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眠りが浅い人の原因と傾向、最も気をつけるべき生活習慣とは

普段、眠りが浅いと感じるときといえば、「朝、起きたときに疲れが残っている」「日中、眠気がひどい」「夜中によく目が覚める」「夢ばかり見ている気がする」などではないでしょうか。

眠りが浅いということの解釈や原因、そして浅い睡眠と深い睡眠との違いなどのメカニズム、眠りを浅くする生活習慣などを、不眠症についても治療を行っているゆうメンタルクリニックの総院長で精神科医のゆうきゆう先生に教えていただきました。

目次
眠りが浅くなる原因は?
日中受けたストレスの影響
コルチゾールの分泌による影響
加齢による影響
眠りのメカニズムについて
浅い睡眠・深い睡眠とレム睡眠・ノンレム睡眠
「睡眠時間が短い」「日中に眠気を強く感じる」原因となる生活習慣
こんな人は要注意!
眠りが浅いと感じるときの対策
眠りが浅いときは、病気のサインも疑って

眠りが浅くなる原因は?

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――そもそも眠りが浅いとはどのような状態なのでしょうか?

ゆうき先生:まず、大前提になるのですが、医学的には「眠りが浅い」と「眠りが深い」の区別は特にないのです。眠りは、どのような眠りも等しく眠りです。

しかし、実際に”眠りが浅い”と感じられる方もいらっしゃいますね。その原因は、おそらくかなり主観的に「自分は眠れていない」「自分は睡眠不足だ」という思い込みがあり、その際に「眠りが浅いのでは」とも思い込んでしまっている可能性があるんです。

そしてそうした思い込みによって、どんなにしっかり寝ていても「自分は眠りが浅いから寝不足なんだ、エネルギーが湧きづらいんだ」と考えてしまい、その結果、精神的なものが影響し、日中に疲れを感じやすくなってしまう可能性もあります。

現に『逆説的不眠』という言葉もあります。逆説的不眠とは、客観的にはどんなに寝ていても、本人は「眠れていない」と思い込んでいる状況を言います。

いずれにしても、自分の睡眠に対して「睡眠が浅い」「睡眠が深い」と考える必要はないのです。ただ強いて言えば、次の2つの状態のときに「眠りが浅いからだ」という思考に行きやすいことはあるでしょう。

・睡眠時間が短い
(なかなか寝つけない、途中で目が覚める、朝早く目が覚めすぎることなどが理由)
・日中に眠気を強く感じる

――では眠りが浅いという思い込みにつながる、“睡眠時間が短い”・“日中に眠気を強く感じる”とはどういった影響から感じるのでしょうか。

一般的に考えられている次の3点についてゆうき先生に解説いただきました。

日中受けたストレスの影響
ゆうき先生:日中のストレスは睡眠に影響を与えます。例えば日中、職場で突然、上司に怒られたり、仕事や日常生活で大変なことがあったりしたら、その原因分析や対処策を考えたくなるものですよね。そうすると、寝る時間になってもその思考にとらわれ睡眠どころではなくなり、結果的に不眠になってしまう可能性もあります。

コルチゾールの分泌による影響
ゆうき先生:『ストレスホルモン』と呼ばれる『コルチゾール』と言うホルモンの分泌も、ストレスと同じ理由で、睡眠時間が短い・日中眠気を強く感じることへ影響があると思います。

コルチゾールは、ストレスを感じると分泌されるホルモンで、『レム睡眠』という身体が眠っているけれど脳は生き生きと活動している睡眠中に分泌されます。コルチゾールには睡眠中に身体へエネルギーを供給する働きがあり、起床時間に近づくにつれて分泌が高まり、血糖値を上げて目覚めと活動に備えるという作用もあり、睡眠に深く関係しています。

眠りが浅いと思い込んでしまっている方の中には、朝起き抜けに何となく疲れが取れていないと感じる方もいるでしょう。その原因の一つとして考えられるのは、成長ホルモンとコルチゾールのバランスです、睡眠中に『成長ホルモン』というホルモンがしっかりと分泌されないと、脳と身体の疲労が解消されない可能性があります。また睡眠をとることでコルチゾールの分泌量が減ります。

コルチゾールは『覚醒ホルモン』とも呼ばれますが、眠っている間は分泌量が少ないほうがしっかりと眠ることができると言うわけです。何らかの原因、例えばストレスが強くかかっており、コルチゾールが多く分泌されていると眠りが浅いと感じる原因になることがあります。

加齢による影響
ゆうき先生:年齢を重ねるごとに『メラトニン』と言う睡眠を促すホルモン分泌量が減ることから睡眠時間が短くなる傾向はあります。よくご老人などは朝早起きと言われますが、そこまで睡眠時間を取らなくても身体がもつようになっているのです。

加齢による影響も、睡眠時間が短い・日中眠気を強く感じることの理由の一つかもしれません。とはいえ、この場合本人にとって「寝不足」や「眠れない」と感じるものでもありませんので、加齢そのものはそれほど気にしなくてよいのではないかと考えます。

