キリンは約2時間!? では、ヒトに必要な1日の睡眠時間は何時間?
COLUMN

地球上にはヒト以外にもたくさんの生物が存在しますが、1日の睡眠時間には大きな違いがあるようです。一体、どのくらい違うのか? 動物の睡眠時間とともにヒトの睡眠の仕組みやベストな睡眠時間について調べてみました。
キリン・イルカ……さまざまな動物の睡眠事情
動物の中で1日の睡眠時間が最も短いのがキリンで、その時間は2時間程度と言われています。しかも、めったに横になって眠ることはなく、横になって寝る場合も1回20分程度だそうです。
キリンは極端な例ですが、身体の大きなゾウは約6時間。その内、横になって寝るのは2時間程度で残りの4時間は立ったまま、食べながら眠るそうです。これは、低カロリーの草を食べるので長時間の覚醒が必要なためと言われています。しかし、草食動物でありながら、睡眠時間が非常に長い動物もいます。冬眠する動物は別として、最も長いのがコアラで約22時間。次に多いのがナマケモノで約20時間だそうです。
一方、肉食獣のライオンは約14時間も眠るそうです。カロリーの高い食事をとっていることと、草食動物のように外敵に襲われる可能性が低いからでしょう。
海に住むイルカなどの海獣類は、海の中で眠ると溺れてしまう可能性があるため、左右の脳が交互に睡眠する“半球睡眠”という方法をとっているそうです。この半球睡眠は、海上を長時間飛び続けるアホウドリや春に長期飛行するツバメなどの鳥類にも多く認められています。
このように生き物は、生活環境に適応して睡眠を変化させてきたのだと考えられています。
ヒトに必要な理想的な1日の睡眠時間は……
魚類、両生類、爬虫類が眠ると脳波の変化が見られますが、ヒトの睡眠でみられるようなノンレム睡眠とレム睡眠の違いはないそうです。この2つが区別されるのは鳥類と哺乳類です。レム睡眠は無動状態に近いもので、進化した動物では、脳のなかの特に大脳皮質が発達したことで、身体だけではなく脳を休めるノンレム睡眠が必要になってきたと考えられています。
これまでの研究から、ヒトの理想的な1日の睡眠時間は7~8時間であると言われています。しかし、十分な睡眠時間は年齢や体質によって異なります。目安として幼児は10時間、小学生で9時間、中高生で8時間だそうです。また、体質により6時間の睡眠でも問題のない人、9時間以上の睡眠が必要な人もいます。自分の身体が必要とする量の睡眠をとる習慣をつけることが大切です。
ヒトの睡眠時間が比較的に長い理由は?
ヒトは入眠後、まずノンレム睡眠があらわれます。この間は、脳が休息状態になり身体は休まずに免疫力を増やしたり、成長ホルモンを大量に分泌させたり、細胞の新陳代謝を高めています。そして、眠りがさらに深まると、呼吸や血圧は次第に低下していきます。
しかし、この身体の休止状態が長く続いてしまうと、酸素などの補給が悪くなり、体内の老廃物の除去する活動もできなくなるため、今度は休み始めた身体に代わって脳が活動を始めるレム睡眠の状態に切り替わります。記憶や心の整理などを行い諸機能の調整を図ります。
このようにヒトの眠りは、1日の睡眠時間の中でノンレム睡眠とレム睡眠を3~5回のサイクルで繰り返していると考えられています。脳と身体を交互に休ませるという省エネモードで繰り返すことで、上手く休息をとっているのです。
忙しい毎日を送る現代人にとって1日の睡眠時間を7~8時間も確保するのは、難しいことかもしれませんが、できるだけこの時間に近づけるように、一度、1日の生活スケジュールを見直してみてはいかがでしょう。
【参考文献】
『睡眠のトリビア』(中外医学社)
『税所式 日本人のための睡眠雑学100 すぐ寝られる! よく寝れる! すっきり起きられる!』(講談社)
『おもしろサイエンス 安眠の科学』(日刊工業新聞社)
文/高橋晴美

高橋晴美(たかはしはるみ)
フリーランス編集ライター。食と健康・旅をテーマに執筆。
主に、旭屋出版 日経BP社 夕刊フジ JTBパブリッシングの月刊誌およびMOOKSなどの編集記事・広告を担当。(株)スミフルジャパンのバナナソムリエ。ベジフルティーチャー。
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