旅行で眠れないのはなぜ? 旅先での快眠のコツは?
観光でも仕事の出張でも、宿泊をする旅行では、快適に眠れるかどうかが日中の活動に大きく影響します。環境が変わるとなかなか寝つけなかったり、夜中に何度も起きてしまったり。特に、海外旅行の際は、時差に苦しめられることも。そこで、日本と海外を行き来しながら仕事をこなす旅の達人と、国内で出張を数多くこなすビジネスパーソンに、旅行中、快適な睡眠を得るためのコツを伺いました。
安眠のためには乾燥対策が重要
「仕事柄、喉を痛めるわけにいかないので、フライト中はもちろんのこと、ホテルで眠る際にも夏以外はマスクをしています」と話すのは、通訳ガイドとして全国を飛び回っている菅原由美子さん。かつては大手旅行代理店のツアーコンダクターとして勤務しており、海外経験も豊富です。
交通機関もホテルの部屋も、快適な睡眠を確保するために共通するのは、乾燥対策が要のようです。特に飛行機の中の乾燥には要注意。空気の乾燥は、ウイルス感染しやすい環境のため、何も対策をしないで寝てしまうと、すぐに風邪をひいてしまいます。旅行先に着いても、鼻づまりや咳で眠れないなどということにもなりかねません。
ホテルに着いてからは、「フロントで加湿器を貸し出している際は、必ず借りて使用しています」と菅原さん。また、喉用のミストスプレーも必需品で「寝る前に30秒は吸い込んでいます」とのこと。
プロ意識の高さが感じられます。また、大手旅行代理店のベテランツアーコンダクターTさん(搭乗員歴27年)は、ホテル室内の乾燥対策として「バスタブにお湯を溜めたまま、浴室のドアを開けて寝る」ことや、「洗濯物をベッドの近くに干す」といったことをしているそう。コップに水を入れておいておくだけでも、乾燥対策になるそうです。
旅行の宿泊先、騒音がうるさくて眠れない。そんなときは早めの対処を
旅行の宿泊先が立地的にうるさかったり、部屋の壁が薄くて隣の声が聞こえてきたりなど、騒音が気になって眠れないということもありそうです。騒音対策には、どのようなことをしているのでしょう。
ツアーコンダクターのTさんは、「飛行機で配られる耳栓を使用している」とのことですが、ノイズキャンセラー機能付きのヘッドホンを愛用している人も。
また、毎週のように宿泊を伴う出張をしているビジネスパーソンHさん(外資系金融・営業)は、ホテルの部屋を予約する際、エレベーターホールから遠い場所をあえてリクエストするのだとか。「廊下の人通りが圧倒的に少なくなるので、寝入りばなに起こされるようなこともありません」とのこと。確かに、大声で話しながら歩く宿泊客もいたりしますね。
「修学旅行中の学生がドアを開けたままで話していたり、廊下で長々と話す外国人客が近くの部屋にいたりすることも。その際は、我慢せずに注意するか、ホテルのフロントにお願いして注意してもらいます」と菅原さん。我慢してイライラしていると、交感神経が活発に働き出し、ますます眠れなくなってしまいます。早めに対処するのがよいでしょう。
眠りやすい環境作りを
眠る環境が違うと、なかなか寝つけないのは当然のことです。少しでも、自分が寝つきやすい環境作りを行いましょう。「最近のビジネスホテルですと、ロビーに様々な枕を置いているところもあるので、好きなものを選びます。旅館での宿泊の際は、そばがらの枕だと高くて寝られないこともあるため、座布団にタオルを巻いたり、座布団がないときはバスタオルを何重かに畳んだりして寝ることもあります」と菅原さん。
また、ホテルによっては別の枕をいくつか用意してあるところもあるので、フロントに問い合わせてみるとよいかもしれません。
「ホテルのベッドメーキングされたシーツは寝返りをうったときにきつく感じるので、いったん全部はがしてゆるめてから寝るようにしています」というのはHさん(外資系金融・営業)。
また、自然に目が覚めるよう、レース素材のカーテンだけを閉めて、朝の光が入るようにして眠るとのことです。また、眠るときの心地よさを求めるため、Tさん(ツアーコンダクター)は、「寝間着は肌触りのよいパジャマを持参しています」とのこと。少しでも質のよい睡眠がとれるような環境を、皆さん工夫されていますね。
飛行機の中で、少しでも心地よく眠るには?
