春にだるい、眠いのはナゼ? 春の眠気、原因と対策

だんだんと暖かくなり、過ごしやすい季節となる3月。でも、春先はなんだか「だるい」「眠い」と、なんとなく疲れやすかったり不快な気分になったりしがち。4月からの新生活など、環境の変化による影響でストレスもたまりがちなこの時期、しっかりと睡眠をとって快適な日々を送るためにはどうしたらよいのでしょうか。睡眠改善インストラクターとしてご活躍中の鍛治恵(かじめぐみ)さんにアドバイスをいただきます。
春に「だるい」「眠い」と感じる原因は眠りが深くなっているから!
──春先になんとなく体調が優れなくなるのは、寒暖差や日照時間、気圧等の自然現象に加えて、生活環境の変化によるストレスが原因でしょうか。
鍛治さん: じつは、春だけ特別にほかの季節よりも眠いと感じる時間が多くなる、だるくなるという研究結果は出ていないんです。そのような症状が出る可能性として考えられるのは、春は冬に比べると日中の活動量が増えること、さらに気温の上昇で寝室の温度も適温になってくること、などが挙げられます。
この2つの要因によって、冬に比べて睡眠が深くなりやすいこと、また日の出の時刻が早くなるため朝日が入ってきても目覚めない状態が増える、という循環になるので、「眠気が強くなる」「だるくなる」と感じるのだと思います。
日中を快適に過ごすには、毎日の適度な運動と入浴が大事!
──ぐっすりと眠って、翌朝スッキリ起きるにはどうすればよいのでしょうか。
鍛治さん:睡眠の質を高めて翌日を快適に過ごすためのポイントは、昼間にアクティブに活動することが大切です。質のよい睡眠は、脳の活動量や活動の質に左右されます。日中を活動的に過ごすことで、脳がそれに応じた睡眠の司令を出し、睡眠の質が向上します。運動をするならば、息が上がらない程度の活動がよいでしょう。
運動を行う時間帯としては、就寝前の3時間前までに終了することを目安としてください。運動の種類としては、特にこれがよいというものはありません。自分の好みと体調で運動の種類を選んで、習慣化するとよいと思います。
──運動した汗を入浴で流して寝ると深く眠れる気がします。
鍛治さん:人の身体は一日の中で約1〜1、5℃程度の幅で体温が上下しますが、宵の口に最高点に達します。そして、その後徐々に体温が下がっていくことで、眠る準備に入るようできています。この、夜に向けて上がった体温が下がることが、睡眠にとってはとても重要なんですね。なので、寝る前にはぬるめのお風呂に入浴し、身体をきちんと温めるとよいでしょう。入浴によって上がった体温が、その後下がることで、快眠を促すことができるのです。
──日々の生活のリズムを一定に保つことも大切ですか?
鍛治さん:人の身体は、朝がきたら起きる、日中は起きて活動をする、夜になると眠る。という生体リズムにより成り立っています。このリズムを乱さぬように生活を整えることが大切です。そのためには、起床時刻をできるだけ同じにしていくように心がけましょう。週末などの休みの日に寝だめをしていつもより遅く起きる、次の日が休みだからと明け方近くまで起きている、といったことをせず、なるべく普段と同じ時間に起きる、寝る、を意識してみてください。
アレルギーなど、ムズムズして眠れないなどの対策は?
──春先は花粉症のせいでムズムズして眠れないという方も多いようです。
鍛治さん:春先に花粉症などのアレルギーが原因でなかなか寝つけない、不眠になりがち、日中に眠いと感じるという方は専門医に相談して根本的な治療を受けてください。睡眠が不足すると免疫力の低下につながり、更に症状が悪化する…なんて悪循環にも陥りかねません。きちんと睡眠時間を確保するためにも、症状が酷い方などは、できるだけ早く治療をしてくださいね。
──アレルギーの方が熟睡するためには?
鍛治さん:花粉症の方などは、寝具を外干しせず室内で布団乾燥機などを利用したり、帰宅時に花粉をできるだけ持ち込まないように工夫したりしてアレルギーの原因となる花粉を除外する対策を講じてください。また、室内は加湿するように心がけるとよいでしょう。
いかがでしたか?春は暖かく心地よい季節となる一方で、なんとなく身体がだるくなったり花粉などのアレルギー症状が増えたりする時期でもあります。「春眠暁を覚えず」といことわざがあるように、春は冬よりも深く眠れる季節。それゆえ日中でも眠いと感じる時間が増える、「もっと寝たい」という欲求も強くなりがち。
鍛治さんのアドバイスに従って「昼はアクティブに活動」「宵の口の軽い運動」「寝る前にぬるめの入浴」「起床時刻を同じに」を取り入れて、春を快適に過ごしましょう。
取材・文/三浦秋彦
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睡眠改善インストラクター
鍛治恵(かじめぐみ)
1989年ロフテー株式会社に入社し、快眠スタジオに配属。睡眠文化の調査研究業務に従事する。睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動。2009年ロフテー株式会社を退社し、フリーで睡眠文化研究を企画、2010年よりNPO睡眠文化研究会で事務局担当。
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