【教えて!Dr.】 冷えに負けず、眠りを深くする方法 第1回「冷えと睡眠には深い関係があった!」

冬も本番を迎え、寒くて身体が縮こまる毎日。身体が冷えることで、睡眠に影響はあるのでしょうか。冷え症をライフワークとする目黒西口クリニックの南雲久美子院長に、詳しい話を聞きました。2回連載でお届けする第1回は、冷えと睡眠の関係について紐解き、眠りを深くする方法を探ります。
第2回の記事「【教えて!Dr.】 冷えに負けず、眠りを深くする方法 第2回 「冷えに悩む人へ、日常生活の注意点と受診の目安」」はこちら
冷えやすい体質の人と日常生活で冷えが蓄積された人
──朝晩の寒さが厳しく、冷えに悩む人にはつらい時期です。
最近では、女性だけでなく男性や子どもにも冷えを訴える人が増加しており、多くの日本人が抱える悩みといえます。
──どのような人が冷えやすいのでしょう。
大きく2つのタイプがあります。
・もともと冷えやすい体質の人
胃腸が弱い傾向がある、しもやけになりやすい、食が細い、貧血気味、顔色が悪いといった人です。
・日常生活で冷えが蓄積された人
今の時期に生じる冷えの原因は、すでに暑い夏の間につくられています。多くの人が、空調の効いた室内や交通機関に薄着でいる、冷たい飲み物や食べ物をたくさん摂るといったことで、身体を内側から冷やしています。その状態を放置したままでいると、ちょうど今ごろ身体に影響が現れ、気温の変化と相まって冷えにつながるのです。
最近は、過緊張型の冷えも増えてきました。忙しさやストレスなどから緊張が続いていると交感神経が優位になり、血行が悪くなります。それで身体が冷えてしまうのです。
冷えがもたらす自律神経の影響で、眠りを深くすることができない
──冷えは、どのような不調をもたらしますか?
年を経るごとに、症状がエスカレートしていくのが特徴です。冷えは女性に多いので、女性を例に挙げてみましょう。
・20代……月経や肌のトラブル、肩こり、抜け毛など
・30代……めまい、むくみ、頭痛、便秘、下痢など
・40代……めまい、不眠、イライラ、うつなどのきっかけになることがあります。
・50代……上記の症状以外に、頻尿、尿もれなどの症状が出ます。更年期のホットフラッシュとは別に、下半身は冷えているのに、上半身は”のぼせ”ているというような、いわゆる「冷えのぼせ」の症状を訴える人も。
──冷えは睡眠に影響しますか?
40代を中心に、すべての年代に多くの悪影響をもたらします。寝つきが悪い、眠りを深くすることができないなど、睡眠の質が著しく低下します。
──その原因を教えてください。
人の体温は、活動的に過ごす日中は高く、夕方から少しずつ下がり始め、夜、急激に下がるというリズムがあり、眠りとの関係が深いことがわかっています。
身体は夜になると、睡眠に入るために手足の皮膚の血管を拡張させます。そこへ流れる血液に熱を乗せて手足などの末端へ運び、体外へ放熱して体温を下げるのです。その体温の変動で、眠りに誘われます。
ところが、身体が冷えている場合、手足など末端の血管が収縮してしまい、放熱がうまくできず、寝つきにくくなってしまうのです。
──体温の変化が睡眠に影響しているのですね。
それだけではなく、自律神経も関係しています。本来、自律神経は、夜の体温の変化に合わせて、興奮しているときに働く交感神経から、休んでいるときに働く副交感神経に切り替わります。
身体が冷えていると、体温を逃がさないように血管がギュッと収縮して、交感神経が優位に働き続けます。そのため身体がうまく休めず、眠りを深くすることができないといったことが起こります。
冬になると増える「朝型肩こり」とは?
──睡眠の質を悪くする以外に、冷えによる身体への悪影響はありますか?
冬になると、「寝違えたわけでもないのに起きたときから肩こりがひどい」といった「朝型肩こり」の人が目立ちます。
主な原因は、睡眠の質の悪さです。それに冷えが加わると、朝型肩こりが悪化します。どうしても寝ている間は動きますから、肩や首の周辺が布団から何時間も出ていることが多く、冷えの影響を受けやすいのです。冷えによる血行不良は肩こりだけでなく、頭痛、めまい、下痢、倦怠感といった自律神経症状を伴うので注意が必要です。
朝型肩こりは、睡眠の質の悪さと冷えのサインです。睡眠と冷えの両方から改善することが大切です。
──冷えに気をつけながら、眠りを深くするためのアドバイスをお願いします。
質の高い寝具で身体をゆっくり温めることです。電気毛布を使っている人もいますが、なるべく避けましょう。布団の中が乾燥し、鼻も乾いてウイルスなどが身体に入りやすくなります。皮膚もカサカサになる可能性があります。
特におなかを冷やすことは禁物です。腹巻きは手軽に活用できて便利です。
靴下を履いて寝る人は、指の間に汗をかくので、汗が蒸発すると気化熱で足先を冷やしてしまいます。履くなら五本指の靴下をおすすめします。
第2回は、冷えに悩む人への日常生活の注意点などについて解説し、眠りを深くする方法を探ります。
文/内藤綾子
監修:目黒西口クリニック 南雲久美子院長
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目黒西口クリニック
南雲久美子(なぐもくみこ)
1996年東洋医学と西洋医学を融合した治療を行う、目黒
西口クリニックを開業。冷え症、自律神経失調症をライフ
ワークにしている。著書に『冷え症・貧血・低血圧』
(主婦の友社)など。
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