「身体が動かない……」疲労や寝不足で起こる金縛り
COLUMN

寝ている最中に、身体が動かなくなってしまう「金縛り」に焦った経験がある人は多いのではないでしょうか。「幽霊に祟られてる!?」なんて怖いイメージがありますが、そんなことはありません。金縛りの原因を探り、よりよい睡眠へ導く手立てをご紹介します。
「睡眠麻痺」と呼ばれる生理現象
寝始めたときや眠りから覚めるとき、身体を動かそうとしてもできなかったり、声が出なかったりする「金縛り」。実は幽霊のしわざではなく、「睡眠麻痺」と呼ばれている生理的な現象です。
その状態は、数秒~数分続くだけで徐々に落ち着きます。人が声をかけたり、軽く身体に触れるだけでホッとして金縛りが落ち着くことも。「身体がどうかしてしまったのでは?」と心配することはありません。
人間は寝ている間に深い眠りのノンレム睡眠と、浅い眠りのレム睡眠の2種類を交互に繰り返していますが、金縛りはレム睡眠の最中に起こります。
レム睡眠の間、脳は活動していますが、身体は完全にゆるんでいます。そんなレム睡眠の最中に、何らかの理由で意識が覚醒するとどうなるでしょう。筋肉はゆるんでいるので、脳から「身体を動かせ」という命令が出ても動かすことができません。しかし脳はある程度覚醒しているため、「身体が動かない」と分かってしまいます。これが金縛りの正体です。
生活サイクル、寝姿勢、睡眠環境が影響する
金縛りは主に、睡眠リズムの乱れによって引き起こされます。覚醒と休息のリズムが乱れてしまい、レム睡眠の間に中途半端に覚醒しやすくなるからです。
朝起きる時刻と夜眠りにつく時刻が毎日一定していない人は睡眠リズムが乱れやすいので要注意です。翌日が休みだとつい深酒や夜更かしをしがちですが、休日の前日でも過剰な飲酒などは避け、規則正しい生活を心がけましょう。
眠るときの姿勢では、仰向け寝で起こりやすいと言われているので、それ以外の姿勢で寝ることも予防につながります。
中途半端に覚醒せず、毎日心地よい睡眠を得るために、睡眠環境に気を配ることも必要です。寝室照明にスタンドを上手に活用することや、寝具を自分に合ったものに見直すだけでも、格段に眠りやすくなります。
そのほか、ストレスや極度の疲労も金縛りを引き起こす要因に。少しでもストレスを軽くするために、寝る前にリラックスタイムを作るのが効果的です。寝室にアロマをたく、ゆっくり入浴する、読書でくつろぐなど、好みに合った入眠儀式が金縛りを防いでくれる可能性もあります。
金縛りを、心と身体を休ませるきっかけに
金縛りが起こってしまったら、意識的に目を動かすと早く抜けられると言われています。とはいえ、焦る必要はありません。ゆっくり深呼吸して、「単なる金縛りだから大丈夫」と、身体が落ち着くのを冷静に待ってもよいのです。
金縛りを心と身体を休ませるきっかけにして、「疲れている証拠だな。今日はゆっくり寝よう」と思うことが大切。睡眠リズムを含めた生活習慣を見直して改善できると、よりよい睡眠に一歩近くことができるでしょう。
【参考文献】
・『女性のための睡眠バイブル』(主婦と生活社)
・オールアバウト「もう怖くない!科学的に証明された金縛りのメカニズム」
http://allabout.co.jp/gm/gc/302291/
・オールアバウト「歯ぎしり・寝言・金縛り・悪夢」
http://allabout.co.jp/gm/gc/302279/
文/内藤綾子

内藤綾子(ないとうあやこ)
東京出身。保険会社でOLを経験したのち、編集プロダクションに転職してライター業をスタートさせる。
出産を機にフリーとなる。ビジネス、家庭、健康、育児、教育に関連する記事を雑誌やWebで執筆するほか、書籍の企画・構成なども行う。
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