【教えて!Dr.】 鼻づまりがつらい! 花粉症で睡眠の質を下げないために

3月は花粉症が猛威を奮う季節。アレルギー性鼻炎で睡眠の質が下がる人が少なくありません。鼻水や鼻づまりに悩む人が快眠できるための対策や日常生活の注意点について、鼻やのどのエキスパートである日本橋大河原クリニックの大河原大次院長にアドバイスをいただきました。
花粉症は、ゴールデンウィークまで続く人も
──花粉症に悩む時期は、いつごろまで続くのでしょうか。
2~4月にかけて、スギ花粉が飛散します。3月中旬をピークに4月に入ると飛散量がガクンと下がるのですが、安心してはいけません。
スギに1か月遅れて飛ぶのがヒノキの花粉。スギとヒノキの花粉は共通抗原性と呼ばれ、構造が非常に似ています。スギ花粉に対してアレルギー反応がある人は、ヒノキ花粉にも同様の反応が出ることが多いのです。
スギとヒノキによる花粉症が併発していれば、5月のゴールデンウイークあたりまで花粉症が続く可能性が高いと考えてください。
──花粉症の症状の中でも、アレルギー性鼻炎は睡眠に大きな影響を与えます。どのような症状が見られますか?
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみです。「のどが痛い」「せきが出る」と訴える人がいますが、花粉症の症状ではあまり見られないので、風邪などからくる症状だと考えられます。
「鼻水が出たから花粉症」と思っていたけれど……
──そう言われてみると、花粉症と風邪は区別しにくい気がします。
みなさん、この時期に鼻水が出ると「花粉症だ!」と思いがちです。でも、2~4月は気温が低く乾燥もしているので、1年で最も風邪をひきやすい時期。当クリニックへいらっしゃる患者さんで言うと、「花粉症と思って受診したら風邪だった」ケースは3割にのぼります。
──私も鼻水が出ると「花粉症だ」と思ってしまいます。
鼻水をよく観察してみてください。花粉症による鼻水は、水のように透明でサラサラしています。一方、風邪による鼻水は、ネバネバやサラサラなど質感はさまざまで、濁った白色、黄色や黄緑色といった色に。耳鼻科で鼻の中を診れば花粉症と風邪の区別は容易にできます。
軽症なら市販薬を、重症なら受診して
──「花粉症だな」と思ったときの対処法を教えてください。
・症状が軽い場合……ドラッグストアで販売している市販薬を試してみるとよいでしょう。医療用と同じ成分が配合された市販薬は、医師の処方薬に近いのでおすすめです。
飲み薬のほかに、専用の洗浄液や生理食塩水を使って鼻の中を洗浄する、鼻うがいが注目されています。花粉症によるアレルギー性鼻炎で鼻の中が過敏になっているのに、鼻うがいするのは刺激になってしまうのでおすすめできません。
・症状が重い場合……集中力が低下する、頭がボーっとするなど、日常生活に支障が出るようになったら重症です。なるべく早く耳鼻科を受診しましょう。
──医療機関では、どのような治療をしますか?
花粉症を完治させる薬はありませんが、症状を軽くするために飲み薬や点鼻薬が使われるのが一般的です。ベースとなるのは「抗ヒスタミン薬」の飲み薬で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどを軽くする効果があります。
鼻の中に直接噴霧する「ステロイド薬」の点鼻薬を併用することもあります。
大切なのは、指示通りにきちんと薬を使い続けること。花粉の飛ぶ量が少なく症状が軽い日なども、自己判断で使うのを中断しないでください。
花粉症でも十分な睡眠をとるために加湿を
──花粉症で鼻づまりになると、睡眠に大変影響します。スムーズに眠るために注意することはありますか?
「花粉症で、十分な睡眠がとれない」と訴える患者さんは多いですよ。
鼻づまりは、鼻の中の粘膜が腫れることによって、鼻の通りが悪くなって起こります。通りをよくするためには、鼻の粘膜が乾燥しないように適度に湿らせることが大事。冷たい空気は鼻を刺激するので、暖かくすることも必要です。
まずは、寝室の環境調整をしましょう。加湿器などを利用し、湿度は55~60%台、温度は20~22℃くらいを目安にするのがポイント。空気清浄機で空気をキレイにすると、より効果的です。
また、鼻炎の症状は自律神経と関係していると言われています。寝室でアロマを炊いて自律神経の働きを整えてリラックスするなど、自分なりの方法でリラックスしてからベッドに入る習慣づけもよい方法です。
──日常生活での注意点はありますか?
花粉症対策の大原則は、花粉を体内に取り込まないことです。次に挙げることを参考にしてください。
・毎日の花粉情報をチェックする。
・窓や戸をなるべく閉めて、花粉を家へ入れないようにする。
・飛散の多いときは、なるべく外出を控える。
・外出時は、顔にフィットするマスクや花粉症用メガネを着用する。
・ニットなど花粉が付着しやすい衣服ではなく、ナイロンなどのツルツル素材を選ぶ。
・洗濯物は外に出さず、部屋干しに。
・タバコの煙やニコチンなどの成分は鼻の粘膜を刺激するので、喫煙を控える。
──最後に、読者へメッセージをお願いします。
前述したように、「花粉症と思っていても風邪だった」という例はたくさんあります。素人が判断するのは難しい場合があるので、心配だったり、日常生活に支障が出るようになったら、早めに耳鼻科を受診しましょう。
きちんと診断を受けて適切な治療を受ければ、症状は改善されます。花粉症による睡眠の質の低下もなくなっていくでしょう。受診は「面倒」「順番を待つのがおっくう」という声がこの時期はありますが、それが改善への近道になることは間違いありません。
文/内藤綾子
監修:日本橋大河原クリニック 大河原大次(おおかわらだいじ)院長
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本橋大河原クリニック 院長
大河原大次(おおかわらだいじ)
帝京大学医学部卒。日本医科大学耳鼻咽喉科入局・助手、伊勢崎市民病院耳鼻咽喉科医長として経験を積み、神尾記念病院副院長を約20年務める。神尾記念病院では高度最新治療を実践し、日本橋大河原クリニックを開業。メリハリある治療と患部をモニターに映しながら説明する丁寧なカウンセリングに定評がある。
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