いずれにしても、眠りが浅いと感じる一番の理由は睡眠時間の短さと日中の眠気ですので、この2つを解消していくのを目指しましょう。「眠りが浅いから深くしないと!より濃密にしないと!」と考える必要はありません。

眠りのメカニズムについて

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――睡眠時間が短い、日中眠気を強く感じる。などの悩みを解決するうえで、ぜひ知っておきたいのが眠りのメカニズムについて。ゆうき先生に教えていただきました。

ゆうき先生:人間の睡眠のメカニズムは、基本的に『睡眠欲求』と『覚醒力』で成り立っています。人間にとって意識を覚醒させていても意味がないような状況や、動くと危険という状況のときに睡眠欲求が起きます。代表的なのが夜です。太古の昔、今のような「明かり」という文明がない時代、夜は暗闇に包まれていました。暗闇の中では獲物を狩ることが難しく、結果的に動く必要がなくなります。

加えて、むやみに行動すると崖から落ちるリスクや、夜目が利く外敵に襲われるリスクも増すことから、1日を効率よく生活するために生まれたのが『睡眠』と考えられています。

また、睡眠中は代謝が落ち、消費カロリーが減るため、一日中起きて活動しているよりも摂取カロリーが少なくて済みます。人は睡眠をとることで生き残ってきたのかもしれません。

現代においては、日常が退屈に感じていると眠気がより増えます。つまり睡眠欲求が高まります。逆に毎日をイキイキ楽しんでいる人、例えば企業家や人気アイドルなどは、そこまで眠らなくても元気に生活しています。睡眠欲求は少ないでしょう。また起き抜けの覚醒力も同じく、「起きた後にこんなに楽しいことが待っている!生きがいがある!」という人ほど高くなる傾向になると考えられます。

浅い睡眠・深い睡眠とレム睡眠・ノンレム睡眠
睡眠のメカニズムといえば、レム睡眠とノンレム睡眠というのを耳にしたことはあるでしょう。そしてレム睡眠は浅い睡眠、ノンレム睡眠は深い睡眠と言われることがあります。これについてもゆうき先生に教えていただきました。

まず『浅い睡眠・深い睡眠』という区別は、それほど意味がありません。ただ、強いて言えばレム睡眠は脳が活性化している睡眠であるため、目覚めやすい時間帯になります。一方、ノンレム睡眠は脳が沈静化している睡眠であるため、目覚めにくい時間帯になります。レム睡眠は目覚めやすいゆえに浅い睡眠と表現されているのかもしれません。

このことから、一般的に深い睡眠と言われるノンレム睡眠のほうが重要だと思われているところがありますが、実は脳にとって何より重要なのは、レム睡眠だと考えます。

なぜなら脳が活性化することで、同時に睡眠物質、つまり眠気を起こす物質が除去されていき、起きるときにはスッキリ起きられると考えられるためです。起き抜けに脳がしっかりと活性化していれば、一日のスタートを快適に切ることができますし、意欲も湧きやすくなります。

睡眠中、レム睡眠はいかなるときも発生することがわかっています。実際、レム睡眠だけを妨げた場合、ノンレム睡眠だけになることはなく、ノンレム睡眠の中にレム睡眠が生じてきます。逆にノンレム睡眠だけを妨げた場合は、レム睡眠だけで問題なく夜間の睡眠が成立します。

「睡眠時間が短い」「日中に眠気を強く感じる」原因となる生活習慣

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――ところで、眠りが浅いという思い込みにつながる、睡眠時間が短い・日中に眠気を強く感じる状態になる原因はどのようなことにあるのでしょうか。その原因となり得る生活習慣をゆうき先生に教えていただきました。

就寝と起床時刻が不規則である
ゆうき先生:不規則な生活は、原因になり得ると思います。例えば起床時刻が遅くなると、夜に眠りたい時間に寝つきが悪くなってしまいます。また寝つきが悪くなればその夜の睡眠は不足し、翌日の日中に眠気が出る可能性も高くなります。

運動習慣がない
ゆうき先生:運動は肉体の調子を整えるために重要な活動です。運動しないとダラダラした生活になり、日中に眠気が生じやすくなるでしょう。

朝、光を浴びない
ゆうき先生:朝に光を浴びることでメラトニンがリセットされ、規則正しい生活を意識することができます。よって朝に窓辺で光を浴びる習慣がなかったり、起きる時間が遅かったりするなどして光を浴びないことにより、日中に眠気が出る可能性は増えます。

夜遅い時間に食事をとる
ゆうき先生:夜遅くに食事をすると、確かに睡眠不足につながることはあるかもしれません。消化にエネルギーや血流が使われることで、寝ることに集中できない可能性があります。

