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【医師が解説】眠れない原因は何?その対策方法教えます

気温もぐっと下がり、冬らしい季節になってきましたね。寒いからといって、暖房をつけっ放しにしたまま眠ると知らない間に布団なしで寝ていたり、朝起きたときに肌が乾燥してカサカサになってしまったり…。冬の睡眠時の寝具や温度調節は難しいですが、みなさんちゃんと眠れていますか?

今回は、「原因はわからないけれど、なぜか眠れない!」そんな方のための眠れないときの対策方法をご紹介します。お話をしてくださったのは、「医療法人社団グッドスリープ」の齋藤恒博(さいとう つねひろ)先生です。

寝つきが悪くなるのはなぜ?

「寝つきが悪い」と言ってもさまざまな原因があります。翌日に入試テストや大事な試合が控えているといった場合には、多くの人が緊張して眠れなくなるものです。たいていの人は、このビッグイベントが終わるとまた普段通りに眠ることができます。そして、反対にビッグイベントの前日でもまったく問題なくぐっすりと眠れる人もいるのです。

不思議ですよね。寝つきが悪い、眠れないというのは結局「興奮」しているということ。それでは、興奮してしまう原因はどこにあるのでしょうか。

①自律神経が乱れている
自律神経は身体の機能を最適な状態に保つ大切な神経です。これが乱れると寝つきが悪くなります。自律神経には、日中起きているときに活発になる「交感神経」とリラックスしているときや眠っているときに活発になる「副交感神経」があります。

眠る前に、興奮状態ではなく、リラックスした穏やかな状態でいると副交感神経が優位になり、スムーズに眠りに入ることができるのです。寝つきが悪いということは、交感神経が優位になってしまっている状態なのです。

②体内時計が狂っている
次に、体内時計が狂っている場合。私たちの身体は通常、地球の自転の周期に沿った24時間のリズムで生活するよう遺伝子に組み込まれています。

毎日決まった時間に起きて、決まった時間に眠るという一定のリズムを刻むようできているのですが、現代人のさまざまな環境要因からこのリズムが崩れると、体内時計が狂ってしまい、なかなかスムーズに寝つくことができなくなります。

③生活習慣が乱れている
生活習慣の乱れもまた、睡眠に影響を及ぼします。寝る前のアルコールやタバコ、体内のバランスを崩す食生活、運動不足や、深夜の電子デバイスの使用など、多くの原因が挙げられます。

以下は、寝つきが悪くなってしまう原因として考えられるさまざまな具体例を、心理的、身体的、精神的側面からご紹介していきます。

寝つきが悪くなる心理的な原因

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興奮状態にある
寝つきが悪くなる心理的な原因は、興奮状態にある場合が多いです。翌日にビッグイベントを控えている、緊張する相手との約束がある、ワクワクして眠れないなど、興奮することで交感神経が活発になり、睡眠が妨害されます。そうした状況であれば、寝つきが悪くなってしまうことは自然なことでもあります。

年齢によるもの
一方で、年齢が関係していることも。高齢になると“来し方行く末”に対する不安から眠れなくなることが多くあります。今まで過ごしてきた日々、過去への後悔、これから先の未来への不安がのしかかってきて、穏やかに眠ることができないのです。

また、特に45歳以降になるとホルモンバランスに変化が起こるためにそういった症状が出やすくなります。女性の場合は生理不順や閉経もその年齢くらいで訪れるので、心理的な悩みがより出やすくなるというのもあります。

不安や悩みを抱えている
仕事や人間関係など、何らかの悩みを抱えていると、寝るときにそのことを考え込んでしまう、不安が襲ってきて眠るどころではなくなってしまうといったこともあります。

余談ですが、先日来られた患者さんはタクシーの運転手を長年やっている方で、最近寝つきが悪くなってしまったと。無呼吸の症状があるかどうか調べたところ正常だったのですが、聞けば7年前に離婚して妻子がいなくなってしまったとか。父親が亡くなって母親は実家にいるのだけれど、弟と暮らしているからそこに戻るわけにはいかないだとか…。「ああ、それは僕の手には負えないね」と思わず言ってしまいました(笑)。

