夏でも快眠へ ぐっすりと眠るためのひと工夫
COLUMN

暑くて寝苦しい、起きたときにだるさが残っている、エアコンの温度調整が上手に行えないなど、夏に起こりがちな睡眠の悩みを抱えている方もいるでしょう。夏に特有の睡眠環境と身体のメカニズムを知りながら、快眠を得るための工夫について上級睡眠改善インストラクターの安達直美さんにお話をうかがいしました。
夏の睡眠の特徴とだるさ、寝苦しさへの対策
──睡眠の質は、季節によって変化すると耳にしたことがあります。夏はどのような傾向がありますか?
夏は日照時間が長いため、一般的に睡眠時間は短くなりがちです。
加えて、人の身体には、体温を下げたり、代謝機能を低下させたりして、身体を休ませる働きがありますが、高温多湿の影響で、体温が下がりにくく、寝つきが悪くなり、中途覚醒が増えてしまうケースもあります。そういった理由から、夏は睡眠の質が下がりやすいのです。
──夏は寝起きにだるさを感じる方も多いのではないかと思います。考えられる原因と対策はありますか?
睡眠時にエアコンの風が直接あたっていると、身体から熱を奪い続けてしまいます。窓から入る風も同様です。私たちの身体は、起きる前に体温を徐々に上げていくのですが、明け方に熱を奪う状態が続くことで、体温の上昇を妨げてしまい、目覚めに適した状態になりません。それが、寝起きのだるさにつながるのでしょう。
また、睡眠が浅い場合も疲労回復が充分にできないので、だるさが出る原因になります。睡眠は通常、深くなったり浅くなったりを繰り返す一定の睡眠パターンを保ちます。それが、何らかの要因で深い睡眠が得られないとき、睡眠が本来持つバランスの良い回復機能が十分発揮されずに、疲労回復が難しくなります。
──夏の夜は、寝苦しくて目が覚めてしまう、また熟睡できない方もいらっしゃると思います。そんなとき、快眠を得るための対処法があれば教えてください。
まずはエアコンをフルに活用し、快適な温湿度を保つことが大切です。温度設定は、快眠が得られるとされる26度を目安にして、寝にくいようであれば、上げたり下げたりしながら心地よい温度を見つけます。
冷えすぎるので温度を下げたくないという方は、除湿モードを利用して、60%以下になるようにすると冷えすぎを防げるでしょう。また、エアコンの種類によっては、快眠モード機能があるので、有効活用するとよいと思います。
熱帯夜であれば、タイマーなしで常時運転を。寝はじめだけ寝苦しい場合には、寝つきをよくするために3〜4時間でオフにしてもよいでしょう。
冷房を使用するときは、身体が冷えすぎないように、パジャマやタオルケットなどの寝具で調節することがポイントになります。
また、エアコンの風を直接身体に当てないようにする工夫も必要です。エアコンの風向きの設定が難しい場合には、サーキュレーターや扇風機を使ってエアコンの風をコントロールしましょう。
夏でも快眠。理想的な温湿度と服装
──睡眠にとって理想的な夏の室温、湿度はありますか?
温度は26度、湿度は50~60%が理想的と言われています。エアコンの温度設定でなく、『温湿度計』を身体の近くに置いて調整するとよいでしょう。湿温度計とは、湿度と温度の両方を測ることができる測定器で、置き型や壁掛け、マグネットタイプなどがさまざまなタイプが販売されていているので、ご自分の寝室環境に合ったものを選びましょう。風や直射日光が当たらない場所に設置して使用するのがポイントです。
エアコンではなく湿温度計を身体の近くに置いて目安にしたほうがよいのは、エアコンの性能や配置によって、眠る場所の湿温度が設定通りでないことも多いためです。部屋のなかでも、眠る場所の正確な数字がわかる温湿度計を使用しましょう。
──夏の夜には、どのような服装で寝るのがおすすめですか?また、おすすめの素材についても教えてください。
冷房を使う場合の服装は、肩や肘、膝などの関節を冷やさないことが大切なので、肘や膝が隠れるくらいの七分袖、七分丈のズボンがよいでしょう。
素材は、天然素材や、吸湿性のある素材のものがおすすめです。ガーゼのように生地の目が粗いものや、ステテコの生地のように凹凸のある織りであれば、汗をかいても肌にピタッと張り付かず、通気性が確保できます。
スムーズに眠るために。おすすめ入浴方法
──夏の夜、快眠を得るために、眠る前にした方がよいことがあれば教えてください。
入浴です。高温多湿の夏の環境では、身体の熱放散が難しく、体温がなかなか下がりません。入浴で一時的に体温を上げることで、熱放散を助け、スムーズな眠りに導くことができるしょう。入浴が就寝の直前になる場合は、ぬるめのお湯で半身浴を20分。就寝する3時間ほど前に入浴ができるようなら、やや熱めのお湯に全身浴で10分程度入る方法がおすすめです。
個人差はありますが、わたしの場合、この方法で入浴すると身体の中の体温が0.5度ほど上がります。一時的に少しだけ体温を上げることで、就寝のタイミングで体温が下がりやすくなるので寝つきがよくなると考えられています。
夏でも快眠をとるためのコツをおうかがいしました。エアコンの風向きを変える、身体の節を覆う服装で眠る、お風呂の入り方など、すぐに取り入れられる工夫ばかりですね。
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一般社団法人日本睡眠改善協議会認定 上級睡眠改善インストラクター
安達直美(あだちなおみ)
公益財団法人精神・神経科学振興財団睡眠健康推進機構 睡眠健康推進委員
株式会社 エス アンド エー アソシエーツ 取締役 常務執行役員
国内大手航空会社において国際線客室乗務員として勤務後、寝装品メーカーの研究所で主任研究員として睡眠に関わる研究に従事。睡眠文化戦略コーディネーターを経て、現在職に至る。リラクセーションおよび眠りに関する商品開発およびマーケティングなどに携わる。福岡RKB毎日放送にて現在「どんどこサタデー」ドンドコヘルスケア(健康)コーナーにレギュラー出演中。
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