睡眠とダイエット 専門家に聞く代謝を上げる睡眠のコツ

睡眠とダイエットには大きな関わりがあります。睡眠不足や眠りの浅い睡眠が続くと太りやすくなってしまうそうです。ダイエット効果をもたらす睡眠とはどんなものなのか、また規則正しい睡眠がなかなかとれないという方に、効率よく代謝を上げる睡眠のコツについて、RESM新横浜の院長・白濱龍太郎先生に指南いただきました。
──食欲に関わる睡眠中のホルモンにはどのようなものがあるのでしょうか?
食欲に関わるホルモンには、レプチン、グレリン、成長ホルモンがあります。
レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンです。分泌されると、脳の視床下部にある満腹中枢が刺激されることで、満腹感を感じて食欲が抑制される働きがあります。
グレリンは胃から分泌されるホルモンで、分泌されると脳の視床下部にある食欲中枢が刺激され、食欲が増します。
成長ホルモンは基礎代謝にかかわりのあるホルモンで、スムーズに分泌されると基礎代謝が上がりやすくなります。
──睡眠不足が続くと、太りやすくなると耳にしたことがあります。これはどんなホルモンや身体の動きが影響するのでしょうか?
睡眠時間が短いと、食欲を刺激するホルモンと言われるグレリンの血中濃度が高くなり、食欲を抑制するレプチンの血中濃度が低くなります。そのため、食欲が出やすい状態になります。さらに、睡眠が浅くなると、基礎代謝率が低くなるので、エネルギーを消費しにくくなり太りやすくなってしまいます。
ダイエット効果を得るための睡眠のコツ
──眠っている間に、きちんとエネルギーを消費してダイエット効果を得るためには、どんな睡眠をとるとよいのでしょうか?また、短い睡眠時間でも代謝を上げるコツはありますか?
睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠に分類されますが、ノンレム睡眠の間に出現する、周波数が低い成分(徐波成分)が増える状態を「徐波睡眠(じょはすいみん)」と言います。これは、脳を休めるための眠りで、知覚や思考、記憶、推理や運動などをつかさどる大脳皮質や交感神経などを休ませます。また、筋肉の緊張が低下して、身体も休んだ状態になります。
この徐波睡眠のときに、エネルギー消費をしっかりと行うために、成長ホルモンを効率よく分泌することが大切です。成長ホルモンは身体のエネルギー源となる糖質・脂質の代謝を調節して、身体のエネルギー源となる糖質の量、身体に蓄える脂肪量のバランスを保ちます。そのほか、必要以上に貯蓄された、余分な糖質が細胞を老化させるのを防ぐ役割があります。
人は、寝はじめてから4時間前後に2度ほど深い睡眠に入ります。短時間の睡眠で代謝を上げるためには、この時間にきちんと深い睡眠に入ることが大切です。
──ダイエットを意識した理想的な平均睡眠時間があれば教えてください。
平均睡眠時間と肥満のなりやすさを調べた研究結果では、睡眠時間が5時間以上の人に比べて、5時間未満の人は肥満になりやすいという結果が出ています。せめて、5時間以上は睡眠をとったほうがよいでしょう。遺伝子レベルのショートスリーパーはごく一部で、多くの方が仕事や生活上の理由で睡眠時間を確保できないと思います。
自身の生活を見直して、スマホやゲームをする時間を削るなど取捨選択によって睡眠時間を増やしたほうがよいでしょう。
深い睡眠・代謝のよい睡眠をとるために
──代謝のよい睡眠・深い睡眠をとるために、起きている間、寝る前にするとよいこと、避けたほうがよいことはありますか?
自律神経と深部体温調整によって、入眠のしやすさや、深い睡眠への入りやすさが変わるため、副交感神経を優位にするような環境作りが大切です。
深部体温を調節するためには、お風呂に入ることがよいでしょう。また、テレビやスマホのブルーライトの刺激は、深い眠りを促すメラトニンの刺激を抑えてしまうほか、身体が活動的な状態となる交感神経を刺激してしまうため避けたほうがよいでしょう。
就寝の1時間前にブルーライトを見る習慣を取り入れると、4日後から総睡眠時間が減るという結果もあるので、1時間半前まで、とするのが望ましいと思います。就寝の1時間半前までにお風呂に入り、そのあとはブルーライトを見過ぎないよう心がけてみてください。
──規則正しく、充分な睡眠をとることが難しい方は、どんなところに気をつけて睡眠をとるとよいでしょうか?
ゴールデンタイムという概念はあまり気にしなくてよいと思います。それよりも、就寝前の時間になるべく、前述の「寝る前にするとよいこと、避けたほうがよいこと」を意識することが大切です。
睡眠不足が続き、夕食後にうたたねをしてしまい、本格的に眠ることができる時間帯に入眠が悪くなるという経験をされた方も多いのでは?そんなときは、15時までに20分程度のショートナップ(昼寝)を取り入れて、睡眠の効率をよくするのもおすすめです。
睡眠は、疲労回復だけでなくエネルギー代謝に深い関わりがあり、ダイエット効果にも影響を及ぼすことが分かりました。忙しい日々を過ごす方も代謝アップのコツを意識して、効率のよい睡眠をとりましょう。
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RESM新横浜 院長
白濱龍太郎(しらはまりゅうたろう)
呼吸器内科の医師として大学病院を中心に経験を重ね、睡眠や呼吸の悩みを総合的に診断士治療する医療機関を目指し、リズム新横浜を設立。医院には、睡眠時の脳波や呼吸、酸素の飽和度や眼球運動を調べる日本初導入の機器も揃う。丸八真綿睡眠センター所長として、睡眠環境の提案や、インドネシアの医師たちへの睡眠時無呼吸症候群の養育なども行っている。著書に「誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法」「”ぐっすり”の練習ノート」「9割の不眠は「夕方」の習慣で治る」などがある。http://www.resm.info
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