので、実際の寝心地を知ることはできません。
靴はもちろん、厚手の上着を着ているときは脱いで、普段入眠するときの姿勢になって寝心地を確認してみましょう。できれば、ジーンズなど硬めの衣類は避け、しなやかで軽い衣服を着用しているとベターです。
Point2 立ち姿を意識して寝てみる
立っているときは、身体のバランスが最もよい姿勢。マットレスの上で、この姿勢を寝たまま保てているのが理想です。「腰が沈み過ぎている」「身体が沈み込んで寝返りが打ちにくい」「頭が沈み込んでいる」などという状態になってはいけません。
Point3 普段と同じ寝姿勢で
「寝てお試しください」とおすすめすると、あお向けになっただけで終わる方も。しかし、誰もがひと晩中あお向けだけで寝ていることはありません。あお向け、横向き、うつぶせに加え、いつもの寝姿勢を試してみてください。どの姿勢でも、無理なく自然に寝ていられることが大切です。
Point4 必ず枕も合わせる
ベッドは身体を休めるには優秀ですが、どんなに内部構造に優れたマットレスでも、首から頸椎を適正に支えるまではできません。首がしっかりサポートされていないせいで、就寝中の寝返りが増えてしまい、「眠りが浅くなってしまった」「身体の疲れが取れない」などといった声がよく聞かれます。
マットレスにこだわり過ぎて枕選びをおろそかにしてしまうと、せっかくの寝心地が台無しになることも。マットレスと枕の相性がピッタリ合ってこそ、最高の寝心地が実現します。ショールームのスタッフにお願いして、使用している枕に極力近い高さと柔らかさの枕を探してください。それをマットレスに合わせて寝心地を確認すると確実です。さらに、枕も同時に買い替えると失敗がありません。
家族とショールームに出かけるとよい理由
──ベッドの選び方で、ついやってしまいがちな間違いは?
ご使用中のマットレスの寝心地に慣れているので、新しいマットレスにはどなたでも違和感があります。実際は理想の寝姿勢を保てているのに、「身体が曲がっているのでは」などと錯覚してしまうことも。ベッドを選ぶときはできるだけご家族などと出かけ、寝姿勢を客観的にチェックしてもらえると安心です。
──酒井さんご自身は、ベッドを購入する際、どのようなことにこだわって選びましたか?
毎日使用するものなので、寝心地に加えて耐久性のあるマットレスにこだわりました。耐久性を求める場合、体圧を上手に分散してくれる内部構造が何層も重なっている必要があります。内部構造は見た目ではわかりにくいので、皆さんの場合は、スタッフに確認して説明を受けるとよいでしょう。
ベッドフレームで重視するのはデザイン? 機能?
──マットレスの選び方はよくわかりました。一方で、ベッドフレームはどのような部分を重視して選べばよいのでしょうか。
ベッドフレームはデザインを重視して購入される方が多いと思いますが、実は機能も考慮して検討することが大切です。
例えば、床板がスノコタイプか否かによって、マットレスの寿命が大きく変化します。寝室が北側にあり湿気がこもりやすい環境の場合、床板がスノコタイプでないとマットレスの設置面の湿気が逃げず、カビが発生することも珍しくありません。
また、狭い寝室を有効活用したいときは、引出し収納付きのフレームを選択して衣類を収納するのも賢いアイデア。湿気がこもりやすいので、収納する衣類は頻繁にローテーションする肌着などが向いています。
──マットレスとベッドフレームの組み合わせについて、注意することはありますか?
マットレスは商品によって厚みが異なります。マットレスの厚みに応じてベッドフレームの床板の高さを選ぶとよいでしょう。当社のラインナップだと薄いもので約20㎝、厚みのあるものだと40㎝を超えるので、その差は20㎝以上あります。
「マットレスの厚み+ベッドフレームの床板の高さ=座ったときに足がきちんとつく」
ことを重視して、高すぎず、低すぎないことに気を配ることが大切です。
背が高い、太め、体型によってサイズはどう変わる?
──ベッドは、体型・体格でマットレスの硬さや柔らかさの感じ方、体圧分散の強弱などがかなり違うと思います。サイズ選びの参考として、次に挙げる体型・体格のベッドの選び方の目安を教えてください。
身長が高い
一般的なマットレスでも長さは195㎝あります。よっぽど背が高い方でない限り、通常のシングルやセミダブルサイズでも大丈夫です。「それでも広々と使いたい」という方のために、一部のメーカーで「シングルロング」などの長めのマットレスを用意しています。ショールームで確認してみてください。
太め
体重が重かったり体格が大きかったりすると、腰部分の沈み込みが激しい場合があります。気になるようであれば、腰部のコイルだけをさらに強化した「センターハード」という仕様のマットレスがおすすめです。
──家族構成によっても、ベッドの選び方はかなり違ってきますね。一般的な目安はありますか?
ひとり暮らしの場合
1人で使用するから「シングル」となりがちですが、セミダブルも人気があります。ベッドが大きいほど快適に眠れるため、ダブル以上でも問題ありません。
夫婦ふたりで寝る場合
「狭くて窮屈」と感じない大きさが必要なので、ダブル以上がおすすめです。お互いが適度に寝返りできるサイズです。
生活時間の違う夫婦の場合
大きいサイズ1台ではなく、シングルやセミダブルを2台並べるのがおすすめ。相手がベッドに入るときや寝返りの動きを気にせずに眠れます。また、「暑がり・寒がり」といった体質の違い、「硬い・柔らかい」といった寝具の好みの違いがあるご夫婦にも好まれています。
親子3人の場合
ダブル以上のベッド1台で、3人並んで寝ることが可能です。とはいえ、ダブルベッドにママ+子、シングルベッドにパパというのもポピュラーです。シングルベッドですと、将来的にお子さまが大きくなってからも使えますね。
ベッドの予算立て、意外な落とし穴とは?