寝る直前の喫煙、アルコール、カフェイン飲料の摂取
ゆうき先生:寝る直前の喫煙、アルコール、カフェイン飲料の摂取は、明らかに睡眠状態を悪くしますので控えるべきです。

睡眠の浅さ・深さというのは気にしないでよいとお伝えしてきましたが、それは健康な状態のお話です。このような依存物質の摂取においては確かに睡眠の浅さ・深さ、そして睡眠の質に影響があると考えてもよいかもしれません。

午後の長時間の仮眠
ゆうき先生:仮眠はあまりに長くなると生活リズムのズレにつながるので、控えたほうがよいでしょう。とはいえ日中の短時間の睡眠は眠気をとることができ、日中の仕事や活動が効率化することにもつながりますので、10~15分の昼寝についてはおすすめします。眠気が生じるたびに軽く寝ましょう。

――よく寝る直前の入浴は眠りを妨げると言われますが、これは原因には含まれないのでしょうか?

ゆうき先生:寝る直前の入浴は、それほど関係はないと考えます。ただ入浴で血流がよくなることはある意味、運動に近いことから、日中の眠気が減る可能性があります。

こんな人は要注意!
続いて、次のような生活習慣を持つ人は要注意だそうです。意外と自分で気づいていないこともありますので注意しましょう。

ゆうき先生:昼ご飯でお米をたくさん食べると、午後にものすごく眠くなった経験はありませんか? 食事のときに炭水化物をたくさん摂取すると、日中に眠気がきてしまい、夜の睡眠が取りづらくなることは多々あります。このことから、できれば一日を通して炭水化物は控えめにしてもよいかもしれません。

眠りが浅いと感じるときの対策

――眠りが浅いと感じる場合、つまり睡眠時間が短い・日中に眠気を強く感じるときには、具体的にどのような対策が必要になるのでしょうか。

ゆうき先生:やはり一番は日中、活発に身体を動かすことと食事に気をつけることが大切です。また、毎日が退屈に感じていつも眠いという方は、日中に自分が面白い、楽しいと思うことを一生懸命行ってみる、運動やスポーツをしてみるなどがおすすめです。また睡眠時間を長く確保してみるのも対処法として有効かもしれません。

まずは睡眠時間を記録してみることから始めましょう。自分の朝起きた時間、夜寝入った時間、トータルで何時間寝たのかをササっと記録するだけなので簡単です。何日か続けてみると、自分の睡眠パターンを客観的に知ることができるようになります。

もし起床時間と就寝時間が毎日バラバラなら、まずは起きる時間を一定にすることを目指しましょう。目覚ましでも何でもかまいませんので、毎朝決まった時間に起きる習慣がつくよう工夫しましょう。このことにより睡眠リズムが確定していき、眠りに関する悩みが解消していく可能性があります。

眠りが浅いと感じてしまうときは、病気のサインも疑って

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――ゆうき先生によると、眠りが浅いと感じやすい睡眠時間が短い状態や日中に眠気を強く感じる状態が続く場合、次のような病気も疑った方がよいと言います。

睡眠時無呼吸症候群
ゆうき先生:眠っている最中に呼吸が止まったり、呼吸が乱れたりするもの。いびきがひどいことが多く、睡眠も浅くなりやすくなります。

周期性四肢運動障害、レストレスレッグス症候群
ゆうき先生:脚や腕がビクビク、むずむずと自分の意思とは異なる異常な動きをするもの。眠りが浅くなったり、夜中途中で目覚めたりします。

レム睡眠行動障害
ゆうき先生:レム睡眠中、脳は活動しており夢を見ることがあるが、そのとき夢の中でのできごとを現実であるかのように錯覚して実際に行動してしまうもの。目が覚めやすく、起きた後に夢の内容を鮮明に話すことができるのが特徴です。

夢遊病(睡眠時遊行症)
ゆうき先生:いわゆるねぼけて動き回るもの。動き回っている間は目がうっすら開いており、呼びかけても起きにくいのが特徴です。

内科的疾患
ゆうき先生:肝臓病や糖尿病、ガンなどの多くの内科的疾患も原因と考えられます。こうした内科的疾患が睡眠に悪影響を及ぼすことがあります。

今回ご紹介しているのは主な病気ですので、他の病気の可能性も考えられます。自己判断するのは危険ですので、もし気になる症状があればできるだけ早く専門医に相談しましょう。

いかがでしたでしょうか。普段から眠りが浅いと感じている方は、思い込みだと気づきつつ、睡眠時間が短い・日中に眠気を強く感じることに該当していないか確認してみてください。そして今回ご紹介した原因となる生活習慣を参考にして、一度自分の生活全体を見直してみてはいかがでしょうか。また睡眠リズムを整えることも大切です。毎日の睡眠時間を記録して客観的に自分自身の状態をチェックすることもおすすめです。

いずれにしても、毎日日中に眠気がきて退屈に感じている方は、積極的に身体を動かしてみることから始めてみるのもよいのではないでしょうか。

 

取材・文/石原亜香利

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