長年睡眠に関する悩みを持つ患者さんの話を聞いていると、多くの方がプライベートな悩みを抱えていて、みなさん話を聞いて欲しいのだなと感じます。

そして、いずれのケースも、寝つきが悪くて眠れないことでさらにストレスが増えていくということも。眠れないことへの恐怖が悪循環を生むのはネガティブでよくないですね。

寝つきが悪くなる身体的な原因

次に身体的な原因で眠れない場合ですが、痛み、かゆみ、無呼吸症候群などの症状が主な原因です。そういった症状が睡眠に影響を及ぼすことは当然です。

むずむず脚症候群
身体的なストレスの代表的なものに「むずむず脚症候群」あります。リラックスしているときに足の奥の方に蟻が這っているような気持ち悪い感覚が現れるといった症状なのですが、これが起こるとなかなか寝つけず、夜中に目が覚めてしまうのです。寝入りのタイミングで症状が現れることが多いとも言われています。子どもがこれにかかると泣き叫んで大変なんですよ。

当院の患者さんにもこの「むずむず脚症候群」が原因で不眠を訴える方が多くいます。しかしこれには薬があるので大丈夫です。ベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬で、脳の神経をしずめて発作が起こりにくい状態にします。

睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まる病気です。医学的には10秒以上、気道の空気の流れが止まった状態を無呼吸としているのですが、無呼吸の状態がひと晩に30回以上あれば睡眠時無呼吸症候群です。

睡眠時無呼吸症候群は眠りが浅くなるため、長時間寝ていても朝起きた時に頭が重かったり、物覚えが悪くなったりと日中に悪い症状をもたらします。高血圧や糖尿病、動脈硬化といった成人病の要因ともされているので、心当たりのある方はクリニックで適切な検査と治療を行いましょう。

アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎で眠れない方も多いですね。強いかゆみを伴う皮膚の病気ですが、症状がよくなったり、悪くなったりすることが特徴です。強いかゆみのために夜中に何度も起きてしまい、睡眠の質が低下してしまいます。

寝つきが悪くなる精神医学的な原因

何をしても楽しくない、憂うつな気分が長く続く──。そういった、うつ病や統合失調症などの精神疾患が原因の場合も眠れない原因のひとつです。当院にも精神疾患が原因による不眠の方がいらっしゃいますが、私たちの手に負えない場合は精神科の先生をご紹介することもあります。

ある例を挙げてみます。アルコール中毒だと診断されてしまったことで、もともとは重責を背負う立場にいらした方でしたが、軽い職務に異動させられてしまいました。それからというもの不眠が続き、睡眠薬を大量に摂取しないと眠れなくなってしまった、なんとかならないものかと相談に来られたのですが、睡眠薬中毒になってしまうと、これはもう精神科のレベルです。

ゲーム中毒やギャンブル中毒といった中毒性のあるものが原因で不眠に繋がってしまうことがあり、最初の入り口に私どものクリニックを訪れる方が多いのですが、こういった症状から抜け出すことは難しいんです。

不安や緊張感で眠れない方に最初に処方するのはベンゾジアゼピン系の抗不安薬です。精神状態が悪化してしまう前に症状を軽くすることで不安を解消します。

寝つきが悪くなる薬理学的な原因

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お酒やコーヒー、たばこといった嗜好品に含まれる成分が影響して寝つきが悪くなることがあります。

アルコール
まずはお酒。寝る前に飲む方が多いと思いますが、アルコールは睡眠にとってよいことはひとつもありません。確かにたくさん飲むと酔っ払って寝つきはよくなるものの、アルコールが分解されると、途中から交感神経の活動が高まり眠りが分断されてしまいます。

実はアルコールが神経細胞に働くときと、睡眠導入剤が働くときは同じ部位を刺激するのです。なので、アルコールを摂取することで寝つきがよくなるのは確かなんですね。しかし、寝つきがよくなるからと毎日寝酒をすると疲れが取れなくなってしまいますし、飲む量も増えてしまい、アルコール中毒になってしまう恐れもあります。