──ベッドは大きい買い物です。購入する際、予算の立て方で注意することは?
ベッドの購入を考えるとき、「マットレス+ベッドフレーム」だけの予算を検討しがちです。しかし、それが大きい落とし穴。ベッドを購入するほとんどの方が同時に、枕やベッドパット、シーツやベッドカバーも購入されているので、のちのち再度の予算調整が必要になってしまいます。
「同じサイズだから、寝装品の買い換えは必要ないのでは」と思うかもしれません。しかし、枕やシーツなどは、つい長く使用してしまうため、買い替えるタイミングがわからない方が多いもの。ベッド購入のタイミングで寝装品を新しくそろえ、かけ布団まで購入する方がたくさんいらっしゃいます。それらの予算も考慮しておかないと、「予算オーバーで失敗した」ということになりかねないのです。
──う~ん、ますます大きな出費になりますね。
いいえ、そう思われがちですが、逆にコスパはよいと思います。テーブルなどの家具と違って、ベッドを健康器具ととらえてみませんか。人生の3分の1は寝ていると言われ、その莫大な時間を快適な寝心地で支えているのがベッドです。質の高い睡眠によって、仕事のパフォーマンスから健康管理までカバーできるという幅広い視点で見れば、有意義な健康投資になるはず。
マットレスの寿命はだいたい10年です。10年間毎日使って健康を支えてくれるのですから、決して大きな出費とは思いません。
よいベッドを選ぶことは、健康への必要な投資
──価格だけ見るのではなく、10年間快眠して健康を維持するための投資ととらえればよいのですね。でも、なるべく耐久性をもたせたいです。
コイルのタイプはもちろん、鋼線の太さや加工方法などによって、マットレスの耐久性は変わります。クッション層については、詰め物の量が多いほど耐久性は優秀。また、密度が高い低反発ウレタンや高反発ウレタンはへたりに強いので、耐久性は高いです。
マットレスの寿命は、スプリングやクッション層のスペックによって違い、日々のお手入れや使い方によっても左右されます。大切に使えば10年以上もちますよ。気になるときは、腰部分の沈み込み具合や寝心地のよしあしなどをこまめに確認してお手入れしましょう。
──お手入れで配慮することはありますか?
できれば毎日寝室の窓を開けて、マットレスに風が通るようにできるとよいですね。さらに、1シーズンに1回くらいは頭側と足側を入れ替えると、荷重を分散できて長持ちします。
ユーザーを魅了! 大塚家具の売れ筋マットレス
──ショールームでは、たくさんのベッドがズラリと並んでいます。参考までに、大塚家具の売れ筋マットレスを教えてください。
セレーナDX(大塚家具オリジナル)39,800円(税込)~
「低価格なのにこれだけのハイスペック!」という驚きの声が挙がるマットレス。20万円を超える高級マットレスに使用されるような8.25インチの長尺ポケットコイルを採用。腰部のサポート力を高めるセンターハード仕様や、横揺れとエッジ部の型崩れを防ぐフォームケース構造など、こだわりが満載です。
クレーネ スペシャル1.7(フランスベッド)72,000円(税込)~
コイルに2度、焼入れを施すことで、へたりを軽減し耐久性を高めています。コイルをひとつひとつ特殊な不織布で包んだ「ポケットコイル構造」により、それぞれのコイルが独立した”点”となって身体を支え、体圧を分散させます。コイル線径が1.7mmで、しっとりと少し柔らかい感触が特徴。
フランスベッド クレーネ スペシャル1.7 72,000円(税込)
ゴールデンバリューグレーシャスN(シモンズ)121,500円(税込)~
ホテルで採用されるシモンズのベッドの中でも、多く採用されています。1.9ミリという太い鋼線を使用したサポート力が抜群なので、腰の沈み込みにもしっかり対応。身体の凹凸にもきめ細かくフィットするので、自然な背骨の形状を保ちます。側生地には、縫い目が極力少なくなる「タックアンドジャンプキルト」を施して、フワフワの感触がユーザーの心をわしづかみに!
シモンズ ゴールデンバリューグレーシャスN 121,500円(税込)
インシグニア(レガリア)189,000円(税込)~
「雲の上に浮かぶような寝心地」と称されるレガリアの代表的なマットレス。寝姿勢を保てる波形ウレタンを中心に低反発素材と高反発素材を多層に重ね、クッション感と優れた弾力性が身体へのフィット性を高めています。センターハード仕様なので、腰部もしっかりサポート。吸湿・発散性はもちろん、抗菌・防臭にも優れています。
──最後に、ベッドの購入を考えている、または興味があるという方へ向けて、メッセージをお願いいたします。
よい一日のスタートは、よい目覚めから始まると言われています。良質な睡眠を得るためにはマットレスにこだわることは決して無駄ではなく、必ず自分自身によい結果として返ってきます。皆さんもベッドの選び方にとことんこだわって、ピッタリのものを見つけてください。
取材・文/内藤綾子