「大抵、プライベートの旅行ではビジネスクラスを使うのですが、エコノミーの場合はネックピローと靴下又はスリッパを持参します。靴を脱いで楽になりたいためです」と菅原さん。いずれの際も、マスクをしたまま眠るとのこと。客室乗務員が近くにいないときのために、必ず飲み物も持参するそう。
「機内食を食べていると、睡眠時間がとれなくなるというような便の場合は、フライト前に好きなものを食べて、機内食は食べずに搭乗したらすぐ寝るようにしています」というのはツアーコンダクターのTさん。洋服も、上着はカーディガンなどきつくない柔らかい服を着るようにするとのこと。「フットレストがない場合は、自分のバッグを前の席の座席の下に入れて、その上に足をおくようにしています」。
一方、「寝ている最中に、他の乗客に起こされることがないよう、飛行機も新幹線も座席は窓側を取るようにしています」というのは、Hさん(外資系金融・営業)。確かに、睡眠環境を考えると、座席の位置も重要ですね。
海外旅行、時差ボケで眠れない…。解決策は?
「プライベートで海外旅行に行くときは、“楽しまなければ損!”という意識が強いので、現地時間に合わせて行動、夜には寝て朝から太陽の光を浴びているうちに、時差ボケはあっという間に解消されます」と菅原さん。生体リズムの狂いは、太陽の光を浴びることで、調整されていくようです。
Tさん(ツアーコンダクター)も「現地の時間帯に慣れるためには、現地で眠くなっても夜まで我慢した方がいいと思います」と話します。「日本からアメリカ方面に着くと、朝や昼に到着が多いので、なるべく機内で休んでおくのがお薦めです。また、ヨーロッパなどに夜到着して寝ると、夜中や早朝に目が覚めてしまいますが、体だけでも横になっておくのが時差ボケを起こさないためのコツですね」。
最後に、現在はパラオに在住し、ご主人の会社で旅行者の為にホテルやアクティビティーツアーをコーディネートするという仕事もする菅原さんに、南の島に旅行した際、快適に眠るコツについて伺いました。
「暑いので、ついエアコンをつけたまま寝る人もいると思いますが、そうすると喉がやられて体調を悪くします。寝るときはエアコンを消し、シーリングファンをつけて寝ることをおすすめします。また、日本にいるときより喉が渇くので枕元には飲み物を。地方によっては蚊の対策も必要ですね」と菅原さん。
コンセントに挿すタイプの蚊取りマットや、腕にまくタイプの虫除けを持参するとよいとのことです。
睡眠環境の変わる旅行先では、「普段よりも眠れないのが当たり前」と思っていたほうが、眠れずイライラすることも少なくなります。リラックス効果のあるアロマグッズを持参したり、いつもより長めにバスタイムを楽しんだり、オイルマッサージをしてみたり。
普段、時間がなくてできないようなことを試されることもおすすめです。旅先での開放感も手伝って、工夫によっては普段よりもぐっすり眠れるかもしれません。
取材・文/仲尾匡代
通訳案内士・ツアーコーディネイター
菅原由美子(すがわらゆみこ)
大手旅行代理店でツアーコンダクターとして勤務後、パラオ旅行における現地各種手配(宿泊、空港送迎・貸切バス・オプショナルツアー等々)を業務とするIMPAC(インパック)の経営に携わる。現在、通訳ガイドとしても、日本各地を飛び回っている旅の達人です。
IMPAC(インパック) URL: http://www.palau-impac.com
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