とはいえ、アルコールは嫌なことを忘れさせてくれるし、今までたくさん飲んでいた人に飲むなと言っても難しいでしょうから、少しずつ減らしてみてください。

カフェインやニコチン
カフェインやニコチンは摂取すると一時的にリラックスすることができますが、夜は注意が必要です。タバコの覚醒作用は1時間くらい続くので、就寝前の1時間は吸わない方がよいです。カフェインの覚醒作用は約4時間と言われています。

カフェインは紅茶や緑茶、栄養ドリンクなどにも含まれているので、寝つきをよくしたいのであれば摂取を控えてみましょう。

処方薬
また、薬の副作用で眠れなくなることもあります。抗がん剤や神経に作用する薬、ステロイド系の薬は寝つきを悪くする場合があるので、主治医に相談するなどして薬の副作用を意識しながら服用することが大切です。

寝つきが悪くなる生理学的な原因

夜間の勤務や海外旅行での時差ボケなど、昼夜逆転してしまうと寝つきが悪くなってしまいます。体内時計が狂ってしまい、睡眠が妨げられるので、できるだけ日中は活動し、夜は就寝するという生活リズムを崩さないように心がけたいものです。また、就寝前にスマートフォンなどのブルーライトを浴びることもできるだけ避けましょう。交感神経が活発になり、寝つきを悪くします。

寒い、熱い、明るすぎる、うるさいといった五感を過度に刺激されるような就寝環境も眠れない原因となります。妻が夫のいびきで眠れないというケースがよくあって、当院にも夫が相談しによく来られるのですが、調べると夫のいびきはたいしたものではない。日中の疲れが溜まっていて眠りが浅くなっていると、妻にとっては少しのいびきも騒音になってしまうんです。

寝つきと寝具の関係

寝つきをよくするために寝具を見直すことはとてもよいと思います。柔らかすぎる、硬すぎるなど、身体に合っていないマットレスで寝ていると、寝返りがしにくいことなどが原因で寝つきが悪くなってしまいます。また、マットレスの寿命は約7~10年、敷き布団の寿命は3〜5年、枕は1〜5年と言われています。

なかには20年以上同じ敷き布団を使っているという人もいますが、新しく買い替えるだけで快適な寝つきにつながることもありますので検討してみてください。

特に枕は高さや低さを変えるだけで、呼吸がしやすくなるので、長年同じ枕を使っていて寝つきが悪いという方は、一度自分に合った高さの枕を専門店に選びに行かれることをおすすめします。横になってみて、心地よいか、寝返りがしやすいか、呼吸がしやすいかなど、試してみることできっと大きな発見があるはずです。

あなたの不眠度チェック

下記の項目のうち、一つでも該当するようであれば睡眠不足のサイン。生活に支障をきたすようであれば早めに医師に相談してください。

・布団に入ってから30分〜1時間以上寝つけない
・寝ている間に何回か目が覚める
・朝早く目が覚めてしまい、その後も二度寝ができない
・睡眠時間はとれているが、眠りが浅く、熟睡感を得られない
・日中、疲れが溜まり、不快感が残る
・日中の活動で、普段できていることができない
・日中、眠くて仕方がない

夜眠れるようになるためのコツ

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適正な睡眠時間は人によって違うのですが、どうしても加齢とともに睡眠時間は短くなっていきます。年配の方の悩みで多いのが、夕飯の後にすることがなくて21時に布団の中へ入ってしまうことです。一人暮らしの方だと特に顕著です。昼間の充実感が足りないことが寝つけない原因でもあって、もし毎日好きなことや楽しいことをして充実感を得られていれば、きっと寝つきもよくなるはずなんです。

充実した日々を心がけ、マイナス思考を見直す
寝つきが悪くなる原因をいくつかご紹介してきましたが、寝つきをよくする一番の方法は、毎日感謝することです。希望の朝を迎え、勤勉の昼を過ごし、感謝の夕べを迎えるという生活を送っていれば平穏に眠ることができるんです。つまり、日々のちょっとした心がけ次第、考え方が大切です。

