昼食後に眠くなる…。 午後の眠気、原因と対策は?

昼食後、お腹が満たされるとだんだんと眠くなる…。仕事や勉強など、午後もたくさんの予定を抱える方にとっては、解決したいお悩みではないでしょうか? そこで、午後を効率よく過ごすための昼食のタイミングや食事内容について、またおやつのとり方など、管理栄養士の若子みな美さんにアドバイスをいただきました。
昼食後に眠くなる身体のメカニズム
──午後に重要な会議や仕事の作業を控えている方にとって、昼食後に眠くなるという現象は大敵なのではないかと思います。そんなとき、昼食で気をつけられることはありますか?
人の身体は「体内時計」というものが備わっていて、これにより朝に目覚めて日中は活動し、夜に眠くなるという生活リズムが形成されるようできています。この体内時計の仕組みにより、実はもともと午後1時〜4時くらいには眠くなるようにできていると言われているんです。
ですが、昼食後に過度に眠くなる場合は「血糖値スパイク」の可能性も考えられます。
血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急激に乱高下する現象です。糖質の多い食事をとると血糖値が急上昇し、これを下げるために膵臓からインスリンが分泌されます。そして、血糖値が急降下して脳へのブドウ糖へ供給が少なくなることで、眠気が増すと考えられています。
お昼に糖質が多すぎる食事をとると、血糖値スパイクが起きやすくなり、睡魔を誘発しやすくなる可能性があるというわけです。また、主食のみの食事は糖質が過剰になりやすい上、栄養バランスも整いにくくなるので注意されるとよいと思います。
──ランチタイムが毎日決まっている方、バラバラの方がいらっしゃると思いますが、できることなら、毎日一定の時間に昼食をとるほうがよいのでしょうか?
できるだけ毎日同じ時間にとるのがよいですが、お仕事をしているとなかなか決まった時間に食事をするのは難しいこともあると思います。そういう方は、時間をかけてゆっくり食べるように気をつけるとよいと思います。早食いは、食べ過ぎの原因になり得ます。そして食べ過ぎは、倦怠感や眠気を引き起こしやすくなってしまうんです。食べ過ぎによる眠気を防止するためにも、昼食はできる限りゆっくりと食べるよう心がけてみてください。
昼食後に眠くなるのを軽減するための食事内容と分量
──昼食後に眠くなってしまうのを少しでも軽減するために、よりよい食事内容や食材はありますか?また、理想的な食事量はどのくらいが目安でしょう?
主食だけで完結する食事は糖質の過剰摂取になるので避けたほうがよいでしょう。とくにNGなのは、菓子パンです。菓子パンは手軽ですが、食事ではなくてお菓子をとっているのだと思ったほうがよいです。
おすすめは、さまざまな食材の入ったお弁当タイプのものです。おにぎりを選ぶときは、サラダやおでんなどの野菜や卵をプラスすると、糖質だけでなくたんぱく質やビタミン、ミネラルなども一緒にとることができます。
さらに、おにぎりなら白米よりも雑穀米や麦入りのもの、パンなら全粒粉などがよいでしょう。白米や小麦に比べ精製度が低いこれらの食材は、血糖値の上昇を緩やかにし、昼食後の眠気防止にもつながります。また麺の中では、GI値が低いおそばがよりよいでしょう。
GI値とは、食後血糖値の上昇度を示す指標を言います。 食品ごとにGI値が決まっており、GI値の低い食品は血糖値の上昇を穏やかにしてくれるので参考になさってみてください。食事量に関しては、満腹になると眠気や倦怠感を感じやすいので、腹七〜八分目までにとどめるようにしましょう。
そして、食事は3食きちんと取り、バランスは「朝 > 昼 > 夕」とするのが理想的です。忙しい現代人は朝食を食べないという方も多いでしょう。朝ご飯を食べる時間がないという方も、牛乳を飲む、ヨーグルトを食べるなど、気軽にできることからはじめてみましょう。
朝ごはんをきちんととられる方は、食事誘発性熱産生の高いたんぱく質が豊富に含まれる食材をプラスして、卵かけご飯や、納豆ご飯、ハムトーストなどの朝食がおすすめです。朝ご飯に栄養バランスのよい食事をしっかりとることで、昼食の過剰摂取や血糖値の急上昇を防止してくれるんですね。
おすすめの夕食と間食
──昼食後に眠くなるのは、体調や食事内容だけでなく、夜きちんと熟睡することも大切なのではないでしょうか。きちんと質のよい睡眠をとり、日中の眠気を抑えるための夕食で気をつけたほうがよいことはありますか?
アルコールの飲み過ぎは、熟睡しにくくなります。また、夕食後すぐに眠ると、翌朝の胸焼けの原因にもなりますし、睡眠の質を低下させます。夕食が遅くなりそうなときは、夕方におにぎりやサンドイッチなどの軽めの捕食をとって、帰宅後は野菜たっぷりの汁物などで済ませるのがおすすめです。
──間食をする場合、1日のどこで摂取するとよい、というタイミングはありますか?
基本的に大人に間食は必要ありませんが、夕食が遅くなる場合や、食事と食事の時間がいつもより長く空いてしまう場合は、適度に間食をするのもよいでしょう。そのときは、お菓子ではなく、捕食となるおにぎりやサンドイッチなどがおすすめです。また、捕食ではなく、口さみしいときやリラックスのための間食なら、ナッツ類やベビーチーズなど砂糖が含まれていないものがよいでしょう。
昼食後の時間帯に眠くなるのは、人間の自然現象でありながら、ゆっくりと食べるようにする、腹八分目にとどめるなど、ちょっとした工夫で軽減できるそうです。忙しい毎日を送る方々も、重要な会議や集中力を必要とする仕事を控えているときだけでも意識するとよいですね。
取材・文/数野由香子
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管理栄養士・減塩料理家
若子みな美(わかこみなみ)
大学卒業後、管理栄養士として病院や福祉施設に勤務。生活習慣病などの増加により、多くの方にとって「食」に対する制限が高まっていると感じる。その後、学校給食に従事し、食育や献立管理などを行う。より多くの人にライフステージに合わせた食の重要性を伝えるとともに、「食のハードルを下げる」をモットーに2017年に独立。現在は減塩料理や簡単・時短料理の開発、食に関するコラム執筆や監修、食に関するイベントなどを行っている。http://orangekitchen.info
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