不眠を訴える方に30〜40代の女性も多いのですが、この世代の女性は家事や育児のストレスがとても大きいんですね。

「なぜ私だけがこんなに苦労しなきゃいけないのだろう」「なぜ私は眠れないのに、夫はいびきをかいて寝ているんだ!」という苛立ちで眠れなくなってしまう。そういった状況を改善するのはとても難しいですが、1日のうちで数分でも自分が好きなことをやるとか、楽しみを見出して乗り越えることが大切ですね。

リラックスできる環境を作る
例えば匂いにこだわってみる。自分の好きな匂いのアロマスプレーを枕に吹きかけるなど、香りのリラックス効果も大切です。よくラベンダーの香りが睡眠によいと言いますが、トイレの消臭剤の匂いにしか感じない人もいるんです。

自分にとって心地よい香りでなければ意味がない。小さい頃にお母さんや兄弟と一緒に寝ていた頃の匂い、布団の暖かさ、そういう懐かしい記憶がよみがえるような環境づくりをどう再現するか。寝室のインテリアや寝具なども柔らかいパステルカラーや、自分が心地よいと感じる素材の枕やシーツで揃えてみてはいかがでしょうか。

薬に頼るよりも寝具や住環境を変えることで寝つきを改善したいものです。

自律神経を整えるための呼吸法のススメ

緊張や興奮状態にあるときは、深呼吸をするだけで心がしずまります。交感神経と副交感神経の乱れを整えるためには腹式呼吸が有効です。鼻で息を吸いながらお腹をふくらませ、吐く息でお腹をへこませます。この時に、おへそより9センチ下のところにある丹田(たんでん)というツボに力を入れながら意識して息を吐くとよりリフレッシュすることができます。ぜひ寝る前に試してみてください。

すぐに薬に頼らない、
生活習慣や前向きな考え方を改めて見直して

生活を見直すことが不眠改善への近道
不眠だからといってすぐに睡眠薬に頼るよりは、日々の生活リズムを整えることや寝具環境を改善することで症状を軽くすることに務めたほうが健全です。寝つきが悪くなることの原因は実は自分が思っていたこととはまったく違うところに原因があることも多いのです。

毎日3食きちんと食べて、寝る前にぬるめのお風呂に入ってリラックスする。そして、毎朝決まった時間に起きることが大切です。僕は寝起きに15分間体操をしています。背伸びをしてスクワットと腰回りのストレッチ。これを続けると身体の調子がいいんです。

物事の捉え方や考え方を変えてみる
長く眠りに関する分野で医者を続けていますが、実は僕自身がずっと不眠だったんです。45歳の頃にうつ病になって、転職したことでうつは治ったけれど、今度は不眠になってしまった。60歳を過ぎた頃にようやく眠れるようになったんです。それでも11時に寝て4時には目覚めてしまいますから快眠とは言えないですけどね。

肝臓ガンにもなりましたし、加齢とともに身体は思うように動いてくれません。それでも「あるがままの状態を受け入れること」が僕は大切だと思っているんです。与えられた環境や状況でなんとかしようと思わないと事態は前に進まない。

できるだけマインドをポジティブに、楽しいことや好きなことを見つけて希望の朝が迎えられるような毎日を過ごしてください。

もちろん、それでも寝つきが改善しない場合には相談しに来てくださいね。事態が深刻な場合もありますから、必要であれば精神科医も紹介することができます。一人で悩まないでください。

終わりに

いかがでしたか? 眠れない原因は人それぞれですが、一番は心理的な問題が大きいと齋藤先生は言います。

一番大切なことは、「あるがままの状態を受け入れること」。言葉にするとシンプルなようですが、実践するのは難しいことだと思います。心配事や不安なことも時間がたてば解決することがほとんどです。

眠れないことへの恐怖心を捨てて、まずは日中、自分の好きなことや楽しいことをやってみて、充実した一日を過ごすことを考えてみてはいかがでしょうか。好きなお花を一輪部屋に飾るだけでも心が豊かになりますよ。

取材・文/横田可奈

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